お控えなすって
ご当家の 軒先の仁義 失礼でござんすが お控えなすって
障子より目玉だけ出しておられる お坊ちゃんお嬢ちゃんも お控えなすって
わたくし生国は 大海原 水界のはてに発します
....
キーツが本の中から語る
細い川の流れが、視える
道を歩くわたしの影にも
細い川の流れが、視える
時代も国も
異なる二人の間を
結ぶ
ときの川のせせらぎに
耳を澄まして歩けば
....
触れてはいけぬ世界の扉をそっと開けると
ブルウに満ちた世界が広がっていて
そっと息を吐いたつもりが
余りにも早い雲の動きに目を奪われて
そのまま 立ち尽くしてしまう
そんな 夢を観た
....
夜って奴は難儀する
世界がつながったり蠢いたり
蛍光灯にひとり照らされたりしている
あしたから
でっかく占める寒気団が
世界をすこし冷やす
なみだや眠気やじぶん ....
僕は宇宙の大きさに耐えられない
沢山の可能性と希望を両手に抱えて生きることに疲れた
多くの人間は
極小だけど物凄い質量のぎゅーっと固められた点
ブラックホールみたいな点に向かう
というか吸い ....
10個の約束があって
1個ぐらいしか守れない
人間そんなもんだ
100個の夢があって
1個ぐらいしか実現しない
世の中そんなもんだ
でもその1個は大事
本当に大切なものを見失ってはな ....
なんでもあるのに
なんでも失ってしまった
過去よ、届けて
未来よ、授けて
心に従うなんて
大きく揺れてるときは
混乱を招くだけ
ただ信じて待つ
たとえ信じることが
見 ....
会社を出る
日時計のころも
ひとは夜になると
目が見えなくなるぐらい
こんなに働いていたのだろうか
太陽が動く
時計回りの影が浮く
太陽と地球の信頼関係
....
夢の中だったのかもしれない
いつでもおかえり、と
声だけ聴こえた
或いは現実だったのかもしれない
耳の底の小部屋にそれは
棲みついた
文字にすれば水彩
いつでもおかえり
いつ帰って ....
ありがとうとか
おめでとうって
なにに対して言っているのだろう
存在に?
いのちに?
存在はいのちによって存在する?
こころに?
存在が放ついくつものこころに?
精神に?
....
夜のはしっこを
つかまえて
はしりぬける
光の点滅を
鼓動につないで
たかいところから
ゆさぶられる
ように
きらきらとらっかする
まばたきのあいまに
ひらひらとはため ....
重金属のアラカルト
沈んでゆきます
沈んでゆきます
波があるのに漂えず
沈んでゆきます
沈んでゆきます
僕忌み嫌われてます
母さんが観葉植物のしたでキスし ....
私が今、ここに立っているのは
素朴な一つの謎であり
今日の場面を、静かにみつめ
掌にのる
小さな巻物を開いて
設問を解き明かしながら
歩きたい
重力に支配されるこの世界で
私は ....
光の中で 輪になって 踊る人達
喧騒を離れた アスファルトジャングル
照り返しの陽射しも 落ち着きを取り戻す カクテルナイト
ライトアップされた 幻想的な雰囲気に 包まれて
ほんのりと ....
軽やかな指先で美しい旋律を奏でている
貴方のピアノの音色がとても好きだった
薄地のカーテン越しに差し込む陽射しに
光のベールを纏っているかのように見えた
思い出を頼りに貴方の仕草を真似して ....
詩はいつも
説明不足の
ひとの確信
だから全く誤解も生じよう
正当化にうずうずもしよう
声があってもそうもなろう
詩はいつも
こころの数だけある
こ ....
白いホールケーキのような町に
シャベルで切れ目を入れたとしても
真新しい粉が空から降って
思い出を挟む間もなく積もる
傘も差せずに動いているなら
髪を白く染めてゆく雪の精
何十年も先の ....
森には絶えることなく
動物達の声が充満する
捕らえた耳の奥は
三半規管の居場所
真っ直ぐ歩く歩き方
特に滑らかな関節を
楽しむしぐさなど
脳との関係でいうところの
制御された身体の恍惚 ....
赤子が泣いてる
怯えて泣いてる
しがみつき
泣きじゃくり
ぬくもり求めてる
母の胸の中
すやすや眠る
夢見てる
鳥の夢
花の夢
笑ってる
....
君と話すのはいつだって楽しい。
図書室のなかで、校庭のすみで、僕らはたくさん話をした。
君は僕の疑問へ無理に答えを与えたりはしない。
君は、分からないということを風に揺れる風鈴のように愛している ....
新宿は滝の音がずっとしている
ひっきりなしに行き交う車の音なんだと思うけど
それは間違いなく滝の音なんだ
その音に近づいていく
歩いて歩いて近づいていく
目の前にとつ ....
ワタクシの中身は
ワタクシメにも 分からない
見えるのは 表
コインを飛ばした 掌のように
一瞬にして 解読できたら 器用でしょうに
解毒作用のある 高名な飲料を以てしても
流し去る事 ....
花のかたちは化かしあい
化かしあいはいたいけな愛のかたち
水はかたちをかえていく
とめどなくこんなとこまで流れ来る
不安と寂しさがまじりあう
健気な生き物たちを迷わせ ....
深く眠って目覚めた朝のゆびさきは
少しまだ透明がかって
夜が
見えかくれしている
動いている心臓は赤い磁石
覚醒してゆく時間に
わたしのかけらを
元在った場所に吸い寄せて
願っ ....
時計のないまちを歩くと
歩数計が時間にすりかわる
きみの面影ばかりがやきついた瞳は
きょうも空疎で狭窄しているみたいだし
きのう人参畑だった農地には
いつのまにかウイークリーマンショ ....
片目を射抜かれたので
精肉部門に逃げ込んで
働かせてもらうことにした
精肉部門では隠れてカイコを
飼って居た様で
絹糸を秘かに作って居ると言う噂だった
私はシルクロードに居る様な気分で
....
怒っていいことなんてたぶんない
つまらない顔をしていいなんてこともたぶんない
原色のなみだを
灰色の片目から空にながそう
音楽は消えていく
消えていくから生まれていく
....
授業中
牛乳のみたくなったら
ぴゅっぴゅって
つくえのうえで踊り出すの
よこに映った横顔
くちびるをうえにめくって歌い出すの
ひらめきは月の光
桜並木をひとり ....
それから空は夏雲湧き立ち、風は川を越えて丘を越えて、それから線路を越えて団地を越えて、それからあの家の窓を抜けて、あの白い壁の部屋をぐるりと回る。部屋には檻があって虎がいて、虎は檻の中で待っている。誰 ....
薄くにじむ曇天に
陽は破れ
私たちは歩く
口の尖った犬を抱えて
濃い実の残る柿の梢に
風をぶら下げて
風の飛び去る松の林に
大きな瞳を棲まわせて
薄くにじむ曇天に
陽は動かな ....
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