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「イルミネーションが点灯する季節になった」
と書き始めてやめた
苦しいときに苦しいと言い
俺のために俺のためと言った
会社員はやめたから空は明るく
ここは田舎で風が冷たい
悲し ....
枯れたバラ園のそばで
鮮やかな過去に埋もれて
もう聴こえないヴァイオリン・ソナタの
朧げな旋律を追いかける
厳しく美しい冬
風は心の奥まで
凍らせようと目論んでいる
死んだ土をす ....
そういえば蛾を見ない
みのむしなんかも見かけない
Wi-Fiのせい?
そんな気がする
もうやけになって
いっそ世のため人のために生きたくなる
そう決意するのでは ....
夕暮れという輝きが街を流したのは
言葉が言葉になるよりも、ずっと前のこと。
地平から幾筋にも分岐した時間は
人びとの膝下で、打ち寄っては引いて……。
わたしは誘われている。
どこ ....
*
それでもいい
遠い足音の偬しみも
かわした言葉のすべてが いつか跡形もなくても。
ぼくらの中にだけ積もってゆく
ただ、それだけ、であっても。
純度の高いまだ ....
夏コミ
ガロイ先輩の冊子の山は夏の氷のように無くなり、最後
の一冊を手に、どうしてこんなもの、と皆目見当もつか
ない僕に、代々木駅掲示板のカリスマだったんよ、とチ
ブラさんが明後日を見なが ....
女の人には閉経があるのに
男にはそれに相当するものがなんでないんだ
女の人は閉経によって妊娠と月経から解放されるようだけど
男は生殖からけして解放されないって訳かよ
ある意味公平じゃないん ....
ソテーされた鮭が
鮮やかなピンクの身を
煌めかせ
固く炊き上げられた玄米が
香り立つ
岩のりが添えられた
ほうれん草の緑は
彩りを添える
しかしながら
これらの魅力的な惣 ....
青い雨が
灰色の空から降り落ちる
夢の中
白百合の頭部が
ポツリと
落ちる
小さな三角形の帆を張った胸が
なみだの波紋で揺れている
だれにもしあわせを
届けてあげられないので
....
光の空、
いよいよ透明に青散らし
冬、深まる
深まる冬に
強い熱放つ、
太陽は天に貼り付いて
霊園に佇む墓石たち、
しづかしづか 白骨を打ち鳴らす
水を運ぶ両側で
一つの墓石 ....
燃え上がる
刃、突き立て
燃え上がる
沈黙の極みのこの夜に
刃、突き立て
燃え上がる
コトバ、ことば、言葉よ
おまえの響き
俺の脳髄を串刺しにし
後頭部から抜けていけ
....
私には友だちが
100人くらいいるけれど
ペンだけで繋がっているのは
あなたひとり
あなたが何処にいるのか
私は知らない
都会か
田舎か
火の国か
水の都か
....
ねずみ色の雪が降る
空は赤く明るく
紫の月が欠けてゆく
ほころびて
深まる冬が
満ちてゆく
少し怖くなって
駆け出した
他人のことを
ジロジロと見たりしてはいけない
それくらいのことは
分かっている
けれど見てしまったのは
決して見とれた訳ではなくて
動きが怪しかったから ....
まぼろしの人は戸口を開けて、歩いていった
後ろ姿が遠のいてゆく
夕映えへ連なる… 小さな足跡
――それを誰かは数珠と云い
――それを誰かはロザリオと云い
*
木漏れ ....
夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
あの日
骨ごと断つ勢いで斬りつけた左手首に
病院のベッドの上であなたは
切り取った雲一つない青空を
私の傷口に深く埋めてくれた
重い曇天に覆われてる毎日の
奇跡的に雲が途切れた瞬間の
....
長い顔の
詩人を葬り去って
冬が来る
言葉は短くていい
最終列車の
ガタんゴトん
詩人の
カクカクしかじか
お前は
いつから哲学者になったのか
反省して家に帰る ....
縄文人は思った
舗装した道路で
なぜ靴が必要なんだ
弥生人は思った
食べきれない量を作って
捨てる意味がわからない
侍は思った
携帯電話は武器なのに
なぜ訓練しないんだ
....
サウジアラビアの油田火災のニュースが流れる電化店のフロアーを
ローリング・ストーンズのシャツを着た若い女がナイフを持って歩いている
彼女の敵意は自分にだけ向いているようで
右腕は指先から肘の ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
小夜時雨
雨がしとしとおしゃべりしてるよ。ぼくたちが忘れてしまった言葉で歌っているね。ぼくら魚だったころあんな風に泳いでいたのさ。雨粒は小さな海だからひと粒、ひと粒に、ほらだれか泳いでいるよ、な ....
うじゃうじゃと
うじゃうじゃと
ことば湧く
わくわくと沸く
湧く沸くとわく
湧く沸く湧く沸く
ワクワク ト 鳴って!
くねってみようひねってみよう
やはらかに しなやかに
こ ....
長い年月の間にすっかり干上がってしまった井戸からは、水は匂いさえしなくなっていた。
地下水に頼る生活はもうできない。水を汲み上げる手動ポンプは役に立たなくなってしまった。
やむを得ず家に自治体 ....
段々と暗くなると
高層ビルの窓は
オセロのような欲望の明かりが灯り
ピンクのネオンサインが溢れ
歩道は一面の雪の様に白くなり
それに集まる無数の黒蟻
移された木々は異様で
....
無音の現に
頭突っ込む
頭呑まれて
言葉を捨てる
要らないんだ
要らないんだ
伝達言語、要りません
白壁囲う白い部屋に
伝達言語、要りません
壁を叩く
沈黙の壁叩く
壁な ....
冬のしゃぼん玉たち
雪にはじめまして やぁ、はじめまして
それからさよなら ふれたら消える友だち
めくばせしながら ふるりふるり
のぞきこんでごらん ほら うつるよ ....
あめがふるとこころが暗くなりますなにをどうするつもりあかるくるなりたいのでしょうそれはたしかにそうなのですよたまゆら笑いかけてくれる星がみえるから晴れたひにはこころがおどりますあめがすきっ ....
ちぃたかた
今朝発見された
言葉もない頃の手向けの花は
やがてその形も無くしてしまう
のかもしれないけれど
それが僕らの世界のはじまり
フランケンムース
年中クリ ....
宇宙は雪降り
街は冬晴れ
燦々と照る
太陽渦巻き
宇宙の渦巻き
俺は聴く
銀河が
旋回
する
音を
タタタタタッ
走る走る
芭蕉の奥の細道を
走る走る
タタタタタッ
....
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