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罪を犯した私が
どこへ逃げようとも
誰の許しも乞うことはできない
たとえ誰かが許してくれたとしても
何も変わらない
置いてきた事実は
過去の中
あなたでさえ
私を許してくれるは ....
現在という塊の中から
わたしの輪郭だけを残して、わたしが
蒸発していく
夕暮れの空は赤く発光し、届かない高さで
じっとして居る
いったい、わたしは何に忘れられたのだろう
浮遊す ....
めをつぶると
しん と
みえる
それは暗い水に浮かぶ
水銀のようなひかり
それをすくい上げると
すこし かなしいおとがする
とうめいなうみの底で眠る貝殻
いつしかそれら ....
相変わらず冷たく微笑む月を覗き込んだ
奥底の燃える瞳と目が合って
思わず手をのばしたくなった
あまりにも切ない色をした その炎は
鋭く 冷たく 静かに 燃え盛っていた
欺けば、 ....
{引用=落花することに歓びがあるとするならば
目の前に横たわる海鼠状の災禍を受け入れてみたい}
あなたと
わたし
コロシアムと密かに呼び合う
誰ひとり立ち入ることの無い塔屋の片隅で
ふ ....
君が部屋から出て行ったあと。
もう君はいないはずなのに、
君のぬくもり、君の香りがまだ、残っているよ。
今にも、君の声が聞こえてきそうで…
「全部持って帰ってよ」
と、迷惑そ ....
向けられた笑顔の全てが
嘲りだと信じていた時期がある
空が曇れば必ず雨が降り
見惚れた花は明日には枯れる
呟いた言葉が嘘に塗れ
聞き続けたい声はやがて遠く
確かなものは何も無い
....
見上げれば透明なアクリル
水色の水彩絵の具
四時間後の空
連れてきたアキアカネ
薄く積もった白
描くのは乙女の髪を梳く風
乗せられてきたあえかな鈴の音
今や懐かし夏の日 ....
まだ夜の明けないころ
街は少し壊れた
機械の匂いがする
昨夜からの断続的に降る雨が
いたるところ電柱にも
あたっている
いくつかの窓の中には
ささやかな抵抗と
使い古された ....
窓辺のロンリネス そこにいないで
翼ある者たちよ 飛び立て
あの青く澄んだ{ルビ高処=たかみ}へと今こそ
求めるものはあまりにも遠くて
追いかけてた夢にもはぐれてしまった
あきらめないで ....
かえってしまった
温めることは出来ないと思う
キスも
もたれかかることも
ただ、匂いだけは忘れないし
変わらずにあるのだと思う
、
側にいること、
今夜が一番 ....
わたくし色の雪の結晶が
泣いてるあの子の
てのひらに
ひらりら らりら
落ちて
消えたよ
1
真っ直ぐな群衆の視線のような泉が、
滾々と湧き出している、
清流を跨いで、
わたしの耳のなかに見える橋は、精悍なひかりの起伏を、
静かなオルゴールのように流れた。
橋はひとつ ....
誰も居ない街、ひとりきりで。
闇に呑まれる影を見ている。
冷たい瓦礫の底に埋もれて、
太陽は今日もどこかに沈んでゆく。
閉じれぬ目蓋は孤影を映す。
絡まるような細い糸を、かわし ....
君は 跳んでく 月の向こう側
僕は 見上げる 届かぬ星を
歌を忘れて迷い込んだ
音のない森 僕はひとりで
うやむやな影した 木々は眠って
湖に映る 三日月は 君の影を映さない
....
君の死が、愛しいモノであるように
僕の生は汚されず、君の孤高にふさわしく
世界の、世界のほんの片隅で
小声でささやく歌のよな
スラムの路地で、汚れた子供が歌うよな
限りあ ....
うそは泥棒のはじまり
だったはずなのに
ひとは誰でもうそをつく
愛するが故のうそだからと
あのひとは
目も合さずにつぶやいた
その場しのぎのうそを重ねて
針千本の〜ま〜す
....
秋の空が澄み渡る
山並みは寂しさを知る
存在はいつも無口で
意味だけがある
行こう
はかりしれない道のりを
距離と正しさはきっと
あなたとの信頼として
理解されるから
微笑むことを覚えた君の
行く先に、私はいますか
その瞳が
礫(つぶて)を落とす度に
私が泣き声をあげることを
君はきっと、知らない
鼓動が早まる度
消えることを望む私の ....
なんとなく
わかっていたけれど
夕風は
すっかり
つめたくて
昼間の陽光も
どこかしら寂しげで
緩やかに
届かぬ夏を
受けとめる頃合です
おろそかに出来るくらいなら ....
あなたを食べて仕舞いたい
そしたら誰のものにもならないから
今すぐ死んで仕舞いたい
あなたを好きなまま人生が終わるから
あなたに傷つけられたい
これ以上深い傷を残せるのは他にいな ....
今は 花屋さんにさえ あるけれど
わたしが子供の頃
すみれは
ひっそりと 一株
人知れず 咲いていました。
そんな すみれを 見つけると
いじめられた
ひとりぽっちの 帰り道も
....
おりがみの花は 指先で生まれ
おりがみの花は 手のひらで育つ
思うようには動かない きみの指先から
空の色をした 花が生まれて
思うようにはならなかった 私の手のひらを
四月の色で満たし ....
たゆたう水、ゆらぎり。
荒れた部屋(生活感はある。)
きみのことばはいつもゆめみがち。
「たったひとつほしいもの」はいつもたくさんで、
雨水、涙音、浸水。
いつだって僕はここ ....
さよなら
気泡みたいなことばを
無造作に夕暮れに飛ばしてみると
橙にすっと溶けていったのは
声が震えていたせいかもしれなかった
車輪の音、渇いた
ペダルを思い切り踏みしめて
陽炎 ....
神が引きあわせし
おぼし召しか
地下に沈んだ
鈍色の界隈の中で
二つの魂は出逢った
強く惹きあう
その穢れなき愛は
至高の芸術を
求めあい
深く
深く
蒼い情感の ....
本音よりも建前がほしくて
自信よりも確信がほしくて
将来よりも今がほしい
ゆら ゆら ゆらら
ゆだねる しずかに
愛よりも希望にすがり
生よりも ....
四角い鳥かごの小鳥を
人差し指という小枝へ導く
みなみは細く圧迫される指を
目線まで上げて
「この部屋も 鳥かごみたいね」と言う
秋とは名ばかりのあやふやな風が吹き込む
窓辺に吊るした ....
蛍の明かりより清かなる
月の明かりを光源に
夜の闇間に歩き出す
夜の空気を身に纏い
影法師だけを引き連れて
夜の闇間に歩き出す
冷たい空気を吸い込んで
夜との同化を試みる
身体に夜 ....
淋しい事は 何もない
そう思っていました
荷物を詰めながら
全部持って行くんだから
そう思っていました
全てを運び出した後
部屋に残されたのは四年間の跡
机の跡 棚の跡 冷蔵庫の跡
....
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