仏間に坐って
うなだれ
首を
さしだしていたことがある
白刃の前に
ながれる水音に
耳を澄ませていたことがある
客観的なまでに静まった ....
サバは猫ではなかった。
猫がサバだったのだ。
おもい。
わりきれない素数のように
バサッと
樹のうえから降ってきた新しい猫と屁理屈を彼女はうけとることにしたのだ。
おもてなしうらなしてだ ....
絵描きの家には絵筆が数えきれないほどあった
太さが様々な絵筆が ところ狭しと並んでいた
絵描きは嘘をついていた
彼は絵描きではなかった
どこかに球体があった
それはそれは丸かった
....
逆立ちする樹は
王子の星を三本で覆い尽くし
そのうち星は崩壊
逆立ちする樹は
なぜか地球の一角に
サンテグジュペリの祖国の支配
沢山の奇跡の巨大な島
地上の奇観 バオバブの森
漂流 ....
うすあかりの光りがまだら模様をえがく夜
わたしは、私を忘れる
「風が出てきたみたいだ。梢の影が踊っている。
ここには、街灯はないのだから…」
「月明かりね。風音が変わった ....
しっかり生きていこうと思ってはいたが、
うっかり長生きしすぎてしまったものだから
がっかりするようなことを沢山見てしまった。
うっかり長生きしすぎてしまったので
しっかりすることなく生 ....
私がよく行くインポート専門のブティックがある。
ショップ名は「armoire caprice」
(アーモワール・カプリス)
もしかしたら御記憶の方もいらっしゃるかもしれないが、
以前この現代詩 ....
傷ついた身体を引きずりながら
女達は歩いている。
時が過ぎ、いつかは存在すらも
見知らぬ人々の波に、埋もれて行くのだろう。。。
百年先も/千年先も
残るモノはあるのだろう ....
私にとってあなたは特別な存在
その雄大さ故に私達を翻弄する
あなたの巨大さで世界を見ると
私なんて砂の一粒とも同等だろう
そういえば
火星にあなたが居た痕跡があると聞いた
本当なの?
....
黄昏の陽は降りそそぎ
無数の葉群が{ルビ煌々=きらきら}踊る
避暑地の村で
透きとほった風は吹き抜け
木々の囁く歌に囲まれ
立ち尽くす彼は
いつも、夢に視ていた
....
ゆうべはねむれないまま舟を漕いだ
ねむれないまま舟を操り蘆を払って湖沼をすすんだ
朦朧とねむれないままもとの舟着場にもどる
と、先がみえない霧のなかを漂流していたことがわ ....
黄色い壁伝い 石畳の路地
幅一メートルほどの狭い路地を歩き続ける。
どこまで行っても路地
何時になったら この路地抜けられるのか
少し、焦りながら歩いて行く
突然視界が開け
突然光が戻 ....
河に飛び込み死にきれず
首を縊って縄切れて
手首は切る部位無くなって、
やはりその日も死にきれず
昨日も一日長く生き
今日も一日長くイキ
明日も一日生きるのだ
死んで花実が咲 ....
農業をする蟻ハキリアリをみていた
福山雅治が
素っ頓狂な声をあげた
列をなして葉っぱを運んでいる
きりとった葉っぱをミドリの帆にして巣穴に運んでいる
蟻の道が ....
それは
冬 限定の屋台
あたしの
生まれた
県北の街
深谷市西島の
母の実家の前に
現れる
夕食前の
薄腹の空いた時間
銭湯のまん前の
母の実家は
タバコ屋さん
....
{引用=
真夜中に犬の声がかけてゆく
やっと帰宅した息子と
息子の帰宅を待っていた家内が
ダイニング・テーブルではなしをしている
声が
ボソボソきこえる
テレビの ....
愛さえあればなんてね
でもそれってお金で買えそうな気もするよ
何もしないからと言いながら
私の背中に変なのを押し当ててくる
そんな安っぽいんじゃなくてさ
至高の愛
とか
無償 ....
腹がへらなきゃ 旅に出たろうか
(きみをおきざりにして)
学校がなけりゃ 学ばなかっただろうか
(きみに出会い)
泣いていたら きみは
なぐさめてくれただろうか
(きみを守ろうと)
....
琥珀色のサウンドトラックが、
頭蓋骨の内側を濡らしていく
すっかり皺が減り、ツルンとした私の大脳皮質
鼓膜までねじこむイヤホンや
タイムラインを流れる電子文字で
刻まれたものが薄れ、 ....
温められた皿が食卓に置かれている
「私を彩って。そして汚して…。」と
上気した白さで語りかけてくる
アンティパストでは物足りないと言いたげな光沢で
ゆるやかなフォルムの輪郭を際立たせている
....
私は鳥
もう空を飛べない
羽根をもがれて
ゴミ捨て場が臨終の地
腐臭しか知らず
地面のキズを数えて歩く
朝の光は冷たかった
でもわたしはとり
清掃車に潰れる私の肉体
飛び ....
(な)
なにもない
なもない
なのはなさいていた
ほかのなにかに
なりたくて
なりたくても
なれなくて
ならなくて
よかったと
なまえもないのに
さいてい ....
自分のすきなものを
あなたにそっと教える
まるで幸せを
あなたにわけるように
いつかあなたと
わたしのすきなものを
一緒に楽しめたなら
すきなものは
大事なものになる
わすれ ....
ずっと
一緒にいたいと
思っています。
おしゃべりしてると
ずっと。
眺めてると
もっと。
ははっ・・・。
なんだかな、
なんだかね。
こういうのは
危険 ....
<ブラッディ・マリ―>
ブラッディ・マリーと君の唇の色が同じだから、
どちらに口をつけようか迷っている。
君は何のためらいもなく赤い液体を飲み干す。
重なったその色が乾く前 ....
{引用=
図書館へ向かう碧いスロープの
脇に咲く珊瑚の合間を縫いながら
ゆらゆらとスカートの尾ひれを漂わせて
記憶の深海へと迷い込む
見たこともない
七色の藻屑を拾い集め
繰り返し剥 ....
{引用=
草の先を
むすんで
おくのだという
悪戯心
という
生易しいものではない
もっともっと切羽詰まったもので
おさない死児が
先に逝った親しいもの ....
やまぐりひろって
かわをむこう
ひとり10こだ
みんなでむこう
たきつけからまつ
あつめてこよう
たねびにくべたら
さんそをおくろう
まきについ ....
光りをなくした
名もない星たちが
うつむいては 化石のように
眠っている
ちゃんと笑ってあげたら
隙間に触れることだって できたのに
平穏という残酷な家の灯りに
夜の積み木を ....
さっき
セックスをしながら
メールをうってて
いきそうに
なったときに
「イク」
と
送信
して
しまった
ことが
ある人とは
心
を
ひらいて
話しを
しても
いー ....
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