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  女よ、
  きみが
  歪んだ嘘をついた日には
  茂る緑の淡い影を
  湿った風が揺らしていった



  それが
  すっと吹きやむのを待って
  赤い土のうえに、 ....
  倉庫の隅で
  ひとつの闇と
  もうひとつの闇が
  汗をかきながら踊っている



  南京錠のこじあけられる
  冷徹な音をおそれ
  かれらは時折、同時に
   ....
  夕方の台所で
  君を抱きしめた
  つらいことが沢山あったし
  他にどうしようも無くて



  火にかけたアルミ鍋から
  醤油の優しい匂いがただよい
  嗅ぎなれ ....
  灰色の老人が
  灰色の部屋に
  冬晴れの空より蒼い
  バケツを忘れていった



  その、つるりとした底面に
  透明な昆虫がうじゃうじゃ蠢き
  透明な手首を噛 ....
  西日でぬるくなった床に
  灰色のハンチング帽を落とす
  埃の膜がふんわりと散って
  光の白い模様を描く
  リュックサックをベッドに抛って
  窮屈なコートをハンガーにかけ ....
  透明なせせらぎが遥か遠くで
  岩の間をくぐり抜けてゆくのが
  聴こえてきそうな三月の朝
  いたずらな顔をして君が
  せがむみたいに背伸びをしたから
  僕たちは口づけをか ....
  まるでこの世の始まりから
  僕を待っていたように
  茶色い床に君の
  十二枚の写真が散らばっている
  秋の風が窓の外で
  穏やかにはためく午後
  僕はグラスに冷たい ....
  とても静かな川に
  三羽の白鳥がおりてくるのを
  土手に座って眺めていた
  冬は
  遠くまで澄んでいて
  羽ばたきの音も
  波紋の微かなひろがりも
  すぐ傍らに ....
  三月の
  まだ、少し肌寒い日
  人々のざわめきが
  どこか他人事のように響く朝
  駅へと続く道を僕が
  いつも通りに歩いていると
  巨大なエスカレーターが
  青空に ....
  あなたの
  マグカップの
  つるりとした空洞の
  最深部で
  パロールも
  道徳も
  大恋愛も
  なにもかも終わっていた
  冬になると
  唇が乾くだろう ....
  しんしんと
  雪のように眠っている
  君の
  シャツの
  胸のあたりに光がにじみ



  そこだけが
  かわいた月面になる
  白、
  黄、
  水色 ....
  ぽっかりと口をあけて
  君はねむっている
  愛さずにいられない
  その唇が
  ときに嘲ることもあるというのに



  睫毛をしんとさせて
  ねむっている
  ....
  鮮やかな桃の色をした
  あなたの大切な鞄が
  線路の上にある
  今は秋の朝
  未だ人のまばらな
  プラットホームから眺めるとそれは
  轢かれるのを待っているように見 ....
  仕事をおえ
  歩む家路の安らかさ
  大切な人とともに食べる
  白米のしぜんな旨さ



  簡単に愛してよ
  行間にひそませた
  なんやかんやはいらない

 ....
木原東子さんの草野春心さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 草野春心自由詩812-6-23
倉庫- 草野春心自由詩10*12-5-13
若さ- 草野春心自由詩13*12-3-24
蒼いバケツ- 草野春心自由詩4*12-2-28
裁縫- 草野春心自由詩7*11-12-29
縁側- 草野春心自由詩11*11-12-12
レンズ- 草野春心自由詩21*11-11-24
白鳥- 草野春心自由詩3*11-11-12
三月のエスカレーター- 草野春心自由詩6*11-11-7
マグカップ- 草野春心自由詩7*11-10-30
胸に月- 草野春心自由詩6*11-10-27
寝顔- 草野春心自由詩6*11-10-18
桃色の鞄- 草野春心自由詩7*11-10-16
かんたんに- 草野春心自由詩6*11-6-26

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