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目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
戸口を開けると
死んだ祖父が
母と一緒に居間に座っていた
母を呼びだして
おじいさんって死んだよね?
と耳元に囁くと
母は快活に頷いた
夕暮れだか朝だかわからない
中途半端な靄 ....
玄関を開けると ふっ と
新茶が香る
こんな深夜にも
茶工場はフル操業中で
その明かりだけが夜目に眩しい
工場の前を過ぎる
明かりが背後に遠ざかる
街灯のない土手の草むらで
気の早 ....
脇に
海の泡がたまっては
いかんです
腕を水平に伸ばして
たおたおと翼をひらくように
第二間接をくいっと曲げて
脇の泡を
放出するのだ
みえるかね
みえては ....
はじめはわからなかった
仏舎利塔なのか
噴水なのか
生き物なのか
ひと足ごとにみえてくる
どうやら人らしい それ
まばらな街のあかりでは
まだ 性別はわからない
声をかけれるほど近づく ....
宇宙犬ライカは
本当は「クドリャフカ」という名前で
ロシアの犬だからなんとなく
大きな犬なんか想像しちゃいそうだけど
彼女が実は体重5キロくらいのきわめて小さい犬だったのは
(言い忘れてた ....
新聞の文字列と文字列の間を地下鉄は走る
つり革につかまる僕の視界の一番隅で
ラララ、ライカは宇宙の展開図を描くことに夢中
僕たちの声は届くべきところに届いているか
ラララ、ライカ、誰か ....
我々人類の起源については諸説あるが、我々がこの惑星トピアに本来存在する生物でなかったことは、人類にのみDNAが存在することや、トピアの生物群が持つコンドリミトアを人類だけが持たないことなどにより明白で ....
このごろ
お腹がきゅっとなる
部長の顔とかじゃなくて
君のこと
ふと考えると
きゅうっとなる
腹薬
このごろ
の腹薬は赤とか黒の丸薬ではなくて
飲むと不思議と落ち着く
....
深刻な顔で
アナウンサーが原稿を読んでいる
車が正面衝突したらしい
反対車線に飛び出し・・・
事故現場が映し出される
運転していた男性と・・・
最後の言 ....
「ありがとう」を
上手に言えない自分が
人に何かしてもらったら
「ありがとう」とちゃんと言いなさい。
と、我が子に教える
「ごめんなさい」を
素直に口に出 ....
(あらあなた 見かけより ずっと吸うのね 春の夜)
彼女は胸から乳を搾り出さないのかな、と
思いながら向かいで飲んでいた女を見ていた
僕の隣 ....
夜
きれた煙草を買いにコンビニにいったら
店員である友人のBが
マルボロ新しいの入ったよ
とレジ打ちしながら眼の前に立つ
ぶす・でぶの大学生らしき女を ....
空に標識がないのに
飛行機がぶつからないのは不思議だ
と母がつぶやく
風のはじまりはどこなんだろうねえ
風はどこで終わるんだろうねえ
お母さん
あなたと同じように
私も
いつの ....
君の狐つきもすっかり板についた四月の日没さ
今日は良い天気だったんだね、ほら、宵の明星
という意味のケン、ケン、ケン、そしてJump!
君のJump!はいつもいい匂いがするね
だから僕の目 ....
窓からの夕陽の中に
ほこりがきらきらと舞う
体育座りのぼくたちは
机のかげで キスをした
ほこりの雪は それを隠す
バッグにひそめてきたコーラを
ビーカーに注いで 乾杯
今日 ....
駅のホームで国歌を斉唱します、国歌を斉唱したいのです
どこの国歌でも構いません、僕は斉唱したいのです
恋人はホームの先端でフェンスを噛み砕いています
ものすごい音をたて、あるいは音をたて ....
今日の夕方
西の空に彗星が見えるんだってさ
ほんとだよ
ニュースの人が言ってた
ぼくのリサーチによると
多分 公園の先の
くすの木がたってる丘の上が
一番 よく見えるはずなんだ
....
誰だろう?誰かに見られてる。おかしい。ゾクゾクする。
男だ、と思う。わたしは女だから、見ているのは、たぶん。
わたしは、うつくしくない。いわゆる美人さんではない。
わたしは男に見られることは少な ....
そうか、空中ブランコに乗って
カカオの木を観てみたいか
そうか、朝日に立って
アラスカの夏を巡ってみたいか
そうね、仙人の寺屋みたいな
どこまでも一望できる遙へ
真 ....
春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
と ....
会いたい人に会えず
好きな人に好かれず
気違いだから居場所がないこと
気違いだから居場所があることの 勘定が出来ず
子供が転んだら すぐ泣くのをよく理解し
すぐ母親に 抱かれることを ....
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
あしたは複成火山を登り
石コロの塊をホイホイ渡って
後ろのほうで難儀してる
絵師を気遣いながら
おし花にできそうな野草を拾うのだろう
歌詞が浮かんで来たら
岐枝を折って墨で書き留め
句詩 ....
あそこなら
誰にもみつからない
ツツジの垣根をわき腹で通り抜け
米倉の裏にあるワラの中に
笑いをこらえてうずくまった
しずかに
ばれないように
そーっと
あたりをうかがう
....
「羽の無い天使」
高架下に羽の無い天使が立っていた。
そこで住んでいる風だった。
羽の無い天使
と目が合うと
―わたしは人間です―
とわざわざ言った
のがチャンチ ....
良いものは
良いものだろう
良いからな
ズッタずたダズン
コーヒーの夜
カモン
ぺけぺけは
ぺけまる
ぺけ印
ズッタずたダズン
それが無料なら
どうなって ....
ほ がでた
ぞろり 列をなし
あまりの眩しさに
皆 皮膚を震わせた
いくつかの球がころがり
海が無気力な日がやってくると
僅かなひとときを選び
ほ がさいた
玄関か ....
「結婚しないの?山内さん」
とは セクハラなんやけども
小さい都市なのでまあ
お茶菓子とともに 語り合い
娘がおりますけど あんたら 話したらひきますやんかあ
アチラが立っても こちらは立た ....
三人姉妹なら
オリガにマーシャにイーリャだろうが
私はオリガではない
ぜーったいに女主人なんかではない
マーシャでもない
私は結婚に幻滅してはいない
だがよく考えてみりゃ
イーリャ
で ....
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