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古物が集積された
墓場のようなビルの前
フェンスにもたれて
剥げた手足を
褪せた顔を
晒しながら
途方に
暮れて
きみは空を斜めに
見つめている
いつか駅にいたきみ
もうなに ....
強く 抱き締められた形で
ひしゃげたまんま大きく なった人たち
身ぐるみ剥がれたみかんの皮を
物悲しく思いやるということは
良いきもちや悪いきもちで触れる
分別も足りてないってことなんだね
....
神を今すぐ信じてください
必ずや神はお救い下さいます
裁きの日は近い
と日本語で、優しく、
男の声で振動するスピーカーを
槍に貫かれた首級のように掲げて
ブロンドの長髪が引力に逆ら ....
さささささっ
と
走る
すすすすすっ
と
消える
今ハ
静まり在るもの
森羅万象、
さささささっ
すすすすすっ
ハシル キエル
消え走る!
呑まれ飲んで
また呑まれ
....
牙を剥く
土竜を
撫でる、
のです
食べたい
檸檬を
舐める、
のです
みんな
午前5時には
無駄に生きてきた地球への情熱を
返す必要はない、
のです
....
青の名前を言いなさい
身体の中に滴り落ちる
かなしみの青かな
しあわせの青かな
どちらでも
同じようなものかな
そんな鳥を見かけませんでしたか
そんな空を見かけませんでしたか ....
朝露のかがやく
翠陰にいこう
ぼく
そよ風のかおる
草原にもゆる
あす
目にうつる
景色は
今
蒸発のない
刹那は
却
俺が出した命を
俺の犬が食っている
尻尾を振りながら
そんな汚いものでも
お前は喜んでくれるのか
俺はもう一度
ひねり出した
フガフガと鼻の周りを
命だらけにして
嬉々と ....
坂本花織はコアラに似てた
マーケティングしたら南青山あたりに児童虐待が多かったのだろう
ゆずは弾き語りツアー中に2020年解散を発表するにちがいない
カルロスゴーンは見るからにヒール ....
もうすぐ
トンネルだね。
息子がつぶやく
車内は空調がきいてあたたかい
帰路を走るフロントガラスに
ちらちらと落ちる雪
しろいね。
冬が深まるたび
吐く息が白くなる
....
「私は洋食が好きなの。」と言って
いつもミラノ風ドリアを頼む90歳の祖母
性格もシビアだが
財布の中身に関してはことさらにシビア。
死にかけた親父にミラノ風ドリアを食わせると
やり残した ....
冬に映える黒髪の獣の口から、あなたとの四季のため息が風に巻かれていくよ。あのシャボン玉がすべて包んで弾けたからぼくやきみの悲しみさんはもうないんだ。同じように喜びも弾けて消えるからまた悲しみさんはとな ....
老人はおまえに
ものを
放りこむ
赤々とした
その口へ
おまえの頭上で鍋が笑っている
数限りない夕餉の匂いがおまえに
染み付いている、また酒の芳しい香りと
血の流れと涙は静かに漂っ ....
そうしてお前は海藻のような俺の臓物を引き摺り出す、喪失の感触はあまりにもヘドロを思わせる、トッカータが聞こえる、それはあまりにもマッチしている、俺は呆然と虚空を眺めている、目に映る風景はとっくに意味を ....
開けた窓から雨の匂いが流れ込み
濡れていく遠い森のざわめき始めて
貴女の声は透明な水底に沈んでいく
クリスマスイブに降臨する
ピッカピカの大天使、
クリスマスイブに舞い落ちる
さらさらの粉雪、
言葉と
こころと
理想と
夢とを
傷つけられて
千切られる寸前まで ....
琥珀のスープを
飲み干した時
同じ体温で
冬を知りたい
サラダの鮮やかな
赤い野菜に
つまづく事なく
食べられたら良い
パスタの重さが
運命のように
口の周りで
踊り出す ....
背中にぜんまいがついている。それがすべてのヒトの動力源だから、必然とそれを回す力が必要になる。
果たしていつからそんな仕組みに変化したかは解らなくなっていて、それを追及する行為には死の罰則が待ってい ....
空から見るあなたの町は
海の青と畑の茶色い区画だった
あんなに焦がれた都会を離れて今は
子どもたちとツリーを飾ってる
温かいシチューを振る舞って
電飾を灯す
みなが眠り ....
歌は、
今夜も眠りをいざなうだろう
僕は、
この部屋にながれる
美しくも、切ない、哀しげな調べを
オーティス・レディングの歌声を
....
遠い友達が
泉に雪が降ったら教えてください
というので教えてやることにした
だが雪は降らないよ
当分
降っても泉には
積もらない
たぶん
間近に迫る山の頂が
雪を冠った
晴れた ....
空を何かに例えなさい
薄いノートに綴りなさい
たとえばひどく年老いて
頼りない犬のような
寂れた町のおじさんの
何もない後ろ姿のような
空
空がゴロゴロなっている
雪迎えの ....
人はいつか死ぬんだなぁ
ぽつんと呟くと
目の前の息は
なお一層 青くて淡い
小さく繰り返して
また繰り返し
・・・蘇生するってさぁ
・・・苦しくてねぇ
海底の沈没船 ....
日々の傾き
わたしたちは
あかくなる木々にもおびえて
言葉のすき間に
場所をもとめた
磨りがらすのように
ざらついた気持で
いっさい誰のものにもならない
なにひとつ手にもたない ....
名指され得ぬモノ
今刻々と
降っている降っている
*
獣の声、
響いていた
死者の声、
響いていた
師走も端に走りいき
年の瀬都会の大渋滞
怒涛の静けさ霊園墓地に
ほの ....
小さなもののことを、
小さなものが話した。
それは針の穴を抜ける糸のように細く、
ティーカップにスプーンを浸したときに沈んでいく、紅茶の葉のよう。
大きなもののことを、
大きなもの ....
手放したコートが風に舞い
風がコートを羽織っているようだ
見知らぬ少年がそれに目を
奪われている足元には
踏みつけられた草花が痛々しい
何も人に与えられないから
たまになんでも手放してしま ....
おはようと さよならと
犬の鳴きごえ 耳の色
右手のかたち 指のおと
この世界を忘れるために
規則ただしく生活をして
この世界を忘れるために
夢中で愛や夢をして
おはようと さよ ....
黙りこくって下ばかりみて 歩いていたら
花が咲いていた 枯れ葉が落ちていた 色とにおいと
たまに ぽかあんと 空をみあげると
ひろくって 青くって ちょっと吸い込まれてしまいそうで
....
歳を重ねる度に
人間の落とす雫の大きさは
段々と小さくなり不安を感じるが
そんな時は気晴らしに
美術館の近くを散歩をして
入館して色々な絵画を見る
偶然か
横断歩道の向こうに
....
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