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静かだ
ただ ただ 静かだ
そんな中で母が逝こうとしている
チューブに繋がれ点滴を打たれ死と対峙している
春だというのに
桜の花が咲こうとしているのに
母が死んでしまう
無力 無 ....
書くべき物語はもうないのだった
すっかり何もかも失ってしまって
ただ生きて在ること、それだけが
残され 、〃うっとり〃桜を見上げ
もう何一つ
始まりゃしないのに
両手広げる、大きく大きく
....
一行先になにがある
埋もれたものを
掘り出すために
ペンはノートをすべる
時に動きを止め
時にくるくる回り
なさけなくも
いさましく
次の一行へ
インクが尽きた ....
磨り硝子の向こうをよぎったのは
夜を飛ぶ鳥なのだろうか
地に落ちていく誰かの魂だろうか
生れ落ちていく無垢な魂だろうか
それとも夜に自由を得る地を這う
人々の束の間の歓喜の夢かもしれない ....
僕はつづけた。
………というわけで、クジラの瞳の色がネイビーブルーであるのは、
空の色を吸収して、また放射しているからなのです。
傍らにいる誰かが、うなづきながら聞いていた。
僕たち ....
その男は言うだろう。
「べつに文字や言葉を売ろうとしているわけではない。わたしの才能が売れているだけだと‥
‥。きみ、賞をもらって何がわるい。受賞すれば履歴に肩書きが付いてくる。肩書きが付けば ....
階段を上る足音。携帯が鳴る。いや、呼び鈴なのか。テレビをつけたまま眠っていた。そろそろ肩の芯まで冷えてきて、夜は不安をつれて深くなる。生きているうちはいい。不可解な死に方だけはしたくないものだ。と ....
きれいごとを
あらってたべた
きれいなのに
あらってたべた
そしたら
しょくあたりになって
げーげーはいた
わたしはよわいにんげんなので
きれいごとは
きれいごとのまま
たべていこ ....
長方形の焼跡は億年の時を経て
掘れば首長竜の化石が眠っていて
あなたの声も眠っているだろう
倦んだ日々に
燃え尽きていった
古い絵葉書
切り抜きの地図
杭州西湖へと
引かれた
....
金曜の夜
彼女が出てった
理由なんか知りたくもない
土曜の午後から彼女のものを片付けてると
冷蔵庫の奥から何重にもラップされたくさや
彼女が嫌いと言ったもんだから
島の親にはわ ....
頭の上に
王冠を乗せる
例えそれが
幻だとしても
春の日向を
掴めるだけでもう
靴紐の長さが
短くなる
旅人の靴が
動き出すまで
たくさんの爪が
剥がれるように
桜 ....
刹那
ここを起点としてカンザスシティに熱い風が吹く。
推敲はしない。わけがない。
渦巻くウシュアイアのバルコン。
汗だくで田植えを終えたら
トゥクトゥクに乗ってどこまでも行こう。
封筒豆腐 ....
そっと、やりすごす
3月に降る雪のように
待ち焦がれた春のぬくもりを
追いやってしまっても
身の置き所もない苦しみも
雲間から射す刹那の空想も
砂浜に打ち寄せる静かな波が
押して ....
船はいつものように鎖でつながれるだろう
青い月あかりが尖った夜の冷たさで
恋人たちを未来へと追い立てるだろう
ビルの上を飛ぶアホウドリの
啼き声がなにを求めているのか
大空を ....
金曜日の朝、イチロー引退のニュースに、
思ってもみないショックを受けた
春は毎年、鬱になる傾向・・・
人事異動のせいなので、深遠なる理由は特にない
あと、花粉と。
職場への道を、てくてく歩き ....
とじた目蓋の裏に海がさざめいていて
丸めた背中の上を野生の馬たちが疾る
寝息を受けて帆船が遠くへ遠くへ
あなたの存在そのものが夢のよう
そんなふうに思えたことがあった
ひとりでない、 ....
単純にじっとしていられなくて胎児は未熟なその足の片方で蹴った。
に過ぎなかったのに、女はそれが嬉しくていとおしくて、側にいた男に報告した。
「私たちの赤ちゃんが今元気にお腹を蹴ったわ」
まだ生ま ....
滑落した真夜中の亀裂の底辺に横たわり
衝撃の中で朧げな幻想を見ていた
ままならない肉体のどこか入り組んだ場所で
仕切り直しよりもシャットダウンが要求されていた
そこは氷山の中心のように ....
柔らかな陽射し、
惜しげなく降り注ぎ
光の道、
何処までも続く
世界はきらきら煌めいて
風がもう絶えず吹いている
ああなんていいんだろう!
この春日の緩やかな傾斜に沿って
ゆっ ....
男は、どこか母親に似ている女に自分の遺伝子を遺したいもの
らしい。
kが大柄な体より小柄な女ばかりにひかれてしまうのはそのせいだろうか?
kの父親は大柄で筋肉質。胸板は厚く肉体労働に従事して ....
誰かが正しいという循環から外れても
心臓は打ち、もの思わぬことはない
放たれない言葉の流れが澱み
わたしはわたしから溢れ
低きに流れて見上げるのも
疲れるから地底湖になっている
と ....
祖母の 遺骨かと
焼けた雲 追う
折り紙の 鶴も
川くだり する
縁石に 添う
ひしゃげた 靴の黄
踵 上げ
芽吹く 緑
竹の 支柱に
絡む 蔦
編む 影
思しい 葉脈
....
公園のベンチで寝ている女を
小学校三年生の女の子は汚いと言う
ずっとそう教えられて来たから
口をとんがらせて泣きそうになって
汚い汚いとかん高い気分が滅入る大声で叫ぶ ....
ウヨクとサヨクが喧嘩してる
もういい加減に
しといたらいい
戦争好きがウヨク平和好きがサヨク
おっと違った ちょっと違った
ウヨクとサヨクがスキップしてる
もういい加減に
沸いたか ....
詩は勝てない
自分の意見を言葉にできる人に
詩は決して勝てない
気づいたことをちゃんと調理せず(素材そのものの味とか言って)
なんとなく寂しいだとか嬉しいだとか
そういう気持ちのソー ....
詩で、人は救えない。
詩にしがみつき
ひたすら走り続けて来た私が
貴方から突きつけられた
現 ....
モーテルの階段で呼びとめられて
マニキュアを塗ってもらった
「目立たないから、バレないって」
そう笑って彼女はウィンクする
ピンクに光る爪が
あまりにきれいだったから
120分 ....
詩を創ってネットに書き込んで何か貰えるのお父さん
娘に訊かれた
何も
そう答えると
つまらない
と娘が言った
それなら
俳句とか川柳とか、賞金か賞品の出るやつに応募しなよ
そっちは ....
もしも 三人が しゃれこうべになったら
三人は親子だと すぐにわかる
なぜなら 同じ頭の形してる。 と、言われ
ハチマキ姿のタコの絵のような 立派な おでこを
三つ つきあわせて
婆さんと ....
透けた文字の凹凸
まだみぬ未来の影を踏むように
まだ逢えないひとの指先を数える
まだまだまだ未だこない時が記されていて
凹凸に触れるゆびさきは酔い痴れる
うらおもて おもてうら ....
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