二〇一五年八月一日 「恋」


 恋については、それが間抜けな誤解から生じたものでも、「うつくしい誤解からはじまったのだ。」と言うべきである。


二〇一五年八月二日 「ディーズ・アイズ。 ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る

列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく

だがひとえに言ってしまえ ....
また怒られてしまった
しかし、忘れてしまおう
いや、忘れられるものか

悟りを開かないと出世できんのだ
出世できんと生活出来ねぇんだわ

ぼくはさんざん血を吐いておりまする
でも、解脱 ....
立ち寄った風に
何処に行くのか尋ねた

風はそれには答えず
貴方は何処に行くのか尋ねた

何処にも行かないよ
と私は口ごもった

全くの戯言だと
中途で気付いたからだ

風は別 ....
二〇一五年七月一日 「I made it。」



かるい
ステップで
歩こう


かるい
ステップで
歩くんだ

もう参考書なんか
いらない

問題集も
捨てて ....
……おいで……、……オイデ……たたたたたっ、
    ざ……オイデ、……おいで……、

だれ、

そうして目を、覚ました、厭わしい、あんなにハラリと逝くことができたのに。

よく仲間とし ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」


 以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
昼も夜もない屋敷に独りの老人が住んでいる。
彼は日めくりカレンダーと唯一の会話をする。
愛くるしい動物や癒しの風景が語りかけてくる。
そんな彼が穏やかに息絶えていた。
今日見つかった時はもう腐 ....
二〇一五年五月一日 「HとI」


 アルファベットの順番に感心する。Hの横にIがあるのだ。90度回転させただけじゃないか。エッチの横に愛があるとも読める。もちろん、Iの横にHがあるとも、愛の横 ....
二〇一五年四月一日 「少年はハーモニカの音が好きだと言った。」

 これは、『ゲイ・ポエムズ』に収録した『陽の埋葬』の一つに書いた少年の言葉だった。ぼくがまだ20代だったころの話だ。なんで思い出し ....
{引用=散策思索}
イモリの仔の孵る日差しを思いながら
心当たりのない手首の痛みを弄ぶ
晴れた寒い昼下がり
氷結した河口の端を恐る恐る渡って行く
至る所に鳥や狐の足跡
人のはひとつだけ
 ....
青い青い夕暮れ、イチョウの葉が金の鳥となり羽ばたいてゆき
「おつきさま こんばんは」と絵本の言葉で
三日月指さす この子の目はきらきらしている
月のおそばにいる あかるい星は
燭とり童というん ....
昨日から
降ってはときおり止んで
降り続くから
朝か夕か分からなくなる
冬の雨は
うすぼんやり温かい
雪になりそこねた雨に
ずっと昔にも出会ったことがある

時間のあわいのような色の ....
きるからころから
 きるからころころ

キラキラした音が耳の夜に
温かい雨のように
降りしきってくるのを幾らでも 溢れるまで
宝石箱にしまおう

こぎん糸を 祖母とほどいて巻きなおした ....
二〇一五年二月一日 「樵」

 30年ほどむかし、毎週土曜の深夜に、京大関係の勉強会かな、京大の寮をカフェにしていて、関西のゲイやレズビアンの文学者や芸術家が集まって、楽しく時間を過ごしていたこと ....
{引用=愛憎喜劇}
遮二無二愛そうと
血の一滴まで搾り出し
甲斐もなく 疲れ果て
熱愛と憎悪
振子は大きく揺れ始める

愛も親切も笊で受け
悪びれることのない者
理解できずに困惑する ....
二〇一五年一月一日 「初夢はどっち?」


 ようやく解放された。わかい、ふつう体型の霊が、ぼくの横にいたのだ。おもしろいから、ぼくのチンポコさわって、というと、ほんとにさわってきたので、びっく ....
二〇一四年十三月一日 「宝塚」 


18、9のとき
ひとりで見に行ってた
目のグリーンの子供と母親
外国人だった
子供は12、3歳かな
きれいな髪の男の子だった
母親は栗色の髪の毛 ....
{引用=予想図}
わたしの人生の尺に
息子の人生の尺はまだ収まっている
わたしの息子への関心は非常に大きく
息子のわたしへの関心はそれほどでもない
{ルビ直=じき}に息子の人生はわたしの尺か ....
安心して
砂糖は入っていないから、と鳩がささやく

