僕はとほうにくれている
手術のまえの十分間

いっぷん

         手を洗う    
             にふん
                足を洗う
        ....
透き通るアルコール
血脈を流れる躍動に
音にならない声は空を切る
ある日、真昼に映った少女
ラジオが空を飛んでいった

気違い染みた水族館に浮かんで消える
プランクトンやら光の粒子やら
 ....
一。

僕はにはかない重さなど無い
そう思うから
語りつくされることも
例えば僕が空に消えても
君は行方を見失ってしまう事も無いだろう
過去にいく事も未来に行く事も
記憶に残る事も忘れ ....
鋭利な湖面をすべってゆく
一艘の小舟
私は黒布で目隠しされたまま
なすすべもなく横たわっている
風 感じるのはすべて風
重い水をかきわけて
舟はゆるやかに進む


盲目の私の世界に響 ....
捨て猫に飼われている


私は 捨て猫に飼われている

飼われているから『捨て人』ではない

飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
洒落たカフェを借り切って開かれた
長い付き合いになる友人の結婚披露宴の席で
禁酒中のチナスキーは溜め息をついている
生ハムをかじっては水を飲む

祝辞を読んだ
新郎との付き合いの年数を数え ....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
 
蝉の鳴かない朝でした
胸の端からほどけてゆくひかり
できたばかりの海は睫毛に乗る軽さ
静かに浮かぶ顔に人知れず声を燃やす

髪を結んで横たわる
約束、と呟いて水より生まれし数字を ....
きみが眠っている間に、
きみをゆるめる。
きみは包帯に巻かれていて、
包帯はとてもきつく巻かれていて、
ぼくはいつもゆるめたくなる。
自分がきらいで、
自分 ....
ひとつひとつは とても小さな
出会いだったり さよならだったり
やさしかったり 冷たかったり
忘れていく 揺らいでいく

確かめるすべもなく
流れていく 壊れていく
それがとてもゆるやか ....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く


九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
いくつもの僕のうたのなかに
僕がいる

けれどそれはもう
いまの僕じゃない

僕のたましいは
僕のうたを
うらぎりつづける

そう
僕はいきているのだ






 ....
わたしは
とらえたものを
ひとつ ひとつ
千切って 割いて

溜め息の風に
流します


永遠は
はかないもので
だけれども
信じずにはいられない


だからわたしは
 ....
たっぷりとあふれんばかりに
湛えて
零さないように歩くアナタの
《ブンサイ》がウラヤマシクて
一滴の飛沫さえと
舌をのばしてもとどかず
しかたがないので
自らもとめようと
行間のふちに ....
昔はよく強風でガタガタ音を立てていた窓
今はすっかり静かに落ち着いてしまった窓
家の所々の窓は割れているものもある
新しいものと取り替える必要はない
割れた場所から外の空気が入ってくる
それ ....
薄紙は
とても破れやすいから
私はいつでも
言いなりになる

ことばの数だけ
肌を重ねて

ほんとうの恋は
最初だけだと
いつのまに
私は気付く

あとは
薄くなぞるだけ
 ....
私たち 午後には散文を開いてエレクトロニカにする どうしても、というなら黒人霊歌でもいいわ だけど、こうして眼を閉じるわね 表通りのニレの木に(嗚呼、もうこんな時間)絹のつやをした鴉が居る 美しい眼を .... ほどよく冷えた桃の
皮が剥けるのも
待ちきれない様子で
傾いでゆくあなたの
日焼けした首筋

滴る果汁か
それとも
戯れの残り香か
甘い匂いが
鼻腔の奥に絡んで
涙させる理由
 ....
老廃物と手をつなぐ
せつないから
死んでるようだ
見たものが
足元で花になり
ピアスでしたね
初めてのプレゼントは
初めてでしたね
はがれていったのも
見送ることは時々
見送ら ....
可愛い
と紡ぐ、その同じ唇で
解剖用のメスを銜える

抱かれて
幸せそうだったビーグルの
断片を少しだけ、見た


突風がまるで嘲笑うように
二年生の白衣の裾を翻して

救 ....
   かそけき風の香音(かのん)を連れて
   秋宵の橋を渡る
   あふれる水の数を
   わたしはしらない


   契る言葉の薄紙
   序(ついで)を忘れた指先で鶴を折る ....
 
