踏みつけてふりあおぐ、春
たりぽん(大理 奔)


舗装された道の
ペイントされた、とまれ

踏みつけられた骨の色の
見上げる季節の樹香
舞い散ってへばりつく
美しいという名の死骸
立ち上がれない
ペイントされた、とまれ

月が出ているのに
山の上に閃光
時折かぜに混じる雨粒
痛みだけが
生きていることを突きつける
擦り切れていく
ペイントされた、とまれ

骨の色、牙の色
白く、停止され定着する
現像された
名前のかたち

この夜、踏みつけて
振り仰ぐ
うっとうしいそのむれの
舞い散る死骸のひとひら

頬に張り付いては
雨粒の別名を
ささやく





自由詩 踏みつけてふりあおぐ、春 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-04-11 23:35:04
notebook Home 戻る