こうもり
羊飼いの夜をたべ
眠たい指をぬすむ
みたいにして

重たい 重たい
朝が
木香薔薇の花びらより
散り散り鳴っていく

まどろみ
落ちゆく空の白い際
いまも街では恋 ....
そうして春が去ったところへ猫が這入ってきて、
ごろなんと寝転んだ。
僕は寒いねと言い、
君は四十五度斜めと言った。
赤い新聞紙?と僕が尋ね、
そうそう、くじらのボールペンと君が答えた。
 ....
季節はつぎつぎ仕舞われて
ま新しいシャツの朝、とびはねた分だけ沈む靴

いつ吹雪がきてもいいように準備しておくんだよ。
たんぽぽを乾かして瓶詰めにして
転んでも泣かないように、いつもすこ ....
どこかが開いている
この部屋には
窓がないのに

寝息が 夜をみたし
空の端をそめていく
昏さは
甘えようとすると裏返る

すきだとおもった指あとも
いまいましく沈んで

 ....
晴れているから、影も濃い。
くっきりとまるく落ちる提灯の影を踏みながら弾んでいくわたしのむすめ。
引越して転園さきがきまるまで、わたしも仕事を休むことにしたので、さながらこれは春休み。自転車に ....
わたしたちは 東京で べつに
憂いもなく であって
金を稼いだり 体をすりへらして
もちよったり
平成を 聞き飽きたり しなかったし
あらゆるぜんぶ それがあたりまえって思ってたし
べ ....
音のないテレビが
空間を蝕んでいる 明けがた
熱は引くどころか

からすたちがつくる
今日の切り取り線を
はやく裂かなきゃ
でも なぜだろう もう
からださえ ここにはないのだ
 ....
とおーい 声がするのを、するのを見ている。蛇腹にたたんだ気持のなかで子どもが泣いている。あかるい窓べ、海べ、岸辺。
心に彼岸はないから、いつまでも分かり合えない。猫たち性懲りもなく恋する。
 ....
アネモネがばあっと咲いてる道があったんだよな。四月で風もつよくて、ひざしがばからしく春めいて。花のこと知れば知るほどかなしくなるような気がする。物事って、知れば知るほど仕方なくなる。めりめり泥に飲 .... 箱がたくさんある。
現実にも想像上にも、自分のものも、むすめのものも夫のものも。怠惰な感じのする春の日差しの真中にわたしのそれを置いて、みる。日差しは多くの物事を明らかにする(もし私達がそれを望 ....
来たので、
わたしは
行きます

黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして
来たので

窮屈な靴ばかり履いていた
厚ぼったい肌をしてがたがたふるえて ....
節度のある幸福
なんか
いらないんだわ
除菌スプレーくさい
おんなたちのなわばり

ドーナツの行列にも
校庭の整列にもつながれなくて
ゆく先の石をいちいち数えてた

それでも熊 ....
春ちかい穴ぐらで
かなしみを咀嚼せよ
虎たちの夢は光り
鳥は飛ぶ
羽根がなくても
金色の朝
私たちは思い違いをしている
実在、スープの値段、猫の恋、明後日の天気など
あらゆる角度に突き立てた仮説がもはや球になって

設計され、建設され、実用され、朽ちてゆき、修繕され、 ....
思い出は過去でべたべたして
ひらかなくなってしまった

ドーナツ、夜あけ、オリオン座
がたがたする椅子にすわって冬をあじわった
なん年かで一周するヒットチャートみたいに
おわり続けるも ....
これからあと
いったいいくつの箱を開ければよいのか
ぐったり濡れた僕に箱は届く
僕は開ける
そしてまた箱がある
僕は開ける
また箱がある
僕は開ける
箱がある
僕は開ける
 ....
金魚がうちにきたとき、はやく死なないかなとおもった。
かならず金魚は死ぬので(わたしよりはやく、それはほとんど確かに訪れる)、早いほうが良いようにおもえたし、単純に生きてるものが、夫と娘と自分以 ....
夕暮の美しい街に居て
かるい目まいと茫洋

