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  きみの口から
  高速道路が伸びていた
  ビュンビュンと車が行き交う
  粘液のような真夏の夜に
  赤い光を撒き散らして



  そこには、一台だけ
  逆走してい ....
  女よ、
  きみが
  歪んだ嘘をついた日には
  茂る緑の淡い影を
  湿った風が揺らしていった



  それが
  すっと吹きやむのを待って
  赤い土のうえに、 ....
  倉庫の隅で
  ひとつの闇と
  もうひとつの闇が
  汗をかきながら踊っている



  南京錠のこじあけられる
  冷徹な音をおそれ
  かれらは時折、同時に
   ....
  ぬるい春の夜
  アスファルトの上に
  花が降っている



  葬儀屋の看板が
  ほんの少し口角をあげる



  目に見えぬ桃色の貝が
  ひそかに息を吸い ....
  ガラス製の灰皿が
  テレビの色に瞬きしたとき
  遣る瀬ない日々に君は
  重たい欠伸を隠した



  朝陽は
  その優しさを
  皺くちゃのハンカチに包んで差し出 ....
  くらい魚が一匹
  つめたい壁をおよいでゆく



  誰かが忘れていった
  後ろめたいつくりごとが
  ライターの灯りに揺らめく
  髪の長い日暮れ
  不思議
  きみがふれた
  いびつな石ころが今朝、
  柔らかいパンへと変わった
  春の陽を白く吸って



  不思議
  きみがくれた幾つかの
  言葉は辞書に ....
  籠の中で眠っていた
  バナナの果皮を捲ると
  ぎっしりと雪がつまっていた



  溶けてゆこうとするそれを
  あなたは指の腹を使って
  精一杯に踏み固めた

 ....
  赤茶けた数艘の漁船が
  死んだように泊まっている
  コンクリートでできた堅い半島は
  港と呼ばれる寂しい場所だ
  秋の空の蒼い果てで
  透明な名も無き巨人が
  白雲 ....
  永い夜の後に
  束の間の朝が来て
  君はシャワーを浴びている
  水の弾けるその音だけを僕は
  窓辺に立って、じっと聞いている



  冬の朝陽に目を細め
  少 ....
  橋の下の叢に
  ひっそりと落ちていた
  真珠色の受話器と
  捩れてしまった一本のコード
  その先は川に入っていて
  その更に先は
  わからない
  暮れ時、水面に ....
  白い雪が
  透明に変わるころ
  蛇口を静かにまわして
  飲みかけのビールを捨てる
  部屋を照らしている
  つけっぱなしのテレビ番組と
  灰皿に残った、ただ一本の吸殻 ....
  私があなたを好きになった日、
  私の心は赤かった
  闇夜に灯った明るい火の輪
  一頭のライオンが駆けてきて
  ひと跳びにくぐり抜けていった
  その先は草原になっていて
 ....
  暗い夜には
  一羽の鳥がやってきて
  私の口に潜り込むと
  枝を使って舌根の辺りに巣を作り
  数個の卵を産みつけ飛び去ってゆく



  朝、私の舌で
  殻を破 ....
  そう、
  昨日は
  冷たい雨がふったけれど
  今日は穏やかな太陽が出て
  きみの背中を温めている
  そこにだけ、ぼくは手を載せている
  取るに足らない日曜日の
  ....
  籐椅子に体を沈めて
  女が自分の手首を切っている
  カッターナイフで
  夢心地な眼で
  なにか、神聖な
  儀式の準備をするように
  女が自分の手首を切っている
  ....
  君は唇を震わせる
  火を点けたばかりの
  赤い輪郭をした石炭を
  心の何処かに抱えるように



