すべてのおすすめ
天気はさまざまなものを
当たりまえのものであるかのように
人に見せる
そうして見せながらも黙っている
黙っているから人は勝手に騒いで
動き回ってくれるのだ
道の真中過ぎに
坐っているもの ....
相変わらず将来の見通しは立たず
ピッツバーグの夜は何もない
リクナビもマイナビもエンジャパンも放置して
セブンスター吸ってブラウザを疲れさせてる
ピッツに何もないって言っても東京だって大し ....
暑い夜には
海鳴りがきこえるので
眠れない
枕の歪みを直し
蒲団の端を折りたたんで
細心の注意をはらって
寝床をととのえても
それはきこえてくる
そうして眠れないまま
目醒め ....
090820
再導入された
資本主義と
評価を得たが
貧乏暮らしが
良くなるわけではなくて
お金持ちが再評価されて
資本の形成が促 ....
旅人は路地裏に入り
とあるギャラリーの戸を開いた
暗がりの壁に映し出された
ノートの縦線という「牢獄」の
内側に立つ
ひとりの囚人の絵が
何かを語りかけていた
椅子 ....
夕暮れの歩道橋から
今日も街ゆく人々を、眺める。
一人として同じ顔はないけれど
無数につらなる足音に耳を澄ませば
ぼんやりと
誰もがのっぺらぼうの
丸い顔に見え ....
夜になったばかりの砂浜に
喪服で佇む一人の女
黒いドレスに黒いハイヒール
光沢があるのは纏められた黒髪のみで
女の黒い部分のほとんどは
艶もなく影と夜に吸収されている
波打ち際にしゃが ....
090807
工程表をチェックする
好きなように出来るのは今のうちだけだ
楽しんで書きましょう
趣味の雑誌の解説に目を走らせる
好きなように ....
電話口で新郎は言いました
ここに線を引くんだ が イラストにも人生にもある
シンプルだけど強い線 を引ける 意思がある人
電話口で新婦が言いました
変化しそう だから観察している ....
私の字はどんどん汚くなっていく
言葉が泣いている
きれいに書かれたかっただろうに
誰も読めないような字にされて
私は言葉に土下座したい
それでも急がなければ
大事なこともすぐメモしないと忘 ....
ラグビーボール状の大地から すっくと佇む
月並みの強い風でも来れば吹き飛んでしまうとひとはいう
深夜の人気のない通り タクシーのライトが意識に撥ねる
歩き出してすぐさま 無心への欲求が増していく ....
毎日
夕暮れ時になると
必ずスーパーマーケットへ行ってしまう
何か買うべきものがあるように思うのだ
冷蔵庫の中には
肉も野菜もそろっているのに
心の片隅がすうすうして
それを埋めるものを ....
朝から晩まで働く
とはいうけれど
この頃は
朝から朝まで
働くことも多くなり
今日などは
昨日の朝から翌深夜まで働いて
今こうして
わずかばかりの自分の時間を
ひとり過ご ....
長雨は
母の辛抱
わたしの鏡に降り続く
快晴は
彼の信頼
わたしの鏡を照りつける
そしてうつくしい反射が生まれ
記号化していた言動が
{ルビ漲=みなぎ}るダンス・ステップになる ....
僕らは虚ろな階段を
カモメのように
カメムシのように
ひらひらと
ごそごそと
やりながら
途方もない一段を
へろへろと
へろへろと
のぼる
....
わたしが無職だったころ
茹で卵と塩むすびだけはんかちに包んで
毎日河原へ出かけていた
それしかやることがなかったのだ
アンケート用紙とかに
無職
と書くのが厭だったので
仕事を探してはい ....
淫らな夜に唾を吐きながら飛び惑う鳥だった、嘔吐のように溢れ出る鳴声のせいでいつでも水が欲しくてたまらなかった、カットされた景色のような電信柱の影をかすめながらうち捨てられた巨大なマンションの最 ....
ある者は
長年夢見ていた舞台に上がれず
どしゃぶりの雨の中
膝を落とし
ある者は
束の間な恋の物語に幕を下ろし
曇り日の街の迷路を
今日も彷徨い
ある者は ....
いつの間にかサラリーマンになっていた
立ったまま寝る通勤電車も少年ジャンプを読むおっさんにも慣れっこになっていた
まさかと思うじゃん
もう慣れた 慣れたよ
もしも誰かが「世界を征服しに ....
宇宙の規格が
地球の法則になる
出来事として行われたならば
街の片隅に残る
擦り切れたビデオテープを
永遠に焼けばいい
ノスタルジックな伝統が
息づく吐息は
乾ききらな ....
090731
拾ったばかりの
疑似餌を探す
空の彼方にあるはずと
小さな兄貴が法螺を吹く
疑似餌はおまえの目の前に
木の枝に
ぶらぶらと
見え ....
誰もいない家の
ベッドに一人横たわり
イヤフォンを耳に入れ
励ますような
君の唄声を聴いていた
窓から吹き込む夜風に
カレンダーはざわめいて
{ルビ捲=めく}れる暦の隙 ....
生温かい風が
宵闇のまちなかを吹き渡る
昼間の炎熱で地表はほてったまま
真夜中の太陽はいま
足元で褐色に光っている
サンパウロはいま南中を迎えた
足元の地層の遠い裏側を
真昼の太 ....
ふと見下ろした煉瓦の上に
蝸牛の子供が一匹
二本の細い触角で
何かを探るように、這っている
少しの間、僕は思いに耽り
ふたたび見下ろした
小さい渦巻はさっきより
確かに ....
少女の胸をノックする
自分の胸をノックする
聞こえるのは日付と曜日
それもよくわからない
18月緑曜日
25月五目曜日
116月アイロン曜日
(太陽ふ ....
わたしが生まれるよりうんと昔に
他界してしまった母方の祖父は
実直で陽気なひとだったと言う
わたしが高校の制服に袖を通して間もなく
他界してしまった母方の祖母は
大変に気の強いひとだ ....
090722
皆既食が終わると
なにもすることが無くなった(笑
散髪してから
魚屋で
鰺を2匹買う
豆腐屋でお豆腐を買い
帰宅して
鰺のフライと
....
ふと
あなたは
それが罪であることを知るでしょう
深い罪の上に、深い深い罪の上に
自らの人生があることを知るでしょう
生きることの出来なかった
様々な生の死体の上に
自らの生 ....
梅雨明け前の海
太陽は精を出しているが
海から吹いている風は
涼しさを運ぶ
少し汗を拭ってはいるが
心地よい空気の中に
忘れていた夏を感じる。
子供の時以来の夏に
僕は捕まった ....
ぼくは小学校にはいるまで
母の隣に寝ていた
母が小料理屋を始めて
夜遅くまで帰ってこなくなった
ぼくらの面倒をみるためにきた叔父が
押入れにあがって布団を被った
ぼくも隣にはいる
ぼくは ....
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