すべてのおすすめ
途方もなく繰り返される通勤という愚行
なんとか自由になろうと編み出した歩行
いまでは神保町から西新橋まで徒歩強行
満員すしづめと戦いながらの空しい思考
電車と速歩各一時間でストレス解消成功 ....
インドの魔術師から花束をもらった夜
ぼくはなぜか平安時代の日本にいる
うらわかい細身の美女にかこまれて
宴はすでにはじまっていて
ひとりの女をだきしめながら
官能がたかまりおもわず ....
指で「みっつ」
いまだ つくれず
姪っ子
ジャンプして ひとこえ
{引用=
ちきゅう おちたっ!
}
あぁ、なんて、
ス・ラ・バ・シ・イ。
片手で「みっつ」
つく ....
胃が四つに分裂しています
健康診断の結果、そう言われた
どういうことなのか理解できずにいる私に
つまりは反芻するということです
医者はたたみかけるように言う
反芻とはウシがするあ ....
あ ら るしぇるしゅ でゅ たん ぺるでゅ
ア ラ ルシェルシュ デュ タン ペルデュ
呪文のように くりかえす 音声
円環のように くりかえす 人生
探し求めて 時 失われた ....
あ あんこ
い いんこ
う うんこ
え えんこ
お おんこ
母音たちよ
ぼくらの言葉についてまわる
たった五つのわが母音にまじわる
子音たちよ
あ あかさたなはまやらわ
....
のらりくらりとしていた。歩道で信号チッカンチッカンしだしたから
ではないのだけれどなんだか ハ・シ・レ 、っておもってしまって
横断してから止まらなくていつまでもいつまでも走って ....
夢を食べて生きてはいけない?
この季節、月はとても高いところを通る。
もちを食べていたら
中から
ラケット二本と
シャトルが一つでてきた
正月は羽子板だよね
とか言いながら
僕らはいつまでも
バトミントンをし続けた
あの日
何回まで数えるこ ....
きょうは朝から春の雨
森の仕事もできないし
畑の仕事もできないし
海草拾いもできないから
カイとふたりで赤いカサさして
てくてく出かける
ききみみ図書館
司書のおじいさんは
て ....
海はすっかり赤ワインで
空はすっかり酔っているのに
うみろばはまだやってこない
ところで
したり顔でカイが言うには
うみろばの役目は
海馬のはんたいなんだって
海馬ってなんだか知らな ....
春愁なんていまさら歌えない
だからカカカと明るく笑って
カイの住んでる森に行き
おっきな声で春を告げる
おおい、カイ!
起きてよ!
雪の女王はもう死んじゃったよ!
でかけるよ!
....
秋霖 というのでしょうか 長い雨でした
三年 という歳月は 忍耐の最小単位
きみが家を出て一年ほどは手紙のやりとりが盛んでした
やっと抜けるような青空がひろがり快い
晴天がつづいているのだけれ ....
病院でリハビリの担当医がもっと歩かないと駄目だという
せめて一日四〇分は連続して歩けという
テストの結果あなたは潜在体力に比べ現実体力が劣るから
このままでいくとあと十年で歩けなくなりますよ
....
黄色いまだらな生き物は
首を伸ばして
鍋に盛られた青草を食んでいる
青草には黄色い花ものぞいていて
ぎざぎざの葉っぱなど
なかなか新鮮そうだ
黄色いまだらな生き物の故郷 ....
兎の好きな彼女のために
ペットショップで衝動買いをした
白地に茶色で小さくてかわいくて
その頃僕たちは同棲をしていて
彼女はその兎をピーターと名付けた
2DKのアパートの寝室だっ ....
秘密の宝石箱はもうすっかりぶちまけてしまった
どうせみんなまがいもので
いちばん高級なやつでも貝パールに過ぎなくて
いちばん安っぽいやつはきらきらするキャンディの包み紙で
そもそも宝石箱自 ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....
六月の空を見上げると
白い雲が流れていく
「思ひ煩ふな
空飛ぶ鳥を見よ
播かず刈らず蔵に収めず」
人にあい人とかたることにつかれ
郊外の家にひっそりとこもり
目をとじると
さびしそ ....
十九世紀の石造りの建物が
蝟集する街
周囲に広がる田園や川や木々の緑の
歪んだ円形が
豊かにどこまでものびてゆく
牛糞が舞い
排気ガスや人の群れの
めくるめく騒音の海から隔てられて
....
秋の連休の最終日に
剣神社のほうらい祭りがある
小さな町のことで
老若男女こぞっての縁日というところだ
小学校低学年の女の子がボールを投げ
オッチャンが外れ ....
幼かった私たちは
この蝶をヨツアシチョッチョと呼んだ。
今はもうそんな幼稚な名では呼ばないが。
私たちは誰も大人びた名称を知らなかったのだ。
でも私たちは知っていた。
昆虫は六本脚という ....
昼休みの中学校の教室に
セセリの群れが舞いこんできたことがある。
女の子たちは気持ち悪がって騒ぎ
男の子たちは争ってつかまえた。
鱗粉は毒だと言われていた。
茶色いし羽根の閉じ方が普通の ....
コーヒーを入れるのがうまそうな男が
愛犬サーモンを転がしていると
カーペットの隙間から
シルバーリングがでてきました
さんざん指に嵌めてみたあげく
ポケットにしまって ....
どうしろというのだ
どうしたというのだ
ささくれているぢゃないか
目頭を溶かしている君
君のことだよ
さらわれたのかい?
おこられたのかい?
なくしてしまったのかい?(はて)
軟土 ....
かな小父の通夜はにぎわい
三弦と木魚 お宮の龍笛をひきあいに
かな小父の唄と三弦曲かれこれが寄って
大ざら酒瓶もたたかれる とむらいの夜
かな小父がわたしにくれる遺物 掌が
その壺の ....
積み重ねられるものなんだよ
我々は
と,
棚に置かれた網籠の呟きが
聞こえる
そのことに
何かを見出すつもりは
無いと,
店先にあって,
彼らは
無駄ではないが,
添え物 ....
装いする君
を想う
春待つ君の
「ほら,あれ」
と,指差す
「あそこ,少し透明でしょ」
僕にはわからない
言われてみれば,そこだけ,雲が少し動いたような
そこに既に冬がいる ....
ガラスを落としたら
綺麗な音と共に砕け散った
私を落としたら
綺麗な音は聞こえた?
私は鏡を覗き込んだままそれを真下へ落とした
鏡の中の私がわれる
綺麗な音はしたけ ....
猫、
も、
またいで行く吐瀉物にアーメン。
ティッシュ配りの余りでデスマスクする
僕は敬虔にひざまづく、足音。
渋谷Chikaに嘔吐で乾杯。
Chika、君の瞳に乾杯するカク ....
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