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とりどりの人がいる
顔、瞳、髪の色はもちろん
おそらくは心の中や
境遇までも
透明の涙が私を取り巻く重いものを流してくれる日もある
透明の涙が
さらに粘度を増して醜いゼリイになって ....
まつげの重さに耐えかねて
そっと伏せてはみるけれど
わたしの瞳は夜をみる
散歩の途中の道端で
みつけたちいさな青い花
....
やまいだれの多い日記に鍵をかける
笑った顔がカブトガニの裏側
紙をこする
チャコールの音が響く部屋
モデルに雇われた猫は
ねむたそうに欠伸をしながら
裸体をテーブルの上に広げている
デイバックから化粧道具をとりだし
バスタオルを巻いた ....
タラップが外れて
四基のエンジンの
高音と共に
涙する風切り羽
揚力のうまれるままに
生活の足場を
芥子粒ほどにちいさく
後ろへと
吹 ....
オイラおっさん猫2003年生まれだからおっさん猫
同年にあかねちゃんに拾われたから毛食住セレブ猫
時が流れておっさん猫 でもかわいい健在の猫パン チ
最近は赤ちゃんがオイラを ....
ぐるり50センチほどの脳裏にある
あの日の、その場所に
もう行くことができない
がらんと口を開けた
灰色の校舎の入り口に立ちすくみ
背中からは夏の午後の日差しが
人の形 ....
起きた時喪失を感じる。夢を遡り昨日を遡り、どんどん過去へと逃げていく私の心の半分。私は朝起きるたび心が半分になる。そして、過去へと遡って行った心は決して帰ってこず、その代わり消え去った思い ....
ゆきをふみしめ
しずけさが
のぼってくる
あおくひかる
あしあとをのこして
あのときが
あるいてくる
天につづくみちのかなたに ひとり
果てのみずうみに ひとり
まんまる ....
ひとり双六で『1回休み』のマスにとまる
風が強く吹いているのは
誰かに何かを届ける為
風が届ける物とは…
そういえばクリスマスの時も
風が強く吹いていた
その時は風から風邪を
届けられた
そして今日も
流行が一周するまで着続けている
『お母さん、最初から一緒に寝てほしいの』
『あのね、お母さんは忙しいの。
後で行くから、最初は一人で寝ないとね』
今夜も娘は
テディベアを抱きしめて寝ている
その規則正しい寝息を確認し ....
己の罪の数だけ
要らぬ蕾をつけるがために
言葉と孤独を闇に吐きつつ
切ない光合成を繰り広げる
届かぬ時空に
半端な想いを投げ上げて
何もつかみ取れない握力を
夜毎くどくどしく恨み ....
私の可愛いがって居るねずみに
とても不思議な雌が居る
色が変わるのだ
本当だ
変化は徐々だが
気がつくと
「たぬぽん」と呼んでいたが
別の色
ううむ
私が狂ったのだろ ....
やかんに水を入れて火をかける
ぽつぽつとやかんが
今日あったことを
私のかわりに
喋り出す
こぽこぽと
良いことも悪いことも
とりあえず言葉にすることで
ふうっとため息
すうっと深呼 ....
あさのこない宇宙
地下鉄の風
とおくまで行くには
すこし遅かったみたい
ひからびたえんぴつで
描けることば
ほんとうのことだけを
きみに渡す
この不安も明日には
なくなっ ....
*与ひょう(仮)
あなたのいのちの陰影を
はきだめから拾い集めた
{ルビ文字=もんじ}の墨と二枚の舌で
なぞりたいのです
顏の砕けたおつうさん
どうか一編の愚行と
淡雪のよう ....
赤銅色の振り子の
陰にかくれ 笹船をほどいた
幼い女児の はにかんだかなしみ
そのときも わたしはうずくまっていた
わたしは なにかをかぞえていた
夕焼けのう ....
君だけ流星を見て大人になってしまった
囲まれて
絆(ほだ)されて
抱きしめる
おいで おいで
その言葉を 信じたら
ごま塩頭の あの人が
ニヤリ 笑った
何も 悪いことなんて してないよ
怖いことなんて ....
あの日の空は青かった
夏が終わろうとするほんの手前
夕暮れ迫る束の間の時刻
受話器の声が世界の音を奪い去る
....
大王の庭の千年実のカカオを使って、美ら海の風薫るサトウキビの黒糖を溶かして、天使の涙を一雫。ペンギンが滑り台した氷山から作ったパウダーシュガーをかけたマウント・ショコラ
(大口を開けて
歯を ....
試着室で寝ていた
あそこに星が、と
きみのさししめす指があわれで
ぼくはこころで百万粒ほども涙をながす
なにもかもまっしろなこの部屋で
きみはそうしてはるかかなたを眺めているのか
生き ....
わたくしという ひとつの石のなかを
いくつもの 星や雲が
とおりすぎていきますので
それを毎朝 ながめているだけで
胸がいっぱいになってしまうんです
ラピスラズリを砕いて ....
艶消しブラウンで
厚塗られた感情が
仕切られた容器に
整然と並んでいる
精製砂糖の甘味類
お行儀の良い愛は
ガラスの香水瓶と
純白のミニブーケ
に迎えられ微笑む
誰かと同 ....
泳げない魚だじっとしている
ここから先は立ち入り禁止
ガードもなくエリアラインがなくても
分かっているさ そんなことは
向こうのエリアの熟れたリンゴが
極彩色の芳香を漂わせてくる
閉ざされた花園には
咲き乱れる虹 ....
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