 
 
 
 
 
響こうとして、やめた
あの鐘の試行錯誤が
静かに鳴っている
 
レンガ造りの壁/床/屋根
その全てに
すべからく神は宿るのだと
その象徴として
誰か ....
砂まじりの夕焼けが
河口の水面を鏡にして
車のクラクションまでが
赤方偏移すると

空がどこにあるのか
行方を見失ってしまい
だんだん宇宙になるその正体を
冷たく知ることになる

 ....
君との想い出を抱いて 死んでいけることを誇りに思うよ 油蝉の断末魔に
ふりむくと
老婆がひとり
まどろんでいた
石段にひろげられた紙の上に
硬貨をひとつ
投げてやった
老婆は顔を上げると
おれの目を
じっと見つめた

あくる日
老 ....
キ・ン・シャ・シャ・・ドレッ・ド
ゆめのなかの、たんじょうび
キ・ン・シャ・シャ・・ドレッ・ド
ふりかえったときの、いたみ
もう、ぎゃくほうこうに、まげられない
キ・ン・シャ・シャ・・ドレッ ....
俺の周りの空気が
水滴になった時
地獄の響き、天国の夢、姫百合の塔
街灯に
スラムダンクしかけて
警官に
止められました
「夜の道を一人で歩くのは危ないから」
「でも家に帰る時、いつも ....
朝のように 夜のように
当たり前に 僕はいよう

ワビのように サビのように
心に沁みて いたいよう

空のように 風のように
当たり前に 僕はいよう

眠りの中に落ちていく ....
膿んでいることはわかっているから
なるべく開かないように
大事にしまっておくのだけれど
たまに何かの拍子で
飛び出てしまうことがあって
ぐちゃぐちゃ
びちょびちょ
ぐねぐね
赤黒い
 ....
趣味のいいワイングラスに
昨日ためこんだ夜の雫、
上品に傾けても
逃げるように失われていく


アンティークなこの脳の活動には
ねじを巻くのと同じような要領で
こんぺい糖のよう ....
久遠薫子さんのおすすめリスト(229)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
___僕はとほうにくれている- 紅山「そ ...自由詩307-9-15
エタノール・ラジオ・ブレイク- 佐藤清児自由詩2*07-9-15
十の取り残された意識- プル式自由詩5*07-9-15
黒のみずうみ- 石瀬琳々自由詩14*07-9-14
捨て猫に飼われている- 北大路京 ...自由詩14*07-9-14
いいから酔えよ、チナスキー- 楢山孝介自由詩7*07-9-14
螺旋- ワタナベ自由詩2007-9-14
鎌倉- ピクルス自由詩8*07-9-14
「_ゆル。_」- PULL.自由詩14*07-9-13
さよなら遺跡- umineko自由詩6*07-9-13
浜辺のうた、かた- 銀猫自由詩34*07-9-12
僕のうた- 松本 涼自由詩607-9-12
せつなに謳う- みちる自由詩207-9-12
Webからのインスパイア- 渡 ひろ ...自由詩5*07-9-12
日が昇る前の、一日の始まり- 狩心自由詩6*07-9-12
トレース- umineko自由詩10*07-9-12
散文詩- はらだま ...自由詩8*07-9-11
八月のエピローグ- LEO自由詩16*07-9-11
ため息- たもつ自由詩707-9-11
矛盾- 士狼(銀)自由詩8+*07-9-11
せせらぎ- Rin K自由詩24*07-9-11
えうろぱ- 山中 烏 ...自由詩5*07-9-10
ユーリイ・シンドローム- たりぽん ...自由詩11*07-9-10
宣告- 北大路京 ...自由詩9*07-9-10
夏の終わり- 渦巻二三 ...自由詩907-9-10
キ・ン・シャ・シャ・・ドレッ・ド- 狩心自由詩5*07-9-10
誰も居ない、一日の終わりに- 狩心自由詩5*07-9-9
当然- 北大路京 ...自由詩10*07-9-9
- チアーヌ自由詩407-9-9
アンティーク- うわの空 ...自由詩6*07-9-9

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