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赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
家族の写真がない

両親が離婚すると決まったとき
それでも家だけは誰かが守るだろうと信じ
写真はすべて置いてきた

そしてすべては処分されたと聞いた

いつかここに帰るかもしれないとい ....
寒さが染みてきて
壁から伝ってくる


暖房を酷使しても
革のソファは冷たくて
ふたり絡まりあっていても
耳に吹きかける息が白くにごる


かつて
部屋の中で燃えていた
暖 ....
赤いセーターの女
ひっつめの髪
きみどり色の閃光
作業
眼鏡
作業

作業
反復
業務



複写機
吐き出される
モノクロ
ドット
三千枚の
「@」の顔
 ....
夜はどこにあるのですか
しまってあるのですか
どこに
すぐそこに
見えませんか
そんなに澄んで見えますか
あなたの見ているあれは
実は
空ではないのです
あれは
ただのふろしき
 ....
夕焼けに
あなたをひたしておいたのは間違いだった
体の重みが邪魔でならないというように
身をよじって窓辺のベッドに横たわる
へそのくぼみから腰骨
肩甲骨
うで
まるく光る乳房
あごの下 ....
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜

土管の外側は小さなタイルのモザ ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
みつべえさんの岡村明子さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水蜜桃- 岡村明子自由詩9*04-9-17
非・定型- 岡村明子自由詩8*04-1-24
暖炉- 岡村明子自由詩704-1-15
その女は派遣で時給千二百円だった- 岡村明子自由詩703-11-22
ふろしき- 岡村明子自由詩703-11-8
カーテンコール- 岡村明子自由詩603-10-29
土管- 岡村明子自由詩403-10-11
十月×日- 岡村明子自由詩603-10-4

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