なのに甘いのはどうしてなんだろう
さがしてみたって見つかりっこない
にごった沼
シュガーレス
脳内で変換された甘さ
日々何かに誰かに ....
おだやかすぎる静止画
雲さえ止まってる
コンビニまでならんで歩く
とうに背を越していった娘の中に
小さな娘が見え隠れする
つかまらない鬼ごっこ

今日の空から降ってくる光は
束になって ....
二〇一四年十二月一日 「イエス・キリストの磔刑」

 イエス・キリストが磔にされるために、四条河原町の交番所のところを、自分が磔にされる十字架を背負いながら歩かせられていた。それほど多くの民衆が見 ....
{引用=冬の朝顔}
白い背表紙の本を開くと朝顔の種が落ちて来た
種は発芽して瞬く間にわたしの妄想に絡みつき
ひとりの女の形を編み上げると濃淡を宿す紫や白
水色やピンクの花を幾つも付けたのだ
 ....
やっとたどりついた水死体が
黄緑の棘のある 白薔薇のいばらのしたに
寝っ転がっていて 飛び出た澄んだ眼玉で
悪咳が流行ってから澄みゆく空を
わらうように泣くように眺めている
しずかに
夜明 ....
ね、みんなは、恐竜だったころをおぼえている?

むかし博物館に家族全員を、父がつれて行ってくれた。幸せな会話で窒息しそうな電車、はやく終わらないかな。
父はティラノサウルスが好き。わたしはトリケ ....
二〇一四年十一月一日 「She’s Gone。」

風水って、よう考えてあるえ。
そなの?
東西南北すべてに地上があって宇宙があるのよ。
東に赤いもんを置くのは、あれは、お日さんがあが ....
風に振り回され
壁にぶち当たり
人に踏まれ続け
雨にびしょ濡れ

僕は誰にも読まれない詩

優しいおばさんが
ぐちゃぐちゃの僕を拾うと
めんどくさそうに広げ
外れた鼻眼鏡で
じー ....
二〇一四年十月一日 「ネクラーソフ『だれにロシアは住みよいか』大原恒一訳」

血糖値が高くて
ブタのように太ったぼくは
運動しなきゃならない。
それで
自転車に乗って
遠くのブックオ ....
麻の半袖ワンピースを
さっぱりと洗い
捨てる時を伸ばし伸ばしにしていた
サンダルに永遠の別れを一方的に告げる

風鈴は日曜日の新聞紙でくるみ
青いペディキュアを消す

扇風機の薄い羽根 ....
もがいて水面から顔を出す
ように息をするかろうじて
ポジティブ思考
が大事です
足首に錘
つけられても
まだ笑えます
夢も見れます
今日一日を楽しみに
起き上がります
階段をおりて ....
白島真さんのおすすめリスト(1354)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
詩の日めくり_二〇一五年八月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-2-27
海のパース- 新染因循自由詩16*21-2-25
出世したい来世- 入間しゅ ...自由詩1021-2-23
風に尋ねて- 宣井龍人自由詩10*21-2-23
詩の日めくり_二〇一五年七月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩16*21-2-20
春の会話- 田中修子自由詩14*21-2-16
詩の日めくり_二〇一五年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩17+*21-2-13
死めくり- 宣井龍人自由詩9*21-2-9
詩の日めくり_二〇一五年五月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩16*21-2-7
詩の日めくり_二〇一五年四月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩17*21-1-31
美しいヘマのしでかし方- ただのみ ...自由詩5*21-1-30
夜、夜- 田中修子自由詩721-1-27
あわい- そらの珊 ...自由詩9*21-1-23
星を縫うひと- 田中修子自由詩1121-1-22
詩の日めくり_二〇一五年二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-1-17
サイレントチンドン- ただのみ ...自由詩8*21-1-16
詩の日めくり_二〇一五年一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-1-11
詩の日めくり_二〇一四年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩11*21-1-3
哀愁の強行軍- ただのみ ...自由詩7*21-1-3
シュガーレスの沼- そらの珊 ...自由詩420-12-30
冬の散歩道- そらの珊 ...自由詩720-12-29
詩の日めくり_二〇一四年十二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*20-12-27
冬の花びら時の河面- ただのみ ...自由詩4*20-12-27
ちっぽけ- 田中修子自由詩9*20-12-27
卵化石- 田中修子散文(批評 ...15+*20-12-25
詩の日めくり_二〇一四年十一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩10*20-12-9
紙屑- 宣井龍人自由詩14*20-12-8
詩の日めくり_二〇一四年十月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩11*20-12-5
夏をしまえば- そらの珊 ...自由詩10*20-11-26
発信- Lucy自由詩11*20-11-25

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