すべてのおすすめ
明日の今頃
雨
赤い傘に
雨
黄色い合羽に
雨
踏みしめた道に
雨
バスのワイパー越しの
雨
瞳の奥に
雨
閉 ....
{注「ほら、あんなに首が長いだろう、だから言葉が出てこないんだよ」と、父親は言った。沈黙を強いられているその哀れな動物に、彼女は同情を覚えた。が、同時に、こういう動物がこの世にいることがうれしかった。 ....
イサムノグチの照明が初日の出の海岸線に貝殻が妙にピンクなので酔った君の頬の白いきめが細かい粉雪の降る夜を濡らし夢で枕を乾かす海辺のゴミが眩しくてブラウンシュガーなテトラポットでビッグウェーブにハートビ ....
船の重さに泣く海から
浪のかたちの水柱
けもののように吠えのぼる
冷えては骨に染まる鳥
心なき王国をかいま見る
低い月の光にまみれて
甘いにおいを
鏡の道 ....
君が積木など買ってくるものだから
僕らは積木遊びをするしかなかった
家をつくって
壊し
城をつくって
壊し
他につくるものなど知らない僕らは
やがて一つ一つを並べ
街をつくり始 ....
{注硬化した細胞の鉄格子に打ち付けられた
空気をいっぱいに含み
寄り添い震える オマエ=キスマーク}
見つけたぞ
見つけた
私はジッとオマエを見つめる
ものも言わずに脈打つ オマエ ....
起きたら
三島由紀夫だった
下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか
会ったことないのに懐かしむ
せっかくだから ....
タイ南東にうかぶコ・サムイ
サムイ島の 常夏の夜はすずしい。
海の微風に椰子の葉葉がおおきくゆれる
ヤーという女とふたりで満月をみあげる。
風にのるあかるい会話
耳に心地よい片言の童 ....
厳密には
中性浮力ではないのだろう
プランクトンたちは
死ぬとゆっくりと落ちていく
海の雪は
深いところで
光合成なんてしたことも見たこともない
生き物たちを養っている ....
げんまい
China Store
は知名商店
県立病院のはす向かい
時刻表が意味を持たない島の
まだ暗い時間から
白衣のままのインターンが
パンや牛乳を買って
{引用= ....
おぎゃあ
一字一句間違わないように強要された私のからだに
それとなく触れるだけであなたは最前列から並べら
れた裸体ばかり順番に、顔だけは別にするようです
....
母さん、
ほら、春の風が吹いて
そろそろ僕も
行こうかと思います
春の風は早足で駆け抜け
いつも、僕は一人残されてしまうから
風のすべてが海の向こうに渡る前に
そろそろ行 ....
ウオルト・ホイットマンは世界にひとり
一八一九年 ニューヨーク州ロング・アイランドにうまれた
四歳の時ブルックリンにうつり 五五年 突如 火の鳥
三十六歳のホイットマンにより『草の葉』第一版は書 ....
夕焼けが足りない 一○
これで最後ですよ
と通達された
あなたのための夕陽はもう残っていません
と
どうやら
流行りの成分のひとつで
許容摂取量も決めら ....
フィルモアSt.
ジャパンタウン もっと南の
パブ
3バック
ウィスキー・ソーダ
オーダー ラストで
カウンター
ひとり 黒人
ひとさしゆびを たてて
みけんに
ち ....
明日やればいいことは明日やろうよ
などと
あのかたはおっしゃるかもしれないが
私は今夜も働くのである
表通りの恋人たちは
恋がかなってもまだ文句たれる甘ったれだし
裏通りの酔っ払いは
....
一八五四年十月二十日
北仏アルデンヌ県シャルルヴィルに生まれ
南仏ブウシュデュローヌ県マルセーユに倒れ
空遠く消え去ったのは一八九一年十一月十日
一九九一年 ランボー没後一 ....
Better half なのかどうか
糸瓜料理は
ちょっと手間をかけると
ポチャポチャと
自らの汁にスポンジのように
漂いだす
美味いから食べてみろ
など ....
あつい陽射しの中にいつのまにか
とうめいな光がましてきて空は青い
『ジッドの日記』新刊本の表紙の白い
色に金と黒と朱の印刷文字があざやか
世紀末から新世紀をのぞむ思想家
にじみだすイ ....
アンチ・テーゼ? 最近はあんま見やせんなあ
外海まで出りゃあちったあ捕れるかも知れんけん
あんた近海もんが欲しいだら?
活きのいいのをくれっても無理なもんは無理だに
ほんじゃテーゼ ....
<サンプルその1>
風に舞う落ち葉がカラッポの心に痛い
あなたが行ってしまったから
あたしはひとりきり
強くなれない自分が哀しい
あなたが残していった夢のカケラを抱いて
言えな ....
(あ)
あ
っという間もなく
それはもう
あ
ではなかった
語られることのないおとぎ話は
ただ
さらさら
さらさら
と音めいていて
僕の両手はいつも
掴まえることが ....
雨が好きという小説を読んだことがある
雨が嫌いというのはあまり聞いたことがない
やらずの雨は都都逸にもあり乙なものである
城ヶ島の磯にふるなみだ雨はせつない
雨よふれふれも悩みをながす ....
あなたも五十すぎたら定年になる
ささやかれてから 今年でちょうど 四年
第二の職場 わたりに舟と観念
世間には 不景気の風 吹きはじめてる
まだ浅い春の 山にきて ふと見上げる
....
──またの名をアナグマ。
(ムジナ暦:何が起こったか)
0年:ムジナ誕生。
誕生の経緯は不明。全くの突然に現れる。
この頃は名前がまだ決まっていない。
....
骨壷をもうひとつと
父親は頼みました
寒い寒い一月の斎場で
白い骨になってしまった
母親を乗せた
鉄板をみんなで囲みながら
葬儀屋が用意してくれたのは
大きな骨壷がひとつと
....
暑中お見舞い申し上げます
今年は母さんの新盆だから
せめて墓参りにくらいは帰ってきなさい
父より
追伸
そういえばクロがおとと ....
白鳥は冬の渡りの鳥
"冬の白鳥"
なんにも不思議なことはない
けれども白鳥は夏の星座
南十字とともに
銀河鉄道のもう一つのステイション
北の十字
冬至間際の日 ....
東京でも月ぐらいあるんだろう
でもほら
あの浜でやったように
月光の下
唄ったり踊ったり できたのか
お前が東京の大学に合格したとき
お前の母ちゃん幸せそうで
やっと大工の親方に ....
しのぶと暮らしていた時
給料を貰って持って帰ると必ず神棚に給料袋を置いて「ご苦労様でした。」と言う。
それから神棚から下ろして、家計の振り分けをしてくれた。
おじさんのお小遣い、食費、光熱費等々 ....
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