  愛することは愛を傷つけ
  悲しむと悲しみは消えてしまう

 ....
  古い五線譜からきみは
  しゅるしゅると一本を抜き取り
  四角い枠を作ると
  そのなかに月面の色を塗った
  それは正しいことだ
  それは、正しいことだ
  ぼくたちの耳 ....
  西日でぬるくなった床に
  灰色のハンチング帽を落とす
  埃の膜がふんわりと散って
  光の白い模様を描く
  リュックサックをベッドに抛って
  窮屈なコートをハンガーにかけ ....
  もう一人の男が
  頭上にぶらさがった紐を引く
  紐は暗闇に続いているから
  暗闇が落ちてくる
  どさりと一斉に
  砂袋から砂が溢れるように



  完璧に渇い ....
  ねえ、見て
  直方体が焼けているわ



  彼女は楽しそうにそう言い
  赤々と輝くオフィス・ビルを
  親指と小指に挟み
  水槽に
  落とす



   ....
  あなたの腿に
  手を置く



  その
  柔らかさの奥に
  生きていることの
  鋭いさびしさがひしめいていて



  ぼくの心に
  さっと
  一 ....
  九月の市民球場を
  木枯らしがさらってゆく
  土埃を巻き込んで
  ピッチャーのいないマウンドと
  帰る者のないホームベース
  永遠のような
  0対0
  僕は欠け ....
  ゆうべ
  きみのまとう
  しろい布にふれました
  それはやさしく湿っていて
  かみさまの一部のようでした



  ゆうべ
  窓のそとでは
  たくさんの雪が ....
  女よ
  ぼくが眼をとじると
  きみは枯れた稲妻のようだ
  だが
  手をふれるとそれが
  一匹の大きな白蛇だとわかる
  女よ
  きみを
  冬に横たえる
   ....
  朝の町は
  赤く輝いている
  透明な蝶が群を成して
  燐粉を煌めかせ舞い飛ぶ
  駅へと続くなだらかな坂道
  冬空に灰色の息を吐き
  自販機でコーヒーを買う人

 ....
{引用= 「歯」

  数匹の
  蟻とともに
  おまえの白い歯が
  焼かれている
  雨は
  降らず
  風だけが、その
  匿名の乾きを
  旗印のようにたなびか ....
  三月の
  まだ、少し肌寒い日
  人々のざわめきが
  どこか他人事のように響く朝
  駅へと続く道を僕が
  いつも通りに歩いていると
  巨大なエスカレーターが
  青空に ....
  1.

  海岸に
  打ち上げられたふたりの詩人が
  詩の話をしている
  金持ちが金の話をするように

  2.

  都市を撃ちぬく
  弾丸
  僕たちの指 ....
まーつんさんの草野春心さんおすすめリスト(299)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
高速道路- 草野春心自由詩712-6-27
- 草野春心自由詩812-6-23
倉庫- 草野春心自由詩10*12-5-13
- 草野春心自由詩7*12-5-3
ハンカチ- 草野春心自由詩712-4-26
くらい魚- 草野春心自由詩8*12-4-15
不思議- 草野春心自由詩10+*12-4-14
ベランダ- 草野春心自由詩6*12-3-18
- 草野春心自由詩8*12-2-10
象を待つ- 草野春心自由詩612-2-6
受話器- 草野春心自由詩612-2-3
飲みかけのビール- 草野春心自由詩7*12-1-30
わたしのいろ- 草野春心自由詩7*12-1-30
- 草野春心自由詩11*12-1-21
正午- 草野春心自由詩8*12-1-14
角砂糖- 草野春心自由詩412-1-12
石炭- 草野春心自由詩612-1-2
月面- 草野春心自由詩7*12-1-1
裁縫- 草野春心自由詩7*11-12-29
もう一人の男- 草野春心自由詩9*11-12-26
火事- 草野春心自由詩5+*11-12-24
- 草野春心自由詩9*11-12-23
野球場- 草野春心自由詩811-12-22
しずかなよるに- 草野春心自由詩9*11-12-20
白蛇- 草野春心自由詩9*11-12-17
- 草野春心自由詩9*11-12-8
草原へのコラージュ- 草野春心自由詩11*11-12-2
三月のエスカレーター- 草野春心自由詩6*11-11-7
都市風景(1〜20)- 草野春心自由詩410-6-29

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