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干草色をした
豚の死骸の、腹の上に
尖ったつま先を押し当て
バレエダンサーが回転している
白く、
白く
バレエダンサーが回転している
酸素を吸い込 ....
夢を見た
左脚を喪った
整った肌の少女が
ふらふら回っているような
君は
か細い針金を
丁寧に折り曲げて
全身の骨と取りかえた
....
換気扇の下で
きょう、最後の
セブンスターを吸い終わる
少しだけ散らばった灰と
砂のような煙草の葉を
指を唾で湿らせて
僕は掬いとった
....
五月、
鞄のなかで
ぼくは死んでいた
たくさんの緑に包まれ
豊かに死んでいた
柔らかな乳房の
香りだけ憶えていた
影と
影とが出会い、
つめたい脚を絡ませる
太陽は
西に佇み
濁ったガソリンが
そっと背中を流れてゆく
きみの口から
高速道路が伸びていた
ビュンビュンと車が行き交う
粘液のような真夏の夜に
赤い光を撒き散らして
そこには、一台だけ
逆走してい ....
女よ、
きみが
歪んだ嘘をついた日には
茂る緑の淡い影を
湿った風が揺らしていった
それが
すっと吹きやむのを待って
赤い土のうえに、 ....
倉庫の隅で
ひとつの闇と
もうひとつの闇が
汗をかきながら踊っている
南京錠のこじあけられる
冷徹な音をおそれ
かれらは時折、同時に
....
ぬるい春の夜
アスファルトの上に
花が降っている
葬儀屋の看板が
ほんの少し口角をあげる
目に見えぬ桃色の貝が
ひそかに息を吸い ....
ガラス製の灰皿が
テレビの色に瞬きしたとき
遣る瀬ない日々に君は
重たい欠伸を隠した
朝陽は
その優しさを
皺くちゃのハンカチに包んで差し出 ....
くらい魚が一匹
つめたい壁をおよいでゆく
誰かが忘れていった
後ろめたいつくりごとが
ライターの灯りに揺らめく
髪の長い日暮れ
不思議
きみがふれた
いびつな石ころが今朝、
柔らかいパンへと変わった
春の陽を白く吸って
不思議
きみがくれた幾つかの
言葉は辞書に ....
籠の中で眠っていた
バナナの果皮を捲ると
ぎっしりと雪がつまっていた
溶けてゆこうとするそれを
あなたは指の腹を使って
精一杯に踏み固めた
....
赤茶けた数艘の漁船が
死んだように泊まっている
コンクリートでできた堅い半島は
港と呼ばれる寂しい場所だ
秋の空の蒼い果てで
透明な名も無き巨人が
白雲 ....
永い夜の後に
束の間の朝が来て
君はシャワーを浴びている
水の弾けるその音だけを僕は
窓辺に立って、じっと聞いている
冬の朝陽に目を細め
少 ....
橋の下の叢に
ひっそりと落ちていた
真珠色の受話器と
捩れてしまった一本のコード
その先は川に入っていて
その更に先は
わからない
暮れ時、水面に ....
白い雪が
透明に変わるころ
蛇口を静かにまわして
飲みかけのビールを捨てる
部屋を照らしている
つけっぱなしのテレビ番組と
灰皿に残った、ただ一本の吸殻 ....
私があなたを好きになった日、
私の心は赤かった
闇夜に灯った明るい火の輪
一頭のライオンが駆けてきて
ひと跳びにくぐり抜けていった
その先は草原になっていて
....
暗い夜には
一羽の鳥がやってきて
私の口に潜り込むと
枝を使って舌根の辺りに巣を作り
数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく
朝、私の舌で
殻を破 ....
そう、
昨日は
冷たい雨がふったけれど
今日は穏やかな太陽が出て
きみの背中を温めている
そこにだけ、ぼくは手を載せている
取るに足らない日曜日の
....
