すべてのおすすめ
冬の薄灰色の空に
硝子の太陽
私が歩む通り沿いの柵には
光沢のない有刺鉄線
遠くに鉄塔群
私の今のこの歩みは
自分の部屋へと帰るためだが
それでいて
どこへ向かっているのでもない! ....
アイシャドウは塗るけど
ルージュは塗らない
赤いくちびるのあとを
どこにも残したくない
カップラーメンすすりながら
安いウォッカ飲んで
ねえわたしたちはいつもそんなもの
ねえ ....
小学校に行ったよ
山奥の
廃校になった
なにもかも小さくて
洗面台なんかほんと低くて
でも何でも揃ってて
まだ、ひとの気配がした
あんまり陽あたりがよくて
運動場も広いから
....
舞う、
それは、かすかに穏やかで
重力と風をさらう
そして、アスファルトへと帰るまで
溶けては消え、溶けては、
あたりは、
そうそうと時をつなげている、師走
風を分けて走 ....
神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので
幸せになりたいとお願いしてみた
神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた
期待に胸膨ら ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
どうしよう
あたし今
無性に貴方に逢いたい
冬の女王がローブを翻すと 雪は地に口付ける
棺に眠る秋を抱擁する腕は 冷たく
眠りは永遠のように凍り付いてしまう
その腕は 剣のように鋭利な 痛みを持って
空から降るいつかの春 ....
秒針の一周で
思い出すこと
君の瞳
君の笑顔
君のくちびる
君の言葉
君の仕草
君の指先
君の髪の色
君の肌の色
困ったとき見せる君のさみしい目
ふくれっつらしてほんとにふく ....
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした
できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
夜の暗さ
海の暗さ
そこのあるものの 暗さ
波が
うねりを繰り返し
何度でも打ち寄せる
夜の海
釣り人の
投げた重みが
ふかく沈む
あなたと
指を重む
その温度の確 ....
秋の葉が揺れ 踏み荒らされた道に 色
雨上がりの歩道に きみの あしあと
くしゃくしゃになりながら 乾く木の葉を足元に感じて
一寸先に 冬
凍えるにはまだ 風も ....
ひとが個である以上
どれだけ相手を愛しく想っても
決してひとつになることはなくて
触れ合う肌と肌の隙間には
宇宙より果てしない距離がある
その隙間が切なくて哀しくて
必死に ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
つまずきなさい、
何度でも
ほんとの意味のつまずきに
出会うときまで
何度でも
傷つきなさい、
何度でも
深手のつもり、で
いられるうちに
癒しのすべが
....
くるくる剥いた林檎の皮が
包丁持つ手にぐるぐる巻きついて
気分はまるで蛇使い
蛇の色の鮮やかさに恍惚
とする自分にエクスタシー
赤い風船 くもり空に飛ばして
太陽みたいだね、って
指 ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは ....
みずうみに手首を浸し
失くした鍵を探す
深い深い底へ
水面の月を掻き乱し
大事なものを失くしたふりをしながら
空洞の言い訳をするのだ
海岸線の弧が抉る
砂浜に埋まっている
息を
ひきとったはずの感傷が濃度を上げて
臭う潮風を
追放したい
繋がった手の
甲の皮膚から
繋がった肩に
鎮座するわたしの
頭 ....
恐る恐る結んだ声が
誰の目にも止まらなくてよかった
途切れそうなほど小さく続ける
名前のない歌
明日になったら忘れられる歌
身体の内側を洗うように
想いを言葉にぶちまけても
....
からからと 転がるかなしみだけが
音を立てていました
きのう 死んだ心がまた生き返ろうと、棺の蓋を叩いて
その音がまたからからと音を立てました
耳を塞げどその音は耳の中からするものです ....
からから
からから
糸巻き
運命巻き
繭は糸に 糸は呪縛へと
きつく きつく 縛られた運命の輪
オーロラ姫の紡ぐ先に
針の先が差すみちしるべ
あかいあかい道 ....
君の泣き声は ちいさくて きこえませんでした
つめたい雨のなか さがしていたのは ほんのちょっとの合図で
こころが 遠くにいってしまったのを悲しみながら またほかの事をおもっていました
本当 ....
夜気に退屈をさらけ出すプラタナスが
細い小枝で編んだ投網で上弦の月を引っかけている
葉陰から木漏れ日のように明かりを点滅させて
モールス信号を送る橙色
きっと月の頬には痕が残るほど
....
とおく とおく
はなれた街にいる 膝を抱えた少女を迎えに行かねば
夢の中の少女は夕日の沈む部屋にいるだろう
そこでただ独り 膝を抱えているだろう
窓は少しだけ開かれているかもしれない
....
わたしの声帯から延びた
蔦が
ビリジアンの意地悪だった
集合体は頑丈で 瑞々しい
唇をつたって、ずるずると
出ていく
あのひとの唇をつたって
入っていく
取り返しのつかない色
取 ....
色鮮やかな薄衣をまとった山あいは
戯れて欲しいと無言でせがみ
得も知れぬ愛おしさと
恋の味とは甘さばかりでは無いことを知る
その味わいのほろ苦さよ
古い峠道の傍らで人知れず朽ち果てた祠で ....
まぶしい雨が
わたしのひたいに落ちて
ぽとん と
奏でた
それは総天然色の
はかりしれない次元の
やさしさ
おもっていることが
おもっているように
雨は降るのだろう
だとすれば ....
昨日見た夢を思い出せなくて
描きかけた画用紙を白紙にした
ひどくのどが渇く
あなたの輪郭が霞むころ
部屋に残った器は
あなたのかたちをふちどったりするから
急いで水を注いだ
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25