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その知らせは
あるいは見ず知らずの番号からの
不吉に鳴り止まぬ着信であり
割り込みの権利を有する特等席の乗客のように
日常をふいに破いて届けられるので
わたしは声を失う
関わりの長 ....
生温かい午後は
初夏の匂いを孕んで
油断させる
眠気を撒き散らし
{ルビ気力=エネルギー}を奪い去り
時間さえも怠惰に流れ行く
束の間
夢を見たような心地を覚え
雷に撃たれたい ....
しろく印した約束
違えないようにと
丁寧に付箋をはがす
いつかの夏のはじまり
まちあわせを繰り返すきせつ
出会わないやさしさ
みどりに染まるかげを
ひたすらに踏みしめてあるく
....
うつらうつらする
この午後に
鳥は囀ずり
地は照り映え
私の憂鬱と倦怠は
一吹き風に溶けていく
)なんて優しい午後だろう
)遊ぶ子供の声が窓辺から
)うっとりゆっくり流れ込む
) ....
わたしの嘘はわたしがよく知っている
でもわたしの本当なんて
わたしにもわからない
もっと自分をさらけ出せとか
魂の叫びを!などと言われても
わたしにはよくわからない
独りよがりにな ....
これは何度目の雨でしょう
濡れた紫陽花を摘みたくなりませんか
忘れたいことが多すぎて
なにから忘れたらいいですか
なにもかもを忘れたら
あなた居なくなってくれますか
忘れたいことが多す ....
石と薔薇、石に薔薇
逃れ去る永遠は
石に薔薇を刻み込み
無数の棘で肉を刺す
失われた日々よ、〃無限の〃想い出よ
この光の午後、
日なたに細やかな模様を編んで
揺れる影はもう無数、
私は眩暈するよなこの現に
微睡み呆けて夢をみる
呆けて赦される夢をみる
〈ああ 娘よ、おまえは何処で何をしている?〉 ....
雨と紫陽花と書きかけ
わたしはドクダミの花をチョイスした
白い十字のドクダミの花が雨に濡れ
美しく光っていたと書いてみた
それだけで、ほっとした
梅に桜にツツジ、ハナミズキ、五月の薔薇
そ ....
サメザメと降り続ける冷たい雨は
なんのためであろうか
この汚れた{ルビ惑星=ホシ}を浄化でもしているのか
ありとあらゆるゴミを洗い流してくれているのか
そんなことをしようとも
この心 ....
今日は雨
いつのまにか
緑を濡らし
緑に濡れ
あじさいの花、
鮮やかに咲き誇る
私はぼんやりと
病院のホールに居る
立ち働く看護士や介護士達、
立ち歩く患者達、
窓ガラスに映り ....
浮き沈む鳩の斑な声に文を書く手も唖になり
犬連れの人々が屯う辺りへ角張った眼差しを投石する
紙袋を被る息苦しさ己が手足を喰らう祈り
内へ内へと崩落しながら書くほどに死んで往く
薄緑のカ ....
私は終始
得体のしれない不安に付きまとわれていた
なんてね
そんな言葉をずっと文字してみたかった
まるで売れない純文学作家の小説のテーマみたいだな
学校とか職業とか
異性遍歴とか
過 ....
雨と雨との距離を測りかねて
戸惑いに揺れる傘は
五月の鋭敏にやられた心です
ビル街はところにより墓地のよう
予報どおりに雨は止みました
枯れかけた花束の空ですけれど
新緑が瑞々しいですね
....
太陽の匂いを
嗅げそうな気がして
空を見上げて見るのだけど
青い空が拡がっていて
その中でも太陽は誇らしげに
強い光を放っていて
眩しくって
目が眩みそうで
それでも頑張って
目を見 ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている
折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく
いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
* * * * * * *
灰色の部屋の中で ボールペンが、白い紙を見つめたまま下を向いている
公園では 樹々が空に向かって上を見上げている
夏が もうすぐそこに落下する
* ....
いつの時代も白い蝶は飛ぶ
記憶の境目チクチクと縫って
軌道を見ている夜が好きだった
置き忘れて来た大事な言葉を
腕時計のリューズで巻き戻す
微笑みのようなそれは涙だ
甘い匂 ....
俺は嫁をこよなく愛している
二人の娘もこよなく愛している
つもりだけれど
果たしてその愛情の
重さ深さ大きさを現実には計れてはいない
およそなのだ
曖昧なのだ
いい加減かもしれないの ....
滔の海を見ました。かれのたましいはそこに転がっているように思えたコンクリートの路地裏があったのだけど、そうじゃなくて、本当は海みたいに手でかたちづくれないものの合間に挟まっているんだと思えました。残さ ....
裏切られて 裏切られて
恋の代わりに
安らかな呼吸を信じよう
あたかも にじんだ少女が
色彩に埋もれるように
粒子のざらついた日光が
ピントのきかない景色を
さらにまだらに削ってから ....
あらゆる行為を禁じられ
私は北極に立っているかのように感じた
もし周りの全てが敵だとしたら
頼れるのは
私自身とあの人の思い出だけ
そう思ってきた孤独な年月
何もなくても朝日を迎えないこと ....
みのりがことり
と音をたて
みちた風をゆらしもする
衣擦れの
すきまを縫うひかりの
糸をまぶたで
つむいではながれる
影の
あわさに怯えたり
も
する
くもり、
軟 ....
心が詰まるのは
閉塞ではなく
叫びを放つ
矛先を探して
そうはしないと
自らを抑えつけ
息をも漏らさず
力拳を握り潰して
そこに立っていようと
踏ん張ってしまうから
陽光がとても眩 ....
なにもしていないとき
いえ
なにもできずにいるときの
わたし
秒速ゼロセンチメートル
部屋にうずくまって
きれいな体育座りの姿勢で
うつろな世界を
うつろに見ることもしな ....
少女が窓辺に腰かけて
静かに外をながめながら
じっと何かに聴き入っている
その目からこぼれ落ちる
涙のしずくは
キラリとひかる美しい
ダイヤモンドのよう ....
ゆがんでいるか
踏破する指先の旅人
しろくなめらかであり
その頬に吹風は
行方をはばむことはない
いくとせの
起伏を顎に記述させ
あ、という声すら
ひそめて
夕ひは ....
六月の夜の街で 通りすぎるはずの弾き語りに足をとめて
どうするべきか戸惑いつつ 疎らな聴衆の背後に加わり耳を傾けた
酔っていたせいかもしれない
気持ちのいい風が吹いていたからかもしれない ....
季節はいつの間にか
窓の景色として生まれて来る
わたしは、
季節を食べることもできる
触れることもできるし
ときには、憎むことさえできるのに
馬車のように疾走る季節を
掴ま ....
私の昔のあだ名は、スカンクとサリン
男子は酷いよね
小中学生の時
女子はかばってくれた
この頃は女子の方が比較的、大人
私は、おならとお腹の音で悩んでいた
くっせーぞ!
....
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