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台風何号だかが
東の海上を通過中
暴風警報のため 人影もまばら
公園の遊具は鉄錆のにおい
体中がミシミシ音を立てる
のぼり棒 上まで登れない
小さい頃と同じよう
今も上手くいかない
....
世界で最も軟らかな朝を迎えるのは
波止場に立つカカシだろう
なにかを守る分けでもなく
ただ海原を眺めて
往来する船を見つめているんだ
肩に止まってたカモメが大空に飛び立って
少し振りか ....
沈んでゆく まま
煙る 山の稜線に
つながれた 足首
舐め 影 さすり
行けども 喰らえない
案山子の ぼうふらに
低く うめき ひそむ
まだ 試した事のない
....
壁も、床も、家具も、俺の服も、全て白い部屋、目を瞑れば黒に満たされてしまうのに、それを拒むように、白ばかり並べる俺を、記憶の誰かが、愚かだと言った
ネオンの中にまぎれてばかりやと
体に悪いって信じててん
今日なんか変なルートたどってるねん
あのままじゃ、きっと
なじみのないBARで
40代の男の近くに
しらじらしく座りそうやったわ ....
ますます吐く息を白くして近づく そして
炬燵の中の猫がのびをする
香りはすべて あたしと共に在る
ただそれだけなのに 中央分離帯の樹が気になる
排気ガスくさい こたつはねこくさい
ブルガ ....
貫いた後で
さっとすだちを一搾り
おかえりはまだかしら
食卓の前でわたし
もう抑えきれなくて
ぎゅっと握ってしまうの
ぽっかり空いたこころの穴に
いつのまにか小さな庭ができ
そこに小さな花が咲きました
どこからか風に乗って
種が飛んできたのでしょう
知らない間に芽を出して
....
チリリン チリリン
眼鏡の君はブーツで漕ぐ
紫雲
オレンジのビル
夕陽と遊べ遊べ
チリリン チリリン
ニセモノみたいな僕の人生の
猫も転がる土手の道
ほんの少し前を漕ぐ ....
一人夜空の星を見上げ、「さみしいな。」とつぶやいた。
いつのまにか、すごく寒くなって、
雪が降っている。
「クシュンッ。」
あぁ。一人でクリスマスかぁ。さびしいな。
そう思っていると ....
友情なんかどこにもない。
ささいなことですぐ壊れ、
友情なんてそんなもんだ。
助けてほしい時にはいない。
友達なんかそんなもんだ。
そんなものなんか、なくてもあってもどうでもいい。
俺 ....
雨で荒れ狂う川。
風で揺れまくる木。
人は自然にびびって、
自然は人間という生き物にこわされて・・・・。
にくしみ、怒りを持ち、自然が怒り狂う中、
僕らは何も出来ずに、
台風の中、 ....
冬は好きではない。失業してから外出が減った。TVを見るか寝ているかだけで、二ヶ月が過ぎた。TVでマーメイド海岸のCMを何度も見る。海面から顔を出し泳ぐマーメイドの姿。面接や職安にも出かけるが、就職先 ....
詩の批評をしている人と
虫の気持ちを批評をしている人を
交換してみましたけど
これといって何も起こりませんでした
と言ったら
詩を批評している人が怒りました
起こりませんでしたが
怒 ....
船の停泊しない
図書室には
匂いがない
ブラインドの隙間から
斜陽
カウンターに落ちた
向こうで
司書が背中の羽を
二度動かす
白い付箋のはられた
いくつかの椅子は ....
るらら と歌いながら 少女は崖の淵に立ったのです
崖は 必要以上に大袈裟に 切り立っていて
下を 見ると白と緑と虹色の川が
三日月湖 を 残して うねうね しています
きょうも おわった かな ....
この街にあるピアノの
ひとつひとつに
シールのようなものを貼っていく
たったそれだけのことで
君との近さや
遠さを
はかることができるのかもしれない
僕の心臓のすぐ側
....
カバーを剥がすと
まっ白な箱で
一つのオブジェになりました
そうっとめくると
黒いものたちが積もってゆき
またまっ白な箱です
それだけでは覚束ないので
次から次へと剥いでゆきました
こ ....
a)
足りない
右の手
に
朝
本は昨日から
ゆっくりと
閉じられた
まま
b)
たくさんの階段や
もっとたくさんの
階段
のぼる足音や
もっとのぼ ....
なぜこだわるのだろう
バスのなかからみるきょうのゆうやけ
いつまでぼくは短歌的抒情にこだわるのだろう
ゆうやけているぼくの人生
あの色はなんという色だろう ....
口に含むたび
かみ切ってやろうと思うのに
かるく歯をたてることしかできない
こんな瞬間でさえも生殺与奪の権をにぎっているのは貴方なのだから
泣き出す寸前の子供みたいな顔で
貴方が嗚咽 ....
もう少ししたら
貴方はきっとねむってしまうから
ひとりで町に出ようと思う
あかるい黄色のみじかいワンピースを着て
下着はつけないで
雨の夜なら
私の足に
白い粘液が伝って落ちても ....
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■箱とは、隠すための手段だ。箱とは■■
■、入るための手段だ。箱とは、入れ■こ■
■るための手段だ。箱とは、遮るため■の ....
冬はまだ続いている。海からの光で、部屋は青に包まれている。神話の本を繰り返し読んだ。岬には女の顔をした鳥、ハーピーがいるという。元は風の精ともいわれている。そのハーピーが舞う岬から、水平線の彼方を見 ....
西病棟の長い廊下に湿ったモップをかけるから
清掃婦の後姿は僕の幼い娘に似ているから
寧ろそれは僕の幼い娘ではなく君に似ているから
決して君ではなかった
何度目になるというのか また「正」の ....
反芻する夕食
週末の台所にジャガイモとニンジンが転がっている
牛肉は 今日には使ってしまわなければ
幻の牛の角に突かれる勢いだ
新作の辛口カレールーは
未だ使用された形跡 ....
金沢の隅っこ
と言ってもこの中途半端に古い街では
どこがまん中でどこが端っこで
なんて遅々とではあるが変わり続けていて
ただ
最後の文化住宅が未だに壊されずに
次の住人を待ち続 ....
燃えてしまった本棚
夏の初めに
私は火事を出した
寝タバコの根が
羽毛布団におちたのだった
それは現場検証で
消防署員の説明で聞いた話なのだが
ぼくの布団の片隅は
真 ....
冬になり、女の顔をしたバードは飛び去った。わたしは、あの時の車をスクラップにして、海の見渡せる丘に部屋を借りた。情報誌でバイト先を見つけた。倉庫の仕事に就く。朝七時半、精神安定剤を飲んでから、家を出 ....
青い空の向こうから
巨大な顔が降ってくる
にこにこにこにこ
笑いながら
うわあこっちにくるな
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