本当に優しい人から傷ついて暮れる世界を憂う満月 糸杉の並んだ道
夏のただ中だった
一歩歩くごとに
汗は蒸発していき
肌に残されたものは
べとつくだけの塩辛さだった

暑さのあまり
蝉の声さえ途絶えた
世界には
わたしとあなたしか ....
お前には分からぬだろと自慢げに網戸の蟋蟀情事を唄う 真夜中にそれは月だよ。グラビアの雑誌から顔あげわたしに気づく


なんもない。なんもないからコンビ二の袋を捨てずに守ってしまう


わたしだけ日焼けをしないこの夏だ twitterで ....
この窓から
杉の梢の 老いた枝が何本も
風で揺れているのを見た
生きてるみたいだった いつも

枝の間を透かして
鈍く光る雲と 色あせた青空が
微塵になっていた
昨日がまた昨日みたいだ ....
この手に
白い本を抱えて
まだ見ぬ夜明けを
待っている

今は さよなら
いつか必ず 君の事を
確かな形にして
受け止めるから

待っていて欲しい

あの夜から
随分と遠 ....
朝陽は陰々と降りかかる、その日の人々の通勤に結論を下すため。人々が夢から生まれ、途端にすべやかな仮面とともに成人するのを見届けるため。電車は巨大な獣のように息を荒げて疾駆する、人々を腹の中に収めてはま .... 先日 ひょんなことから ひさしぶりに無人島に行くこととなった。
それは何年のか前に二度ほど 山里に暮らしている子供たちに海で自給自足体験をさせてあげようという企画に参加したことがあり、そのご縁で ふ ....
堕天使の様に 煌めいている星達
悪魔の誘惑に騙されたイブよ
美しいものは 見たい 触りたい 食べたい

唇のラインが 幼い鼻先が 繊細過ぎる白い指が
きっと 夜空のイメージと同じはず
 
 ....
 金井雄二の詩集『朝起きてぼくは』を読むととても安心する。なぜならそこには見慣れた「生活」の光景があるからだ。金井は特に気張って「詩」を書こうとしない。「詩」よりも「生活」を重んじるのが彼の立場だ。だ .... 猫背になって
かなしんでいる間にも
朝顔はぽっかり藍色に咲いていた
ああ
にんげんやめちゃいたいよ
胸に
おそろしいほどすきとおった何かが
じぐざぐ刺さって
なみだがぼろぼろ落ちるけど ....
本当に美しいものは

言葉には表せない



それらを再現できるのは

読み手の魔法なのだ
次世代のために
誰かがしなければならないから
そうやって
きずだらけのわたしを見ないふり
すんなよ

わたし、うまれなくてよかったんだよ
わたしのおかあさんおとうさん
だれかのおかあさ ....
まどろみのなか
昭和の夏を漂っていた
モノクロの日差しを浴び
切り取られたジブリ映画の中を
由美かおるが微笑んでいる
蝉しぐれが騒がしく
少年のランニングシャツの白がまぶしい

海で泳 ....
夏の夜に浮かび上がる
さそり座の心臓、火星
とうたっても
こちらの夜は星座もろくにみえやしなくて

夜空は地上に住む人の心を写す鏡だというなら
みやこのこころはどれほど滅んでいるのかしら
 ....
おかあさん、あなたのいない夏がまた来たよ
そうしていま選挙の時期です
口癖のように歌のように
あなたはいつも
社会貢献できてわたしの人生は幸せよ。
そう、甘ったるく高い声で
誰にも有無を言 ....
あなたなに色の朝顔がすき?
わたし断然あお、とっても単純だよと笑い
あなた色盲だから分からないと苛立って

Red : 153
Green : 204
Blue : 255

仕事の ....
気休めな水に放てば金魚らはひと夏きりの命を泳ぐ

六月に不似合いなほど晴れていて昨日の雨がわたしを映す

透明な花瓶の中で紫陽花の茎の模様が屈折してる

雨か汗滴り落ちて黒く染み黒いTシャ ....
あなたの小指に糸を巻きつけました
赤い色をした糸を
風にふるえて揺れている
その糸の先にわたしの小指


(ねえ きれいでしょう この世界は
 心でしか見えないものがある)


