火に話しかけて
(夜の原のうつせみ)
応えはなく
空は硬く鳴る
花が降りてきては飛び去る
鳥は川を下る
無言がかがやき
鳥のあとを追う
花の楽器 ....
象の尾に
憎悪がぶら下がってる
冷たい温度で憎しみは
僕の肉に染みついてる
ナメクジの
せわしない足音がする
雨上がりの動物辞典
神様、
席替えしてもいいですか
....
6月4日AM0時05分
玄関の鍵をあけ、
わたしを窮屈な女に閉じこめている
ストッキングを脱ぐときが楽園。
爪をひっかけて伝線、
1回500円の過ちにイライラする。
....
美しい赤紫色の旋律弾けて
夕日が沈んでいく
幕が下り
紅潮した顔も
明日になれば澄んだ瞳で朝を迎えるのだろう
*
終わりなき道程も
休息を交えながら進むように
....
泣きたかったあの時
笑いたい毎日
作り笑いが上手さ
フェイクの自分
意志の塊
思いが千里をかける
メンフィスは再び{ルビ蘇=よみがえ}る
{ルビ古=いにしえ}の精神が今宵再び...
....
いったい僕らはなぜ
神によって地球になげこまれたのか
惨めなまでに世界は醜くなる
いくら注ぎ込めば
人類はこんなにもおろかになるのか
直流する稲妻に乗って
いばらの ....
重なりあった
意識や
重なりあった
鼓動が
不意に 離れていって
また
落ちていく
蒼い 闇に
情けはなくて
ひとりを望んだ
僕を 責める
梅雨にうたれながら
名のない暗い橋を渡る
向こう側に行きたい訳でもなく
ただ
濁り始めた広い流れを
見たいため
曖昧に濡れてけむる
遠景を見ようとして
俯瞰ではなく
流れる川の音と
....
友達に今度
デートするんだって?
あの子の事が好きなの?
そんなの言えるわけないよ!
どうでしょうね?!
と言ったら、遊びなの?
と言われてしまった。
ご想像におまかせします。
と ....
私とはひとつ違いだった
先生の評判を聞きつけて遠方から通ってくる
いわばミーハーな生徒さん同士
どちらからともなく話しかけると
すぐに古くからの友だちみたいに親しくなって
いわゆる「気の ....
まだ色を持たない紫陽花は
ふつふつと泡みたいな蕾をつけて
くすんだ背景に溶け込む
重たく湿った空気の匂いがし
右足の古傷がしくしくと痛む
身体は正確に天気を教えてくれる
....
窓には
色々な表情がある
内側から見えるもの
外から垣間見えるもの
人のココロの襞のように
内と外では違う
違うから人なのだ
だから
深いところで
おしはかろうとし
それでも
思 ....
トーストの焼ける匂い
床を転がるジャム瓶のふた
バーゲンセールの飛行船
戦場からの生中継
すべての朝に融けてゆく
コーヒー片手に棚の上
無限がそこに座ってる
....
そこそこの底にはいつも君がいて
そこそこの底ではいつも雨
そこそこの底の君が濡れないように
そこそこの底までおおう傘をひろげる
闇にも鮮やかな黄色い傘に
金の糸で縫いつけた心星が
そこ ....
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という
撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
....
君らが私の年輪を見遣る時には、すでに私は切り倒された後だろう。
残された私の上で、手を合わせるのは誰だろう。
そこから見える東雲は、成功と報酬に溢れているだろうか。
それとも人間らし ....
生地を回して
伸ばして
カッコイイ
俺も作りたい!
トマトの乗った
ピッツァパイ
チーズたっぷり
サラミを乗せて
できあがり
ワイン飲んで
至福のひと時
仕事は午前で終わ ....
モノクロの空を仰ぐ
モノトーンがいくら混ざったって
見える景色は殺伐とした
あまりにもつまらなすぎる
風景だった
地球の軋みを耳で聞き取り
それをしらせようと
....
遠い記憶
あのひとが
言ってくれたコトバ
キミの存在価値は
ボクが認めるって
信じよう
覚えておこう
このそらの下に
あのひともいる
もう二度と
会えなくても
夏がほどけて…
*
魂迄もが吸い込まれそうな程
深く澄んだ青空の背景に7月が漂う午後に、溜め息一つ
ふうっと飛ばせば、眦(まなじり)を掠めて悪戯小僧の麦藁帽子が天高く舞い上がり
通りすがりの風 ....
僕らは約束をかわしていた
生まれてから今日まで一人で生きてきたつもりになって
世界なんてクソ喰らえって
地面に唾を吐いたりして
反抗心を燃やすことばかりに夢中になって
大切なも ....
今まで会った
いく人もの
あなた
(たちではなく)
の輪郭は
時間に洗われて
薄くなり
次第に
わたしの中の
小さな歴史になる
不揃いで
気まぐれな
「その時」「あの時」
....
はたと醒めては朝を呪い
ふと我に返っては白昼に佇む
夜な夜な待てども、愛想もない
ちぎれた写真を並べても
知らない顔があるばかり
いつからだろう
こんなにも笑わなくなったのは
慣 ....
かんだかい悲鳴で目が覚める
でもそれはちがかった
醒めたのは覚醒の産声
もう後ろには下がることが
できなかった
今まですれ違った人達は
世界の何%だろうか
今 ....
貴方が遠い昔に画布に閉じ込めた想いが、遥か時を航り
海を隔てた僕の岸辺に辿り着く
貴方が空と大地と巡る風の中に垣間見た世界が、
碧眼ではない僕のレンズを通して
色鮮やかに脳裏に広がって行く
風 ....
演劇部の先輩のふくらはぎに
さくり、と突きたつ
矢文になりたい
長閑な朝の通学路に
あらっ?と気づかれて
さらさらほどかれたい
演目は
「草原とピアノと少女と」
そんなガラス球 ....
雨の匂いがする
埃っぽい陽射しの名残りを弔って
闇に隠れ
秘密裏に行われる洗礼は
いつしか
もっと内側まで注がれるはず、
そんなことを
どこか信じている
陰音階の音だけ降らせ
目に見 ....
写真にうつっている僕は
満面の笑みでカメラを見つめていた
でもそれは過去の遺物
その写真にライターで火をつけて
灰皿になげすてる
今なら言えることは
昨日は言えなか ....
深紅のイチョウが
月夜の湖に鮮やかな
色彩を描き出す
底の見えない水溜まりに
興味本意に足を突っ込む
そのまままっさかさまに
落ちていずれ反対側にたどり着く
....
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る
轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど
....
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