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もうきすしたい冬なあ覚えているかいむかちで真つ白なこころのいく先はいつだつてかなしみの真つ白な翼がなくてはいけないところだつたからふたりはいとくの真つ白な翼を生やしよごれたあきらめ渦巻く風吹く迷宮 ....
文体は作家の生理だという。
なるほどね。
じゃあ、詩人はどうなのか。
詩は文体であって、文体ではない。
詩人のことばは生理そのものだ。
物語ではない。
詩だ。
生身のからだを担保 ....
漏電を思わせる低気圧の真夜中には生焼けの肉の臭いがする、一息に喉の奥に流し込んだハーパーのせいで身体はまるで蒸気オーブンのトレイの中でぶすぶすと少しずつ焦げ続けているみたいだ、ベルベッド・アンダー ....
ひとつぶの光を追う
求められた大きな聖杯が
冷えた水蒸気をまとう
あらゆる渇きに喉が浸せるように
切り裂かれた流星は象徴を保ったまま幾片の塵となり降り注ぐこの夕闇に
君は息をひそめて自身 ....
母に愛を頂戴と 両手を差し出すと
母は遠い所を見るように 私を見つめる
朝 白い大きなお皿の上に
母の首が置いてあった
寝室の机の上にある手が握っていたのは
((少しでも足しになれば…、 ....
一日中縁側で過ごす人は
陽の目を見るのが少なくなった人だ
何を話すでもなく 寄る猫を追い払うでもなく
牛乳屋を見送って 小学生の登下校に目をやりながら
物干し竿がハンガーごと錆びていくのを ....
眼は眼の外にあり、私たちに肉眼などあり得ないのです、世界にはもとよりひとりしかいなかったのだから、神様が発明したのは、ただ孤独(iso)だけで、
「私が遠い場所に行って帰ってきたら、どうか私が私 ....
月にいきてえんだよ
息ができねえとか
華がないとか
雲がうかんでねえとか
音がないんだとか
そうかいそうかい、
どうでもいいんだって!
おれも男だからさあ、穴が
あった ....
およそ一千年前の一夜に
彼は女の人からそのからだけを買いました
およそ一千年前の一夜に彼は
首都の街で
女の人から からだだけを売って貰った
自分が働いて 手に入れた金で
肉体の欲 ....
リビングで
回遊している銀の魚は
言い出せなかった言葉の群れ
怠惰な午後に
ゆらゆら
なんて美しいのかしら
この沈黙は
ラーメンの食べ方なんて
説明したってしょうがないじゃんかよ
だいたいラーメンの食べ方が
なんでああなのか
あんた自分にも説明できんだろが
説明できんの?
アホかっての
考え過 ....
(慟哭)
世界に影を落とした優しい諦めを知らないで惨めな豆腐の角はたいせつに磨いたアクアの舌。はもうないけど人狼の夜は深く更けゆくばかり火の鳥を知らない?
(うそ。知っている。)
悲 ....
疲れた心のためにインスタントコーヒーを一杯いれる
僕は悲鳴こそあげないが
なんだかいつもテンパっている
60〜70年代に掲げた自由ってなんだったのだろう
敵はいないし仲間もいない
....
震え、祈り、破れた、心で、声は生きたがっているように聴こえます。艶めかしい雲の色は、ふたつの虹が、絡み合い、混ざり合った生き方です。なにも捧げない、他人任せの希望、ただ生きるために、悲しみに汚れる ....
めざめると同時に 自由の女神になっていた
すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し
頭の中に声が響いていた「走れ!」
いや、ちょっと待て 忘れられないぢぁないか あの家の ....
走れ!
茜色の雲から
茜色が抜けていくのを眺めていた
わずかの間に光を失い
灰色の雲に戻っていく
その色を目に焼き付けて
覚えておこうと思ったのに
ほんの少し
視線をそらせただけで
もう ....
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる
うねる大気が木霊して
水玉記念日
カラカラリン
と卒園式
はじめてのさよならは
カルピスの味
あまがえる
雨、降ってきたかとてるてるぼうず
雨、降ってきたよとへのへのも ....
飛び込む
タイミングが
解らない
あの胸の中このビルの下
希望はいつも
上にあるのだと
知っている人が
作る空の色
吸い込まれそうな
青の視界が
反転をした
海に変わ ....
植物と昆虫では
どちらの命が軽いのだろうか
満開の桜の古木に
ガソリンをぶちまけて
チャッカマンで火をつけた
まさに炎舞
いい感じの地獄絵図だ
キッチンのフロアに
突然現れたゴ ....
青空が見えている
静かだ
青空を見ている
静かに
呑まれていく
わたし
青空が見ている
静かに
海に近づくと一瞬の真空がある。
漣は失望のように浜辺につもり、
明日を生きる人は海を捨てた。
漂白した回想が水泡となったころ
海は思い出したい人を抱いて、
漣はやはり、つもるばかり。
....
『赫』
赫いピラカンサス、鮮やかに燃えて
秋が尽きる前に燃えてその杯から
あふれ滴る毒を孕んだ赫い果実よ
あのひと粒 ひと粒 ひと粒に
過去と未来の産ぶ声が詰まっていて
そこに ....
ゆび先が追う雲……
あの空には、レモン色のなにかがまじっているにちがいない。
かすかな酸味にみちて。
ゆれる線譜のうえを、
つらなる音がながれていく。
それぞれの音が、それぞれの頂点 ....
ごめん。
嘘ついていました。
恥にまみれた人生を、送って来ました。
なにもカッコつけたいわけじゃなく、
じゃなく、
とてもカッコをつけたいの。
だって、生きて、
なんのた ....
架空少女事典
あ から ん までの
きみ のこと
ろくがつ だけが
かすんで る
水田
帯解寺の帰り道
奈良の盆地の五月晴れ
水田若穂に渡る風
....
枯葉のように
舞い落ちた
夏の日の恋
白いボートで
あそびながら
エメラルドグリーンより
コバルトブルーのほうが好き
紅葉のころに
また来ま ....
フルーツポンチの ような顔をして
宇宙の果ての 果ての隅っこで
フルーツポンチを やってはいますが
その正体が いったい何かは
当の本人も 分からないのです
鏡を見 ....
鈍色空は僕の心
鈍色空は僕の気分
鈍色空は行き止まり
そうしてぼんやり全てに呆けて
僕の心に花野が開ける
狭い暗渠を通り抜け
あの無上の花野に至る
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