健やかに汚れた指
埃くさい夢
磨かれて 傷だらけの

幸福は紙の羽
完璧に白く優しくて
風が吹くほど良く燃える
うそをついたり
ひとを泣かせたりして
パンくずを集めている
刺さりそうに白い
陽だまりをよけながら
ぼくの愛がはしってくる
うけとめよう
とすると
パンくずはみんな舞い
いく ....
黄色い布張りの表紙のノートは母が買ってくれたもので、すらすら嘘を書くのにつかった。
三週間連続で書きこんだり、7ヶ月間開きもしなかったりしながらで13年経ったのだ。時間と手垢で沈んだ黄色。
ず ....
テディベア、ものさし、あおいゆうぐれ。
汗ばんだひたいのあまいにおい、
いいにおい。
ひあたりのリビングにひろがったあかるい色色、
層になってひろがっていく現実との接地。

浮かびそう ....
どっしりしたコート、赤いくちべに、空いてる電車、缶コーヒー。
師走、指をひらいて夜をあるく。ほとんどこわくないよって顔をして(あるいはほとんどなんにも知らないよって顔)。種、草、蔓、実、届く(届 ....
きみの眼が 夕映えて
あかく 冷えていく
ぼくは
せつない気持を刈り取って束ねながら
近づいてくる 死の
穏やかさを
度々 おもう
日々の傾き
わたしたちは
あかくなる木々にもおびえて
言葉のすき間に
場所をもとめた

磨りがらすのように
ざらついた気持で
いっさい誰のものにもならない
なにひとつ手にもたない ....
おはようと さよならと
犬の鳴きごえ 耳の色
右手のかたち 指のおと

この世界を忘れるために
規則ただしく生活をして
この世界を忘れるために
夢中で愛や夢をして
おはようと さよ ....
回転灯 知らない街の知らない手
あなたの肩の今日が溶けてく

空白の手前で気付かないように
ちゃんと落ちられますようにね
輪郭のない夜がわたしたちを丸ごと置き去り
白紙のうえで迎える今日
枕に触れ 頬に触れ 壁紙に触れ プラスチックに触れ
でもこの世界に触れることができない

淋しさがわたしの中にあるのか
 ....
冬がきて、わたしはむすめに、ハムの切り方や三つあみの仕方を教えるのだ。花や色の名前、鍵盤のおさえ方も。こまかいビーズや紐のきれはしで満ちていく部屋。冬はきて、みんな老いる。ほんとうに世界は存在しな .... 朝だ 頬に
柔らかい寝息がおちる
木々の揺らぎ
僕たちの日々も老いていく

なめらかに熱い 夜を仕舞い
看板を出すように服をきて
ざらざらと 今日が膨らみはじめる

ビルに 街に ....
陽の位置がかわって
もも色がなくなってしまいました

テレビは言ってる

そんなの時代おくれだよって

時代?
スカーフの柄とか、べんぴがちのオーエルとか
ずぶずぶのくつ下とか ....
はるな(1799)
タイトル カテゴリ Point 日付
こうもり自由詩319/5/6 2:22
猫飼い自由詩219/5/4 23:10
たんぽぽ自由詩1219/4/18 9:15
自由詩519/4/8 0:40
生活のこと[group]散文(批評 ...519/4/4 11:37
トーキョー(ヘーセー)自由詩119/3/30 21:46
音のないテレビ自由詩319/3/23 4:58
春のこと自由詩619/3/21 16:04
アネモネ散文(批評 ...219/3/17 19:32
箱のこと[group]散文(批評 ...519/3/14 20:05
来たので自由詩619/3/12 21:36
行列自由詩519/2/26 23:31
下方向への上昇②自由詩319/2/18 23:50
金色の朝自由詩319/2/9 21:47
ドーナツ、夜あけ、オリオン座自由詩119/2/2 23:05
箱を開ける自由詩219/1/30 1:34
メモ散文(批評 ...319/1/29 18:48
紙の羽自由詩419/1/22 4:07
パンくず自由詩319/1/19 1:40
500日散文(批評 ...419/1/16 19:53
接地自由詩219/1/14 11:41
メモ散文(批評 ...318/12/29 17:30
ゆうばえ自由詩318/12/25 16:37
磨りがらす自由詩318/12/22 20:03
右手の、自由詩418/12/21 22:56
回転灯[group]短歌018/12/16 6:16
輪郭自由詩518/12/9 7:35
ただなか散文(批評 ...218/12/7 9:53
ざらざら自由詩318/12/1 8:57
もも色自由詩018/11/27 16:09

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