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田舎の
海辺の町は

夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる

古びた町並みは
時代に忘れ去られ

潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む

人も少ない真っ青 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った

すごく落ち着くんだって
わかる気がした

猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜

長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
大して明るくもない街灯が

スポットライトのように
道行く人の影を描く

おまえたちは
わたしからは丸見えだ

夜の道

わたしの道

四ツ辻から見渡す一本道には
ひと筋の闇 ....
在るべきものは
在るがままに

移ろうものは
流れるままに

人がひとり
岸辺で時を掬っても

何も変わらないことを知った
 
たとえその胸に
抱えきれない想いがあったとて 
 ....
現実から

逃げて

放置ばかりしているから

どうしようもないところで

現実につかまる

子供のころ遊んだ影鬼のよう

私が私の

影を踏む
実家に帰ろう
犬に触りたい

温かい毛並みに顔をうずめて
額をくっつけて
体をくしゃくしゃにかき撫でて

私のために尻尾を振ってくれる無邪気な魂に

何度も「ただいま」って言おう ....
空を黄土色に染めたと思ったら
一度だけ雷鳴を響かせて
通り過ぎた冬の雨

なんて足の速い雷神様だと感心しながら
窓を開けてベランダに出てみる

後姿を見ようと身を乗り出したら
忘れ衣の ....
電車の中で

懐かしい訛りが聞こえる


聞き間違えることのないその方言は

故郷の海の匂いがした
あたりが金色になって
まだ日が沈む前

ベランダから街を見下ろすと
視界が黄色くはじけて
色褪せた古い写真みたいに見える

どんなに時代が移り変わっても
この色だけは変わらないから
 ....
むかし
凍えて死にかけた野良猫を
お風呂で温めて助けた

その猫はそれから
私がお風呂に入ると
いつもお風呂場にやってきた

洗面器にお湯を入れてやると
自分からお湯に浸かり
静か ....
今ここにいる自分が
よくわからない

どんないきさつで
どんな運命でここに?

記憶をなくしたわけではない
生き迷ってるわけでもない

ただ

薄ら寒い
沈みかけた西日で見るこ ....
最後に故郷に帰った日

灯台に座って
風に舞うとんびを
いつまでも見ていた

神様の木のてっぺんに
命を抱えるとんびたちは

巣に近づくと魔法の笛を吹く

目が回るほど
螺旋に ....
本当に美しいものは

言葉には表せない



それらを再現できるのは

読み手の魔法なのだ
綿菓子器の真ん中で
砂糖がはじける甘い匂いを
思い出していた

縁日の夜
神社の鳥居の影が作る深い闇は
永遠に私の心の中

御神木の向こうに
ぽっかりと浮かぶ
白い狐面

 ....
白島真さんのガトさんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
麦わら帽子- ガト自由詩19*17-8-7
花火- ガト自由詩10*17-7-26
猫の目- ガト自由詩5*17-1-26
砂鳥- ガト自由詩4*17-1-19
影鬼- ガト自由詩6*17-1-19
Escape_Artists- ガト自由詩6*16-12-24
通り雨- ガト自由詩11*16-12-9
最終電車- ガト自由詩10*16-11-27
Chevrolet- ガト自由詩5*16-11-22
湯治- ガト自由詩13*16-11-11
人形劇- ガト自由詩4*16-10-15
時の場所- ガト自由詩6*16-9-13
文字- ガト自由詩6*16-7-21
篝火- ガト自由詩7*16-6-10

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