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 書くことが多すぎて彼女は手帳を黒く塗り潰してしまっている。目の前で起きていることを記さなければならないという気持ちに突き動かされて、あるがままをあるがままに写し取ろうとし過ぎている。対象に目を奪 .... 君は僕の貸した小説
『楢山節考』
『田紳有楽・空気頭』
『北回帰線』を
一ページも読もうとはしなかったね

君は僕の貸した詩集と句集
『山之口貘詩集』
『夜のミッキー・マウス』
『西 ....
洒落たカフェを借り切って開かれた
長い付き合いになる友人の結婚披露宴の席で
禁酒中のチナスキーは溜め息をついている
生ハムをかじっては水を飲む

祝辞を読んだ
新郎との付き合いの年数を数え ....
{引用=
 ヒトラーの「わが闘争」を
 いつもポケットに入れていた
 まるでサリンジャーの小説の
 脇役のようなH君から
 十二年ぶりに電話がきたのは
 二年まえのことだった}
 何気な ....
カルムは眼を疑った
森の小川で水を汲む少女の姿は
自分たちの部族の女と変わらぬ人間に見えた
いや、より美しく見えた
乳房を隠すように上半身に布を巻いていたが
そこにまた魅力を感じた
( ....
裸になった彼女の身体には
両脇腹と右肩と左の脛に弾痕があって
だから彼女はいつもぎこちない様子で
歩いたり
ものを書いたり
笑ったり
していたんだなと納得して
そこに触れなければいけない ....
 
自分が千年近く生き続けることになるなどと
知るよしもなかった少年時代の{注メトセラ=メトセラ(Methuselah)旧約聖書に登場する、九百六十九歳まで生きたという族長の名前。}は
酷く臆病 ....
ボルヘスさんはアルゼンチンの詩人さんだ
彼はいつの頃からか
世界中のあらゆる本が集まる巨大な図書館で
年若い妻と共に暮らしている
盲目の身のボルヘスさんのために
妻は毎日本を読み聞かせる
 ....
フワフワと昇っていった太陽が
正午を待たずにフラフラと墜ちていくと
祖父は老人の特権を振りかざしてぼやく
「昔の太陽はこんなものじゃなかった」とぼやく
かといって、一日中大空に君臨し
見 ....
野良犬を見かけなくなって寂しいだとか
犬の糞を踏まなくなって嬉しいだとか
駅前の駐輪場はどこも整備されてきて
雪崩れを起こして倒れなくなったなとか
そんなことにふと気付くことがある
数年前の ....
はじめまして
飼い主のコースケにはガダと呼ばれています
自分ではミケとかタマとか
あとポチとか呼ばれたいと思っています
CMとか出たいです
猫缶にまっしぐらしたいです

ドラえもんっ ....
爽やかに吹く風
そよそよと吹く風
または暴風
果ては台風までを手づかみでちぎりとり
乱暴に白いキャンバスに貼り付けて
「これがほんとの風景画」
などとのたまうじいさんがいる

 ....
最寄り駅にあるキヨスクでは
店員のおばちゃんが詩集を売っている
おばちゃんの書いた詩や
駅員の書いた詩や
ホームの柱に落書きされていた誰かの詩が
そこには載っている
地域住民の出した詩 ....
「悲しい」と女が言うので
僕が代わりにに泣いてやった

「故郷へ帰りたい」と女が言うので
僕が一人で女の実家を訪ねてやった

「子供を産みたい」と女が言うので
僕が代わりに産んでやった
 ....
いつでも不安な保安官
銃でぱんぱん撃ちまくる
悪党がいれば悪党を撃ち
善人がいれば善人を撃つ
ぱあんぱぱんと撃ちまくる
おかげでいつもひとりぼっち

こちら孤独なビリー・ザ・キッド
 ....
西日が射している
ヒバリが飛んでいる
あ、誰か来た

青い屋根と黄色い屋根の上に
星が落ちました
僕の家の屋根は白いです

腕時計を買ってもらった
子供がはしゃいで
腕をぶんぶ ....
十万円で買ったパチンコ必勝法が
まったく効果はないと知り
ガンキャノンはパチンコ台を叩いて店を追い出された
かつてガンダム達と一年戦争を戦った勇姿の面影はない
年金を酒と博奕につぎ込む日々を彼 ....
子供の頃、僕らは社会見学で宇宙船を見に行った
飛行場の長い滑走路に降りてきたそれは
船体に星空を貼り付けているわけでもなく
凶暴な触手の持ち主が船体を食い破っているようなこともなかった
船から ....
長い間雨が降らないので
涸れた池がある
長い間話さないので
枯れた声がある
長い間誰とも会わないので
忘れられた人がいる
長い間続きを思いつかないので
書き終えられない詩がある

雨 ....
飛ぶ鳥から抜け落ちた羽根が
地面に墜落する運命に気付かず
いつまでも空を飛び続けていることがある
これを残鳥という

猟銃で撃たれた鳥の
飛び散った大量の羽根が
そのまま鳥の形をして飛び ....
水町綜助さんの楢山孝介さんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 楢山孝介自由詩25*08-11-15
読書と恋愛- 楢山孝介自由詩6*07-10-3
いいから酔えよ、チナスキー- 楢山孝介自由詩7*07-9-14
ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む- 楢山孝介散文(批評 ...8*07-9-6
少女と石槍- 楢山孝介自由詩407-9-5
彼女の弾痕- 楢山孝介自由詩9*07-7-20
メトセラ抄- 楢山孝介自由詩7*07-6-2
ボルヘスさん- 楢山孝介自由詩5*07-5-10
出来損ないの太陽が地上に墜ちてくる惑星にて- 楢山孝介自由詩5*07-5-8
追憶演技- 楢山孝介自由詩12*07-5-2
この詩はうちで飼ってる猫が書きました- 楢山孝介自由詩2*07-4-12
老画家- 楢山孝介自由詩11+*07-4-11
キヨスクと詩集- 楢山孝介自由詩24*07-4-10
馬鹿な風- 楢山孝介自由詩10*07-4-9
西部劇- 楢山孝介自由詩3*07-4-8
外国語で書かれた俳句を翻訳したような調子で- 楢山孝介自由詩15*07-4-6
何でも信じるガンキャノン- 楢山孝介自由詩7*07-4-6
社会見学から地球崩壊まで- 楢山孝介自由詩6*07-4-5
大旱- 楢山孝介自由詩9*07-4-4
残鳥- 楢山孝介自由詩18*07-4-3

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