まほろばとえし
乾 加津也

世界の食虫植物展
てのひらはそそと、ほたるのあかり
贓物をてらすと
くびれた腰の民族思想
 わたしも生きものよ、
かずらを隠す種の保存が餌をうかがうふしだらな生足

挫いた関与が助けを求める
 わたし一人で歩けません、どうか肩をお貸しください
割れて零れた精油のあろま
みほとけは手を差し伸べ

 嗚呼痛い、こちらで少し休ませて、
腰かけた苔岩が下がり
眼前を交差するいくつもの爪
両脇の肉壁が迫り肌にじりじりと日焼けがしょっぱい

裂かれるパンの摂理
虫はおりえんたる浴場にくだろう
(蟻の脳を支配する茸もあるらしい)
びっしょり濡れた本能が穂首のようにつややかだ
 どりゐむは粋だな、
溺れながら「荒唐無稽」が書けるものか
うつぶせの土肌にながく人差し指を突きいれ
カーボンのすうぷをゆるりゆるりと攪拌する


自由詩 まほろばとえし Copyright 乾 加津也 2011-09-06 17:10:33
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