誰も居ない、一日の終わりに
狩心

俺の周りの空気が
水滴になった時
地獄の響き、天国の夢、姫百合の塔
街灯に
スラムダンクしかけて
警官に
止められました
「夜の道を一人で歩くのは危ないから」
「でも家に帰る時、いつも一人ですから」

近くの畑で
小さな野菜を見つけました
それを家に持ち帰ると
この世界に自分が居ない気がして
テレビもパソコンも
捨てました

家を出て
無人の駅に向かいます
灯りのついた家と、歩道橋と、荷物のない列車と
僕が死ぬまで開けられる事がないマンホール
今日、そのマンホールを開けてみると
下水が流れていて
ひよこの声が
響いていました
手を突っ込んでみたのだけど
手が腐って
雑音の中に
消えてしまいました

子供の頃、
そのマンホールの上で
転んだ事があります
空中ブランコを見ると
自分が失敗した時の事を
何度も
思い出すのです

自分のリプレイを見て
その画面に映る男を
僕は馬鹿にします
なんでこの男は
一人で家に帰るのかと
なんでこの男は
二人分の料理を作るのかと

自分の作ったもの全てに
臆病者というタイトルを付けたいと思います

電信柱が倒れて
家が壊れてしまいました
ちょうど旅に出たかったところです
いいきっかけに
なりました




自由詩 誰も居ない、一日の終わりに Copyright 狩心 2007-09-09 23:35:43
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