すべてのおすすめ
嫌いな奴にぶつけてやりましょう。
夜をひらく火のように
あなたがひとりひらかれるたび
わたしもまたひらかれます
冷たい湖の前で
空をわたる音の前で
野を分ける火のように
あなたが放った色として
....
深夜、バスに乗る
乗客もまばらな車内
運転席をのぞくと
濃紺の制服を着た父が座っている
昔、一度だけ
大人になったらバスの運転手になりたかった
という話を聞いたことがある
どこかで何 ....
夕べどうしても読みたかった本があって確か俺は持っていたはずなんだけれど今思い出してみると、別れた女に貸しっぱなしになったままであったりする。もう15年も前の話になるので時効は成立しているんだろうか?そ ....
魚の群れが夜を飛び
鱗と涙を落としては
何も無い地を焼いていた
火の端々が鳥になり
さらに暗い夜へと去った
雲と砂の波のなかで
魚は涙を閉じていった
白と ....
水たまりに映るいさかいと雲を
雨がゆっくりとかきまぜる
人は過ぎる
空は過ぎる
水たまりの底のむらさきに
次の空がやってくる
鳴き声のように震える音が
どこから ....
花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った
蝶が来て
狂いたい
と言 ....
川の向こう岸にあなたがいて
手のひらにちょうど収まる薄っぺらい石を
丁寧に丁寧に磨いています
わたしは何度も手を振りながら
早くこちらへ投げてよこしてと
大声で叫びます
そのたびあなた ....
おとこと
おんなが
ねている
おとこがめをさます
おんなのはらにてをおく
そっと
おとこのてのひらに
やわらかいあたたかいおんながつたわる
てがうごき
おんなのちゅう ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
ほかほかの焼きイモを
2つに割って
片方を誰にあげる訳でもなく
なんとなく寂しい感じがして
片手に持ったそれを
焼きイモ売りのおっさんに渡して
一人の道を
ポケットに左手を突っ込んで
....
普通の椅子だったのに
ある日、突然
わたしは人になった
初めて目でものを見た
初めて呼吸というものをした
初めて手でものを掴んで
初めて足で歩いたりもした
椅子に座らなければ ....
よんどころない事情があって
きりんはタクシーに乗ろうとするけれど
長い首がひっかかり
ああしたり、こうしたりしても
乗ることができない
もうどうしようもないから
きりんが運転手のお ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
うもれてねていた
いまはいつだろうか
どれくらい
ねていただろうか
このくらいへやでは
わからない
おとがする
こまかいおと
おおくのかさなる
しんどうがする
ごはんをたべ ....
ロンドン リージェントパーク アルバニー通りの僕のホテルと
ハウランドストリートは
市街地図では同じH3の桝目の中で
日曜日の朝早く 僕は出かけた
地下鉄ポーランド駅の裏通りを
茶色 ....
ゆいごんじょうをかけという
まいにちまいにちゆいごんじょうをかけという
ふるほんやにいっていっさつひゃくえんのぶんこぼんをかえという
まいにちまいにちかえという
びょういんへいけという
でき ....
ニュージーランドにいるキウィという鳥は
羽がすっかり退化してしまっていて
空を飛ぶことができない
夜行性のその鳥は
夜になると木の穴の中などから出てきて
えさを探す
もちろん飛ぶことが ....
流されるように
従ってきた
働くとは
こういうものかと
思ってきたが
部品はいつか壊れるように
許容量にも
限界がある
出張先から
帰ってきての
報告で
笑いながら
居てもいな ....
今の私はビールを片手に
格闘技番組に視線を定め
結果なんかどうでもいいんだけど
この瞬間になぜか酔ってる
雪の形のブランドのチーズ片手に
ワインのも視線を注いでみるけど
実は別に食べた ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35