籐椅子に体を沈めて
女が自分の手首を切っている
カッターナイフで
夢心地な眼で
なにか、神聖な
儀式の準備をするように
女が自分の手首を切っている
....
君は唇を震わせる
火を点けたばかりの
赤い輪郭をした石炭を
心の何処かに抱えるように
愛することは愛を傷つけ
悲しむと悲しみは消えてしまう
....
古い五線譜からきみは
しゅるしゅると一本を抜き取り
四角い枠を作ると
そのなかに月面の色を塗った
それは正しいことだ
それは、正しいことだ
ぼくたちの耳 ....
西日でぬるくなった床に
灰色のハンチング帽を落とす
埃の膜がふんわりと散って
光の白い模様を描く
リュックサックをベッドに抛って
窮屈なコートをハンガーにかけ ....
もう一人の男が
頭上にぶらさがった紐を引く
紐は暗闇に続いているから
暗闇が落ちてくる
どさりと一斉に
砂袋から砂が溢れるように
完璧に渇い ....
ねえ、見て
直方体が焼けているわ
彼女は楽しそうにそう言い
赤々と輝くオフィス・ビルを
親指と小指に挟み
水槽に
落とす
....
あなたの腿に
手を置く
その
柔らかさの奥に
生きていることの
鋭いさびしさがひしめいていて
ぼくの心に
さっと
一 ....
九月の市民球場を
木枯らしがさらってゆく
土埃を巻き込んで
ピッチャーのいないマウンドと
帰る者のないホームベース
永遠のような
0対0
僕は欠け ....
ゆうべ
きみのまとう
しろい布にふれました
それはやさしく湿っていて
かみさまの一部のようでした
ゆうべ
窓のそとでは
たくさんの雪が ....
女よ
ぼくが眼をとじると
きみは枯れた稲妻のようだ
だが
手をふれるとそれが
一匹の大きな白蛇だとわかる
女よ
きみを
冬に横たえる
....
まーつんさんの草野春心さんおすすめリスト
(304)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
回転
-
草野春心
自由詩
3*
12-7-17
シャドウ・ワルツ
-
草野春心
自由詩
5*
12-7-16
迷路
-
草野春心
自由詩
4*
12-7-10
乳房
-
草野春心
自由詩
8*
12-7-5
ガソリン
-
草野春心
自由詩
6*
12-7-5
高速道路
-
草野春心
自由詩
7
12-6-27
藁
-
草野春心
自由詩
8
12-6-23
倉庫
-
草野春心
自由詩
10*
12-5-13
貝
-
草野春心
自由詩
7*
12-5-3
ハンカチ
-
草野春心
自由詩
7
12-4-26
くらい魚
-
草野春心
自由詩
8*
12-4-15
不思議
-
草野春心
自由詩
10+*
12-4-14
ベランダ
-
草野春心
自由詩
6*
12-3-18
港
-
草野春心
自由詩
8*
12-2-10
象を待つ
-
草野春心
自由詩
6
12-2-6
受話器
-
草野春心
自由詩
6
12-2-3
飲みかけのビール
-
草野春心
自由詩
7*
12-1-30
わたしのいろ
-
草野春心
自由詩
7*
12-1-30
雛
-
草野春心
自由詩
11*
12-1-21
正午
-
草野春心
自由詩
8*
12-1-14
角砂糖
-
草野春心
自由詩
4
12-1-12
石炭
-
草野春心
自由詩
6
12-1-2
月面
-
草野春心
自由詩
7*
12-1-1
裁縫
-
草野春心
自由詩
7*
11-12-29
もう一人の男
-
草野春心
自由詩
9*
11-12-26
火事
-
草野春心
自由詩
5+*
11-12-24
腿
-
草野春心
自由詩
9*
11-12-23
野球場
-
草野春心
自由詩
8
11-12-22
しずかなよるに
-
草野春心
自由詩
9*
11-12-20
白蛇
-
草野春心
自由詩
9*
11-12-17
1
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3
4
5
6
7
8
9
10
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