さよなら遺跡
umineko

ひとつひとつは とても小さな
出会いだったり さよならだったり
やさしかったり 冷たかったり
忘れていく 揺らいでいく

確かめるすべもなく
流れていく 壊れていく
それがとてもゆるやかなので
私は気づかない

こんばんわって ひらりてのひらを
ひるがえす それだって小さなサイン
もう
逢わないようにしようか、って
あなたは
いつ切り出すのだろう

わたしは
ずっと気づいてる
垣根の夕顔が もう咲かなくなった
花たちは冬支度だ
どの季節が好きなのってあなたが聞く
夏かな

ひとりにしないでって
ひとりになりたくてそう叫ぶ

ボンペイの
火山灰にうずもれて
100年後
200年後
遺跡としてわたしを切り出せ
わたしは
急ぐ少女として
ミュージアムに飾られて

ショルダーをぎゅっと握って
足早にゆくわたしの遺跡は
ミュージアムのガラスの向こうの
過去だったあなたをみている

届かないなら
どこも同じだ

わたしは
胸を押す風圧を
伝えるためにここに来た

好きです と
届かない は

いつまで
同義なのだろう






自由詩 さよなら遺跡 Copyright umineko 2007-09-13 04:54:50
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