いつかへとつづくあゆみ
服部 剛

教室の窓際の席で
空に浮かんだ雲を眺めて
先生の話はうわの空

君にはきっと
いつまでも見つからない
「探し物」がある

机の下に隠した携帯電話が
理由わけもなく震えて
受信したのは
同じ教室の中から送信された
友達からのメッセージ
大人に言えない本音のつぶやきは
いつも小さい画面の中

やがて脱ぎ去る制服は
すでに胸の内の焼却炉に燃やして
「少女」から「女」へと
化粧が素顔にしみこんでゆく

(あるいは化粧が仮面となってゆく)

君の耳を吹き過ぎる
風のうたの言葉にならぬ鳴き声を
君はこれからつむいでゆく
 
やがて道の向こうから

 「挫折」

という巨大な文字が迫ってきても
打ちのめされた夜の淵からゆっくりと起き上がる君は
人知れず唇を結んで奥歯を噛み締め
全ての矛盾を笑い飛ばしながら
地響きのする文字の下をくぐり抜けて
明日の舞台を目指して突き進んでゆくだろう

いつか
世界にひとつの花園を封じ込めた
万華鏡のタペストリーを
大空に広げる日のために 








自由詩 いつかへとつづくあゆみ Copyright 服部 剛 2005-07-27 18:35:17
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