正午
草野春心



  そう、
  昨日は
  冷たい雨がふったけれど
  今日は穏やかな太陽が出て
  きみの背中を温めている
  そこにだけ、ぼくは手を載せている
  取るに足らない日曜日の
  正午の公園の
  未だ雫の残るベンチに座って
  そう、きみは
  半分くらい口を開けて
  もう半分は、閉じている
  聞いたかい?
  すぐそばの道路をスクーターが
  蝸牛みたいに通り過ぎてゆくのを
  感じているかい? ぼくの手のひらが
  きみの心臓の裏側に置かれていることを
  そう、
  きみの背中は
  世界じゅうのどんな草原よりも
  広くて、とても温かい
  ぼくはちっぽけな兎になって
  いつまでもそこで跳ね回っていたい
  そう願って
  心から祈って、ぼくは
  きみの背に手を載せている
  出来るだけ長く
  出来るだけ、
  正直に





自由詩 正午 Copyright 草野春心 2012-01-14 09:41:54
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