暑さにうなだれている名も知らない花は
剥がれかけたマニキュアと同じ色をしていた

使われているひとつひとつの配色が
くっきりとしたものばかりなのは何故だろう
まぜこぜしないのがこの季節で
 ....
忘れかけている遠い記憶のあの子

白いワンピースがお気に入りだった
生まれつき色素が薄かったようで
肌は陶器のようにつるりと白く
髪は太陽に透けるような茶色だった

大人は口をそろえて
 ....
たとえばこの町が水に沈んでしまったら

君への祈りも
僕らの言葉も
何もかもすべて、冬になれば凍って
そのまま永遠に
美しい水平線を保てるのかなと

冷たい手のままで笑んだ

風は ....
小さな赤い宝箱のなかには

赤い血で練られた

犬の人形が一人

教会のステンドグラスでは

神が僕らを見下していた

見えない手によって

人々は屍となっていた

何もし ....
ワードを開いたがカーソルがない
右クリック、右クリック
真っ白なのでマウスを叩きつける
「使わせろや」

ノートを引っ張り出す
ボールペンを滑らせても
色が出ない、
こすってみても
 ....
おさなごの手で目隠しされたみたいに
まだ薄白くぼんやりとした月は
うろこ雲のすき間から顔を少しだけ見せる

指で四角に切り取って覗き込んでみた
ぼくたちよりうんと長く生きたこの風景は
瑞々 ....
旅人は{ルビ叢=くさむら}に埋れて 
横たわり  
いちめんの空に 
浮雲の群を見ていた 

それぞれに{ルビ流離=さすら}う雲は 
違った形の膨らみで 
西から東へ流れゆく 

自 ....
あんさん、覚えておきなはれ
京都のおんな、みんながみんな
はんなりしてるおもたらあきません
御着物似合うおもたらあきません

夜の先斗町はえらいにぎやか
酔っ払った兄さんたちがふらふらと
 ....
そこそこの底にはいつも君がいて
そこそこの底ではいつも雨
そこそこの底の君が濡れないように
そこそこの底までおおう傘をひろげる

闇にも鮮やかな黄色い傘に
金の糸で縫いつけた心星が

そこ ....
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という

撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
 ....
大騒ぎしていた隣の部屋の大学生も
煙を撒き散らしていたスポーツカーも
凛と顔を上げていた向日葵も
みんなみんな、眠ってしまった

ベランダから両足を突き出して
ぶらぶらと泳がせて笑ってみる ....
安全地帯で
おままごと
バラアーチの真下
鬱陶しいほどの香り
白い食器はママのお古
お庭の隅
小さな噴水から
流れる水の音
どこか遠くで
電車が走ってる
蔦の絡まる塀の内側
中空 ....
そして扉の向こう側になにかがあふれている
閉じていた扉をあけるとそこには透明な顔ばかりがあっちやこっちを向いている
みんなばらばらにどこかにいこうとして
ただ浮かんでいるだけ
あたしもおなじよ ....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい

幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい

大人 ....
言葉の羅列に侵されてく
そんな瞬間の私

怯えるように痛みの先を舐めて
舌の先に灯った芳香に焦がれた
貴方の瞳が夜明け色なら
私の瞳は最果てを映してた

言わないで口を紡いでて
綺麗 ....
灼熱地獄の中
雪を見つけようとした
山にも雪はないこの季節
ゆびさきから溶けてしまいそうで
原形をとどめるのに一苦労

光から遠ざかろうと
太陽から逃げひさしの中へ
細め ....
本気で思っていました
この恋愛には
私の人生がかかってるんだと

愛を確信していました
あなたからの本物の愛を


いま
ふられて初めて気づきました
私は狂っていたんだ!!
 
 
真夜中
いつもの丘の上で
木が空を見上げている

まさか木星を
故郷だと思ってるのでは

僕も空を見上げる

まさかあの青い星を
故郷だと思ってるのでは

木は僕と ....
ねばい黄色い熱が

女たちの声に裂かれている

それはずいぶん

長いあいだ裂かれていた

腐りはじめた原色

そのひかりが黒に吸われている

まばゆい闇の中で

彼女のこ ....
五月の夜が更ける
上限を過ぎた月が
丘々を 森を照らし
小さなこの庭を照らしている
ほの甘い空気の中には
すでに夏の気配が かすかになやましく
ひそやかに 息づいている

室内では 夜 ....
孤独感がかなりする。
もうじきいい年だというのに人間として成長していないからだ。
人のせいにすべきではないのだけど、昔も今も人の努力を笑う連中のせいだ!
そんな輩はいなくなればいいのに。消えてし ....
認めなきゃ
じぶんより志しの低いひとに
誹謗中傷されようと
認めなきゃ
ぼくはその毒にやられてしまう
夜も寝れない口惜しい気持ち
そんなものを認めていても
ぼくはその毒にやられてしまうだ ....
普通に分かると思っていた

この没落された国家が

何の機能もしていない

パンドラの箱だということを

沸点をこしてもまだ沸騰しない
涙のアパートは

決して崩れるといった選択 ....
考えないようにして暮らしてる
考えても仕方がないこと

たとえばあなたのこと

もう
考えてもしかたない
あの頃には
二度と戻れないから
そんなこと
もちろんわかってるよ

い ....
ある日、意表をつくように 
(体の透けた人)は 
微かな足音も立てずに 
この胸の扉の鍵を開けて 
足を踏み入れて来るだろう  

私は三十三年の間 
世に産声を上げた 
あの日から  ....
アスファルトは不意に
思いつめたように体を丸めた

巻かれてゆく坂道
自ら傾斜に耐えられず

すまなかったね、と仕事を終える
かつて裏切った砂利道が
傍から後ろから現れ
雑草を添えて ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる

太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている

 ....
小さな巻貝の奥に
灯りがともる
小さな海の人が
書き物をしている
波から聞いた話を
青いインクでしたためる
書き終えると
小さくてごく薄い紙片を
丁寧にたたみ
小さな封筒に入れて
 ....
生きることは
漂流することだ

海路は
はっきりと見えるものではなくて
だから時々迷ってしまったり
沈んでしまいそうになる

大波にさらわれたら
口からぷくぷくと細かな泡を吐き出し
 ....
仕事から帰ると 
三ヶ月前に世を去った祖母の 
妹のI叔母さんが 
ソファーに腰掛け 
親父とお茶を飲んでいた 

母ちゃんが 
「お茶をもう一杯・・・」 
と言うと 

I叔母さ ....
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