ど ....
ハーネスを付けた老犬が
散歩している
ヨタヨタと…

仔犬の頃から
遊びあった犬
散歩中に私を見つけると
尻尾を回し飛びついてきたのだが

「マリリン」呼んでみる
近寄ってこない
 ....
平熱の日々には
ひとの軸が熟していく
高熱のうめきも低熱の苦しみも
何もないので表面はなだらかであるが
ひとの上へと落ちてきたものは
どこまでも着実に収蔵され
ひとを通過する静かな ....
喉を失くした
もう言葉で潤えない
どんな綺麗で優しい言葉でも
空腹を満たすことは出来なくなった

おいでよ
もう誰も信じなくていい
どこからともなく聴こえてくる
もうひとりのわ ....
綿菓子器の真ん中で
砂糖がはじける甘い匂いを
思い出していた

縁日の夜
神社の鳥居の影が作る深い闇は
永遠に私の心の中

御神木の向こうに
ぽっかりと浮かぶ
白い狐面

 ....
   さえずりは無制限に落下して
 漲る心臓
内側からほどけ展開する
うすべに浮遊都市
生贄のメリーゴーランド
空を蕩かす視線を
 火の羽衣に包み
牡丹 
  ゆるりと爆ぜ
     ....
雫が膨らんで
水の花を咲かせた
春というあいまいなかたまりが
名前を速やかに消し去った
ためらう太陽の灼熱に
逆らっていく風の翼が折れて
時間は無限に挫折を繰り返す
英雄の墓が芽を吹き
 ....
白い駅のベンチに
坐っていると
うつろな心臓を
ひとつの喪が
列車のように通過してゆく

それとは関わりのない
やわらかな事象として
少し離れたところに
色とりどりのチュ ....
 朝はどんな時刻にでも既に始まっている。早朝でも真昼でも真夜中でも、すべての時刻に内包される原時刻として朝は既に始まっている。朝は一日が運動するにあたって、その駆動の弾性を持つ時刻としていつで .... 百均で買ってきた
ミニチュアの黒いうさぎは
手のひらに載せて
選りすぐろうにも
どれもみな
哀しくなるほど同じ顔
同じ姿勢同じ表情
どうしてこんなに正確に
大量生産できるのか
まるで ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
わたしたちは小さな生き物です
(小さな生き物)
どの程度かというと
気にさわるほどの

空き缶の下 おっと
踏まないように ちょっと
たたらを踏む 
あなたのつま先にさしさわるほどの
 ....
白島真さんのおすすめリスト(1348)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
本当に優しい人から傷ついて暮れる世界を憂う満月- 颯太@短歌3*16-9-2
夏のスケッチ- そらの珊 ...自由詩15*16-9-1
お前には分からぬだろと自慢げに網戸の蟋蟀情事を唄う- 颯太@短歌3*16-8-25
こわいって呼んだこととか- 初谷むい短歌516-8-23
この窓から- オイタル自由詩316-8-21
夢の始まり- 葉月 祐自由詩2*16-8-16
三十歳- 葉leaf自由詩416-8-5
辺境の地の精霊たち- るるりら散文(批評 ...5*16-8-4
夜空のイメージ- 星丘涙自由詩4*16-8-2
金井雄二詩集『朝起きてぼくは』について- 葉leaf散文(批評 ...316-7-31
にんげんの色- 田中修子自由詩3*16-7-24
文字- ガト自由詩6*16-7-21
なつのうた- 田中修子自由詩3*16-7-18
昭和の夏- 星丘涙自由詩6*16-7-11
桃たべる朝- 田中修子自由詩3*16-7-6
がいこつつづり- 田中修子自由詩15+*16-7-2
朝顔の青色- 田中修子自由詩2+*16-6-26
青いプールの昨日のさざ波- そらの珊 ...短歌11*16-6-24
赤い糸を君に- 石瀬琳々自由詩8*16-6-24
犬眠る、そして_ー歳を取るとはこういうことか23- イナエ自由詩14*16-6-23
平熱- 葉leaf自由詩816-6-21
渇き- 乱太郎自由詩13*16-6-13
篝火- ガト自由詩7*16-6-10
夢と現の境で瑞々しく花首垂れる者あり- ただのみ ...自由詩8*16-5-21
Spring_Song- 葉leaf自由詩516-5-3
春の駅- 塔野夏子自由詩6*16-5-1
朝の詩学- 葉leaf散文(批評 ...216-4-11
ベンジャミンバニー- Lucy自由詩21*16-3-26
休園日- 自由詩37*16-3-23
わたしたちは小さな- オイタル自由詩13*16-3-21

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