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真夏に日車は、咲いている
雷鳴の空を裂く。
轟音で目を覚ます
一輪車に稲光りが青白く反射する
一瞬で葉陰の殻は黒焦げになり
焼けた臭いに鼻をひる
傘の骨はしろがね色で
{ルビ死灰 ....
そっと目をとじて
心臓の拍動にあわせて
ゆっくり
やさしく
あたたかい振動
背中に感じるでしょう?
疲れた身体
....
言葉が白くなる
その言葉はもともと
愛や夢だったのかもしれない
確かに今まであったものが
消えてゆく
忘却とともに
蓄積が始まってゆく
過去が現在へと結ばれる
言葉が白くなる
そ ....
あのときの空は
変わることなく
さえぎる傘は
広げたまま
微笑を交わした頃の
雨の季節はとうに過ぎ
生暖かい風が吹いている
いつか
夏の空の下
見上げた空に虹がかかる ....
空に浮かぶ雲のように
柔らかく
軽々しく
君のこと
好きになっていたなら
ふわりと風に飛ばされるくらい
軽く君のこと
想っていたなら
少しは
あの時感じた風は
今も優しく私の周りにふいて
そっと眠りへ誘います
木々の緑は
太陽光を遮りながら
美しい木漏れ日を描き
夏の花々は
暑さに負けずに太陽に向かって
....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む
水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
....
差し込む光があまりに淡く
透明な蒼だったので
届く気がしていた
愚かしい錯覚
幸福はいつだって見掛け倒し
裏返せば空白
よく似合うねって言われた
偽物のダイヤみたいに
....
さよなら
と言ったはずなのに
あなたは笑って許してくれた
ピンクの薔薇の花束と
なくしてしまった
パールのピアス
差しだすあなたの優しさが
ナイフのように
わたしを貫 ....
涼しい真夏の夜に。
美しい月明かり。
素敵な唄声。
消された電気。
それだけなのに。
心地良い時間。
眠りたくない幸せ。
なんちゃない時間。
誰も知らないその庭に咲く薔薇
朝一番の雨に濡れた赤い薔薇を求めて
僕はたどり着いた 足をひきずりながら
かぐわしいその香りを嗅げば幸せになると
ただひとつの愛を得られるとずっと信じていた
....
数多のあなたから
発信されることばに
わたしは固くまぶたを閉じる
それらを愛さないために
西側の、部屋
窓に切り取られた風景のなかで
遠く稜線がたそがれてゆく
そう
書いたときには ....
何かをしたかったけれど
何もできなかったあの時の
あの空に
苛立つ自分の気持ちを投げていた
あの白い雲にもう一度
夢を持ちたかったけれど
何も描けなかったあの時の
あの空に
悲しい ....
私の心の悲しみは
あなたがいないと鳴く小鳥
私の心の悲しみは
いつまでたっても止まぬ雨
私の心の悲しみは
ひとり寂しく見る夕日
私の心の悲しみは
寄せては返す波の音
私の心の悲 ....
源流に程遠くなく
清らかな姿を
留めながら
静かに流れゆく
孤独な細い川
貞節な乙女を
思い起こさせる
喧騒に揉まれる前の
ひとつの
純真
フルートの音色が
時折舞い ....
楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あ ....
鯉が吊るされた
教会の屋根に
虹は鱗を落とす
七色ではなく十二色の
クレヨンじみた
ツタはいつまでも
少女を縛り付けて
泡を吹いた口から
鯉が生まれるので吊るされる
正常な幽 ....
死と眠りが
同じようにみえるときが
ある
ひとめみたとき
だからときどき
はっとして
大切な人にかけよる
あなたたちは
人の気もしらないで
静かな息をしている
あつい
手 ....
優しい気持ちを交し合って
寂しさを一つずつ埋め合って
想いを丁寧に紡ぎ合って
彼方から伸ばした合った手が
触れ合って握り締め合えたなら
それをきっと幸せと呼ぶのでしょう
....
ひとりきり頬杖ついて
ため息つく雨の午後
紫陽花の青い花びら
みつめては悲しくて
まるで報われない恋に落ちた
悲劇のヒロインみたいに
あなたが好きよ
くもりガラスに書いてみても
このせ ....
苦し紛れについた嘘すら
君は笑って受け流す。
僕の浮気心でさえ
君を揺さぶることは出来ない。
好きだと言えば
好きよと言う。
愛してるよと言えば
愛し ....
あしたあたしはあの女から命を授かる
口紅と下着とカロリーメイトと退廃の
散らばる部屋に産声を上げ
ストッキングで顔をぐるぐる巻きにされ
タンスの{ルビ抽斗=ひきだし}につめられるんだ
耳 ....
だからたとえば犬のように
白黒でしかものが見えていなかったとしても
濃淡の薄れゆくところ
色彩の変わるところが
あたらしく欲求がなりかわるところで
ぼくが輪郭と呼んでいた ....
「貴女はご自分に酔っていらっしゃるのです」
思いがけない言葉に顔を上げた
彼は静かに私を見つめて煙草に火をつけた
(どういうこと?)
いぶかしげな眼差しの私に彼はこ ....
姉は病み。妹は明朗。
ふたりで一輪車をこいでいた
手をつなぎくるくるくる。
くるくる。狂おしいほど恋したいの
こいこい。恋なんて物狂いの種
コインをトスする子供の遊び
今日はどちら ....
よく見てごらん
雨がまっすぐに降ってくるだろ
時折り銀色に光るのが
あれが雨の涙さ
空の悲しみが見えるだろ
よく聞いてごらん
雨が小さく跳ねるだろ
時折り痛そうな音がするのが
あれ ....
愛のかたちってどんなもの?
触れるとやわらかくて 弾力があって
姿をかえていくの?
愛に種類はあるの?
色や 大きさや あたたかさで
区別できるの?
愛ってつかめるの?
とらえど ....
恋をするなら
声の素敵な子猫を飼って
恋しい 恋しいと啼かせます
一人の夜に膝に抱いて
小さな頭をやさしく撫でて
恋をするなら
おろしたての靴を履き
街をあてもなく歩いてみます
....
透明な青い海を
濡れるのも構わず私はかきわけた
海の先には 知らぬ土地があるのだろう
無力な私でも
行きたいと願う夢だけは与えられた
あなたはそんな私を無様だ、と、笑っていた ....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ
やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう
幸 ....
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