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不意に、息子がおれの手を握った。

思い返すと、おれが父の手に触れたのは、三回、その時を、今でも鮮明に覚えている。

はじめて父に、釣りに連れて行ってもらった時、土を掘って、ミミズ ....
 
 
前田屋というそば屋で
四人でそばを食べた
あれが最後だったと思う

ほんとうは
生まれたばかりの息子と
奥さんのそばに
いなければならなかったのに

遠いところから
会 ....
 
 
息子が生まれた日のちょうど一ヵ月後、
わたしはそれまで勤めた職場を辞めてきた。
午後四時半頃だったと思う。
いつもより早い帰宅に不穏な顔をしてる妻、
わたしはアパートのドア ....
 
 
ひさしぶりに
裏庭を見ていた

貝殻や
魚の死骸が
たくさん漂着していた

いつのまに
海が来ていたのだろう
命はまだ
こんなにも
満ちているのに

干潮の砂浜を ....
 
 
朝から晩まで働く
とはいうけれど
この頃は
朝から朝まで
働くことも多くなり
今日などは
昨日の朝から翌深夜まで働いて
今こうして
わずかばかりの自分の時間を
ひとり過ご ....
 
 
宇宙の規格が
地球の法則になる
出来事として行われたならば
街の片隅に残る
擦り切れたビデオテープを
永遠に焼けばいい

ノスタルジックな伝統が
息づく吐息は
乾ききらな ....
ハンバーガーショップで
別れたばかりの彼女からもらった
割引券を使った
本当は君を思い出すために
取っておきたかったけど
期限が迫ってたので
海老フライバーガーを注文した

 ....
 
戦争が終わらない
真夜中は
戦争を始めるため
回避するため
会議室で行われている

夜更け
戦争のための戦争は
繁華街に移行され
朝まで続く
眠らない街に
灰になって積もっ ....
 
鰈を煮る
味を染みこませるため
クッキングペーパーを被せると
白い肌や
薄黒い鰭や
卵の赤い色が透けて見える

顔に布を被せられた
祖父の顔にも
同じ色が透けて見えていた

 ....
 
そらのどこ
とぼくがたずねると
きみは
そらのとこ
とこたえるのだった

だからぼくはまた
そらのどこよ
とたずねてしまうからきみは
そらのとこよ
とこたえつづける
いつま ....
 
素数って
なんだろう

素麺みたいなものだろうか

こどもの頃
母は休日になると
素麺をつくってくれた

ぼくは
いつもわりきれない気持ちで
それを食べていた

世の中 ....
 
雪のひとたちが
亡くなってしまった
雪のひとの魂を
雪の中に埋めました

雪のこどもは
なぜそうするのか
雪のお母さんに聞きました

雪の中に埋めたのは
またいつか
雪に魂 ....
 
 仙台は変わった、と人は言うけれど、私はそうは思わない。たしかに、形而下の変化はあるにしても、変わったとすれば、それは人が変わったのだ。街を歩けば、古い地元の店は、休日だというのにシャッターが下 ....
 
南国の木が立っている
わたしのように
雪国に生まれてから
ずっと

南国の木は知らない
自分が
南国の木であることを
雪国の木であると
信じている

雪国で生まれたなら
 ....
 
かず子の外側から
年賀状が届く
地平線から地平線へ
わたしの内側へ

できるだけ
かんたんな言葉で
内側から溢れてしまうものが
零れてしまわないように
壊すことだってできたの ....
 
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった

ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
 もう結婚していて、小さな子供がいても不思議ではないような、女の人が、河原にやってきました。男物のサンダルと、子供用の小さなサンダル、そして薪を一束持って、河原にやって来ました。女の人は、河原 ....
北村 守通さんの小川 葉さんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
父の手- 小川 葉散文(批評 ...612-6-23
最後の家族- 小川 葉自由詩810-9-1
「ヴィヨンの妻」太宰治- 小川 葉散文(批評 ...609-9-10
秋の裏庭- 小川 葉自由詩1009-8-27
小雨綺談- 小川 葉自由詩2*09-8-5
AV女優- 小川 葉自由詩509-8-1
割引券- 小川 葉自由詩4*09-5-16
灰皿- 小川 葉自由詩6*09-3-16
- 小川 葉自由詩409-3-7
そらのとこ- 小川 葉自由詩1009-2-18
素数- 小川 葉自由詩409-2-5
雪の中に埋めたのは- 小川 葉自由詩4*09-1-19
雪のひとひら- 小川 葉散文(批評 ...7*09-1-19
南国の木- 小川 葉自由詩5*09-1-15
あけおめ- 小川 葉自由詩2*08-12-31
一億年前の休日- 小川 葉自由詩2008-11-2
河原の記憶- 小川 葉散文(批評 ...3*08-6-8

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