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楽しいはずの
デートの帰り
彼が
たぬきを轢く
たぬきはこげ茶と黒が入り混じった体毛で
牙はするどく体長70センチくらい
道路の真ん中で横たわるたぬき
たぬきは息をしてい ....
とある日
父と母はSEXをする
うらぶれた
障子の影で
佳き日の御縁で
迎えられた若い女性は
しかし
戸籍に入れない
「ちゃんとした
跡継ぎが産めるかど ....
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
花に水をあげている君を見て
ああ、じょうろのまま一生を終わるのも悪くないな
と思ったのは、もう
うつらうつら
していたからなんだろう
背中の取っ手から
ひんやりとした手の温もり ....
(母に手を引かれて歩いていた幼い「私」は
母になにかを言いたかった でも
母の耳ははるかうえにあり
声が届かない気がして
またうつむいて 光るアスファルトを見ていた ....
ココロ コロコロ 転がって
コオロギ コロコロ 鳴きました
ココロ 凍って ロココ調
コールタールのナタデ・ココ
ここは 露天の 六本木
今宵 ロックが 心地良い
....
三人姉妹なら
オリガにマーシャにイーリャだろうが
私はオリガではない
ぜーったいに女主人なんかではない
マーシャでもない
私は結婚に幻滅してはいない
だがよく考えてみりゃ
イーリャ
で ....
カラフルメリーは自分の名前が大嫌い
カラフルメリーを本当の名前と信じたがってる
唐辛子よりブラックペパー
胡麻油よりオリーブオイル
テーブルの上の醤油が死ぬほど恥ずかしい
天国のパ ....
さらりさらりらと滑りゆく夜明けに
生まれ変わることなどないだろう
視界半分に偏頭痛性閃輝暗点
この輝きを誰かに伝えることなど
できないだろう
モザイクかかった風景に
ひよどりが一羽やっ ....
とてもいい天気だったので
カーテンを洗濯した
お風呂場で格闘して
庭の物干し竿に広げて
やっと一段落ついた
お茶を入れると
どっと疲れが押し寄せた
窓はこんなに大きかったっけ
昼間 ....
ドーナツの穴から覗くと
世界はいつも
いいにおいがした
食べ物で遊んではいけない
そう教えてくれた人が
今ではもういない
体中の
キズを辿る
一番大きいのは
三歳のときの
やけどの痕
足だから目立たないのに
ママは
いつまでもいつまでも
ごめんなさいと
言う
もうこの子は
結婚できないかと
....
夜が呼んでいるような気がしたので
誰かが待っているような気がしたので
自転車のかごにウイスキーボトル入れて
僕はさんぽに出たのです
どこか遠いところで
凪いだ海のおなかの中
呼び交わす ....
夜を
数え上げたらきりがないし
眠れない夜は全てそうだったのかもしれない
と思うぐらいなのだけど
右の握りとそっくりな人に出会って驚き
その日のうちに確かめた朝
ほどに ....
まわった
10回まわった
目がまわった
ゆかがまわった
いすがまわった
つくえがまわった
まどがまわった
かべがまわった
わたしの足をまんなかに
せかいがまわった
....
鳥は自由に飛ぶ
一本の線によってへだてられた空間を
風つかいのグライダーのように滑空し
大気をはらんだ凧のように静止し
熊蜂のように羽ばたいて流れの外に飛跡を残したりして
そして時には それ ....
きゃらめる 7
ことば
1
とてもさむいあさはやく
よぶこえでめがさめた
もうふにくるまったまま
ずるずる
ゆかをは ....
いつだって街灯は
見なければならないものしか
見せてくれないので
夜は直方体の中で俯せていて
換気扇は回さないでいる
ホラー映画を明るい部屋で見ていて
終わってから突然笑い出す ....
猿が猿のようにスイッチを押したって 誰もびっくりしないはずだ
だが地球の裏側では その間に核爆弾が百発落ちていた
猿が突然玄関に現れると みんなびっくりする
人語を解せばなおさらだ
奥さん ....
友人の部屋の隅っこに
ネジが一本転がっているので。
「このネジ何?」
「どうやら俺のものらしい」
拾い上げて見ると確かに友人の名前が書いてある
「そりゃそうだろう、お前の部屋に落ちて ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
シルクハットの手品師は
自分の姿を消しました
種も仕掛けもなかったので
もう元には戻らないのでした
相棒の鳩は
空を飛んでいます
ひとつの恋やひとつの季節や
その移り変わりのたびに
ひとつのうたをうたう
あなたのうたは
あなたの心を解放してくれますか
それとも
縛り付けられたままですか
その合間 ....
「 ひとりで寝るのは
寝るのじゃないよ
まくら抱えて
横に立つ。」
生きていた時
おやじが謡った
都都逸だ。
習い性になって
毎夜長い枕を抱えて
眠りに就く。
....
まけじゃんけんというものをおそわりました
さきにあいてがだしたてに あとから
わざとまけるてをだすじゃんけんだそうです
ぱーには ぐーを
ちょきには ぱーを
ぐーには ちょきを
ま ....
開け放たれた音楽室の窓から
合唱部員たちの歌声が聞こえる
放課後、行き場の無い僕らは
校庭の隅にある鉄棒に片足をかけたままぶら下がり
いっせいの、で誰が好きかうちあけると
やはり同じ子が ....
君は木立の中に
透明な花を
隠している
涙は霧のようで
僕から熱を
奪わない
幾たびも逢いたい
僕は変わってゆくけれど
やわらかな予感に包まれた
君が変わることはない ....
ぼんやり 新聞コラム 眺めてたら
女は 存在 男は 現象
つまり 全ての基本は女 だから
はじめに女ありき との文章
これはもう 現代常識である
聖書の記述は 間違えたのだ
好きに ....
寂しいと泣くありんこを踏み潰したら雨が降った
しとしとと
塩味を舌で確かめる
あめ
寂しいと泣く自分への戒めのためさ
誰も助けない
そんなこと知ってるよね
ごめん
だから泣かない
ば ....
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる
散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人
誰かが座ると嬉しそうにする ....
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