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車は嫌いだけど
走るのは好きだ
このひょろりとした二本の足で ぐずぐずと走るのが
周りの景色が 少しずつ風の中に溶けていく感覚
肺が 呻きながらも 喜ぶ
口を きっと結ぶ
僕には 目的地が ....
子供が鈴なら 親の愛は それを揺らす風
世界が鈴の音で いっぱいになれば いいのに
君は優しい家庭に 育ったんだな
パステルカラーの思い出を いとおしげに語る その口元
少し気の早い 白のコートの襟の上で結ばれた サクランボのような微笑み
夕暮れの向こうから忍び寄ってきた寒さに ....
ありふれた言葉が好きだ
使い慣れた工具のように
なんだって 作れるから
人を切り裂くような刃も、包み込むような温もりも、
言葉の鉱石を鍛え 糸を縫い合わせて
この手に 携えることが出来る ....
雨上がり
秋空高く 舞うトンビ
のどかで いいねぇ
生き急ぐ勤め人が ふと見上げて立ち止まる
゛自然界の時刻表は ずいぶんスカスカだなぁ゛と
木の枝に止まってぼんやりするのに 口実なんて ....
次第に人との距離を感じ
次第に人との言葉が減り、
次第に人と会う機会が減り
言葉は外で無く内に向けられ
言葉は形が無く反芻できず
言葉は脳髄の中で霧散し
色は次第に発色しなくなり
....
君がまだ小さい頃
仕事が一段落すると
すこし秋めいた アスファルトを歩いたっけ
まだ うまく喋れない君の
小さな手を引きながら
やっと歩くことのできる君にあわせ
二人で歩いていた
あたり ....
ほら
やわらかな終わりがきたよ
やさしい
天使の顔をして
私は
急に思うのだ
三途の川の水面にも
低く高く
トンボの群れが
乾いた
秋を告げるだろうか
ワシは
車を ....
友へ
こころを寄せて
手紙をしたためています
わたしのうしろで書かれないものたちが
茶化して耳をくすぐります
フェルメールの筆は光の代用
ずっと見ていたかったのに
わたしは弁明しなけ ....
わがままなあなたのReは愛しても
まだ足りないと盗みいるひと
雨の夜は朝がこないとテレビのなかの猫たち
雨でも散歩はできるよね、と
傍らのちいさな犬はぽつり
おやすみが言えなくな ....
武器の形をした島
地球上で最も凶暴な住民、ただしあくまで、潜在的に
ありふれてはいるが、空から見下ろせばその島は太平洋に浮かぶ拳銃にみえる、シリンダーのあたりから山となって人工の針葉樹林が ....
まんたもん
もう まんたもん やん ゆうたもん
みやてと まに もに たむいやな
よのやも やのまい ねをめたもん
たんなんね やんとんよ
( ねねねねね 笑 ねねねねね )
....
詩はエサを食べる
決して大食いではないけれど
食べなければ息絶える
日々大網構えて虎視眈々
あなたのいつものひと言
小さな微笑み
まなざし、ぬくもり、しぐさの数々
伝わる喜びと悲 ....
世界の食虫植物展
てのひらはそそと、ほたるのあかり
贓物をてらすと
くびれた腰の民族思想
わたしも生きものよ、
かずらを隠す種の保存が餌をうかがうふしだらな生足
挫いた関与が助けを求 ....
走るトリル
軽快な鍵盤の連打を聴くうちに
視界が開けて広大な一本の道が現れる
どこまでも追いかけてくるスケール
トップスピードの旋律に
併走したくて意識を集中させる
Gコードを ....
空いてます
ぼくのとなり
とても広くて
あなたのわがままはすべて叶います
来ませんか
ぼくのとなりへ
ちょっと高くてこわいし
階段もないけど
その右手も 左手も
ぼくに差しの ....
この詩を読もうとしてくだっているかたに はじめに 申し上げておきます。
この詩には 少女の自殺がモチーフとして 扱われております。
そのような内容のものは、精神的に負担がかかるという自覚のある方は ....
どうやって?
どうやってと問われたら
下を向いて黙り込むしかない
戸を閉めて
羽根を言葉に紡ぐ訳でもなく
サギにもマジックにも縁がない
日頃の蛮行が明るみに・・・
隅っこを目 ....
こころよ、からだよ、がんばってくれ
俺はいま
疲れること
めんどくさいこと
そんなことを一生懸命やりぬいて
たましいを高みに運んでいるのだから
出棺を待つ君は安らかな表情で
首筋にあるべき索状痕は目立たぬよう化粧を施され
凄惨な最期を遂げたようには見えなかった
呼びかければ目を覚ますのではとか
冗談が過ぎたかな
頭を掻きながら棺 ....
あ、義父さん
ハンカチを一枚お借りします
+ + +
初めて会うひとはわたしのすべてを見透かしたあとに
無学なバイトの若造が生活(いちにんまえ)を語るのかと息巻きながらも
そ ....
パン工場に出かける前に
海辺で裸になる日課
務め後は陸上公園で裸足になる日課
仕事中はいつも外ばかり見ている
砲丸投げのサークルには水がたまっている
べとべとする地面で走る馬鹿は他に ....
暑中お見舞い申し上げます。 たま
地下鉄
地下鉄はまっすぐ走るものだと思っていた
車体が傾いてとなりの女の顔が急に近づいた
ね、 複雑でしょ・・
耳元の吐息はいつも体 ....
べつだん躊躇ったりすることもなく
無造作に引きちぎった胸元のボタンを手渡してくれた
「ありがとう」
「礼なんていらないよ
こうするものらしいしさ」
恥じらいをみせれくれれば可愛い ....
受精で
創造されたもの
壁のない部屋が荒れ狂う大宇宙のはるか彼方を漂っていた
巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨 巨巨 あ 巨巨巨
巨大なたたずまいが四億の夜を硬化 ....
仕事をおえ
歩む家路の安らかさ
大切な人とともに食べる
白米のしぜんな旨さ
簡単に愛してよ
行間にひそませた
なんやかんやはいらない
....
110626
首が回らない
それは緊張し過ぎたためでしょう
お金がないのはそれだけ厳しいことですから
500円不足の苦情処理途中に
1万円札 ....
辞書を落とす
ページがめくれて
言葉が次々と
空にむかって
飛んで行ってしまう
真っ白になった辞書を抱えたまま
駅のある方へ歩く
今日話そうとしていたことは
正確な意味 ....
あなたの詩に抱かれていたい
僕は乾燥し切ったせんべいです
あなたの詩を抱いていたい
僕は受信感度の悪いラジオです
あなたの言葉の調べで眠りに就きたい
僕は炭酸の抜けたコーラ
....
灯ったら
と思ったら
なんでかな
すぐ消えた
ここでお別れ
夕方五時の鐘
最後にひとつ
一番星をプレゼント
たいしたことなくてごめんね
できることがすくなくても
いつも
....
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