大人になったら
幸せが飛んでくると思っていた
けれど
幸せの羽は飛び去るためにも存在する
大人って
幸せにちゃんとさよなら、できる人
世界中の男女とセックスフレンドになりたい
だけど今すぐひとりぼっちになりたい
たぶんどこかがぶっ壊れているのでしょう
たくさんのひとに迷惑かけてきました
たくさんのひとをこれからも裏切るで ....
人の気持ちになんか
なれるわけないじゃん
なのに
雨がふると反省の気分になる
浄化されそうです
うちがわのドロドロなんて
ほおっておいてと
いいたいけど 少し心地よかったり
....
ふたりで街を冷やかしながら歩いていた
幸福というものがあるのなら
そんな時間や音や風のなかにあるようだった
ちいさなものからおおきな景色まで
ふたりに冷やかされるものは無限のようだった
それ ....
あたりまえのように朝があった
朝という名前
朝でひとくくりにしてしまうと
それは陳腐だ
愛とひとくくりにしてしまうと
解釈だらけだ
地方都市の朝にさえ貴女を思う
微熱
腹痛
結婚
....
今迄の僕は
サラダにドレッシングを
どばっとかけては
じゅるじゅる汁を吸いながら
緑の葉っぱを{ルビ咀嚼=そしゃく}していた
ある日、寄ったレストランで
出てきたサラダの器 ....
晴れた日はなるべく外に出るようにしている
昨日は心地よい快晴だったので
ベビーカーをことこと押して散歩に出かけた
布団を干してから、
何も変わらなかった
同じ道を同じように歩き
公 ....
ヨタヨタ ドッコイ フーラフラ
ノタノタ ドッコイ フーラフラ
トボトボ ドッコイ フーラフラ
見慣れて 歩き厭きた プロムナードで
でまかせの呪文を 呟きながら
(えび煎餅が焼かれるよ ....
書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった
書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした
書こ ....
舌なめずりする男のもとに
女が契約書を届けにゆく
女の望みがいくつか叶えられ
男はその女を所有する
凌辱する
思い知らせる
ストックホルムシンドロームにより
....
雨は校庭にアマゾン川をつくる
午後の授業は眠たい
窓越しに校庭を見下ろす
あれはきっとアフリカ大陸
あれはきっとオーストラリア
あの川にはピラニアが泳いでいる
友達がいないから
わざ ....
死後の地獄は知らないけれど
生き地獄なら知っている
そんな無力や痛みなど
誰もが経験するだろう
それでもここは辛いのだ
残酷かつ心細さの果てなのだ
一緒に見た広 ....
戦場へ赴く男たちの頬は
どれも蒼褪めて
眼だけが真っ赤な
獣のようにぎらぎらと燃えた
そして一様に
目指しているのだと言う
その先には
膨張しきった黒い太陽があった
女は男の眼 ....
うっかりすると 本人も見逃しそうな 直立だった
それは闇夜のできごとだった
神技(かみわざ)の域
幾重にも 青天の霹靂が重なった年がつづいた
ある新月の晩
カワウソが 岩の上 ....
紅茶だったり
緑茶だったり
ウーロン茶だったり
君と飲みたいものは
その時々で違って
正解があるのかすらわからないけど
丁寧に淹れる
きっと
その行為がすきなんだと
こんな夜 ....
熱い琥珀色の紅茶に角砂糖を溶かしましょう。睡眠薬がわりに疲れたミルクが、銀の容器のなかで一休みしていますから。
街は人のことなどまるでお構いなしですね。くつろぎの傍らを、電車が疾過していきます。カラ ....
ありがとうございます
すいません、じじいなもんで、見えねえや
喫茶店で
七十前後の男が小銭を落とし、
床に数枚転がった
僕は眼鏡をかけ、
床を見渡して百円玉を一枚見つけ、
男と男 ....
国境線の上に魚が死んでいた
線に沿ってナイフで切ると
両方の国から猫がやって来て
半分ずつ咥えて行った
近くでは国境線を挟んで
男たちがチェスをしている
自分の陣地は真ん中ま ....
時間の流れが早すぎて
いろいろなものを捨ててきた
捨てることが美徳のように
もてはやされているけれど
捨てることが輝くのは
大事なものを持っているから
だと私は思う
分別がつ ....
星星が散っていくように
人も散るもの
散るそれぞれの
方向にまた
凝固しつつある星のような一団が
待っている
流動してゆくことを
かみしめるいとまもない
すみれ色の軌道が
数百万 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
三丁目が壊れてゆく
西から南西にかけて壊れてゆく
止めるすべはない
時代は崩壊に味方している
ツリーはごく近い市井にはみえずに
遠くから客を招くに余念がない
そういえば花火だ
なんと ....
めでたいと言って飲むお酒の肴には、何があうのだろう
悲しみに酔いたい時に飲む酒の、肴は何がいいのだろう
終電車で故郷のお葬式から帰って来た夫が、ネクタイを解きながら
「蕗をちょっと頼むよ」
....
愛なんて要らない
気持ち良ければ
そんなこと言えるのは
愛されているひとだけ
誰からも愛されないって
とっても辛いことよ
そう囁いて
僕の上に乗っかった
ソープ嬢のカリナさん
....
希望を語るその人の瞳は
闇の中でギラリと輝いていた
それはどうあっても消せない光
宇宙を創った
原点の力強さが
今ここに
宿っている
弱さはあるだろう
強さも
哀しみもあるだろう ....
大きくなったら
自分以外の自分になれるとおもっていた
逆さにしたって
ぽろりとおちてくるのは自分だった
裏返しにしてみたのは夢の中で
それでも
やっぱりくるりと自分がこぼれてきた
....
「ママ!ママぁ!」
真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
....
あるページには
私のすきな言葉がかかれてる
ひらけばいつも
それはそこにある
そんな風にあなたの言葉を
ずっとずっとあたためている
私が綴る言葉たちも
そんな栞になってればいいな ....
新しい付箋を買いに出かけた
道すがら
ほろりほろりと
煙が立ち上っていたので
立ち寄った
少年がたくさんの栞を燃やしていたので
一枚もらった
少年は
本を持っていないと ....
スー・チーは全くかしこい
十七歳のおばあちゃんなのに
この冬から
おとがいを同居人の鼻の頭に擦りつけて
痒みを解消する手管を見つけた
たまに唇を舐めてくれるようになったのは
やっと同類と認 ....
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