誰かが酩酊の果てに履き損ねたきらびやかな厚いソールのサンダルが事故車みたいに銀行の壁脇に転がっている、その靴の持主はもしかしたらもう息をしていないかもしれない―理由はわからないけれどなぜだかそんな .... きみの苦しみのことなどおれは知らない
たとえばきみが家を失ったとしても
(気の毒にな、でも、おれじゃなくてよかったな)
そう
思うだけだ
だから
おれはきみには手を差し伸べない

 ....
光源は視認することが出来なかった、辿ることが出来るほど確かな光ではなかった、黒焦げの夜は冷めた煤の臭いすら漂わせているようで、俺はそれを解き明かすことを選ばなかった、ただ道路標識のように朝が来るの .... ルーズにこんがらがって
筆箱は本棚の二段目
トローチはテレビの下のラック
レターセットは引き出しに
昨日の夢は枕カバーと
洗濯籠のなかで眠っている
「明日も雨」と天気予報
家を揺らす ....
綿密に編み込まれた絨毯のように
今夜の気分はどこのどれとも言い難いものだった
沖縄辺りで停滞している台風のせいで
エアコンをつけていてもじめついた部屋だった
アリスが自殺した小僧の尻を叩い ....
ある時刻を境に街路は静まり返った、酔っていた連中たちは酔い潰れ、眠るかあるいは死んだ、お盛んな恋人たちは建物の陰でお粗末な絶頂を迎え、指を絡め合ってどこかへ消えた、忘れられた競馬場のナイター設備み .... その昔、ロックンロールがまだ不良の―不良の、なんて括りもどうだろかいとおれぁ思っちゃうんだけど、まあ要するに、そのあれだ、誰が言ったか知らないがセックス・ドラッグ・ロックンロール、なんて、つまるところ .... 狂った世界の鼓動からは
もう受け取るものはなにもない
梅雨の晴間のウザったい午後に
少し前に死んだ詩人の詩を読んでいる
俺の世界は幸か不幸か
たいして変化してはいないが
本棚に並んでい ....
喀血する連中の
猥雑な足さばきを見なよ
割れた石畳で
ブレイクビーツみたいさ

いつまで経っても周波数が合わないから
指先がバカになるまでチューナーを弄んでる
枯渇の上に怠惰を築 ....
散乱した無数の接続部品は古い血液のような錆に抱かれて暴動の後の死体のように
コンフューズはすべて同調してしまっているからラジオペンチじゃどうにもならない
アーカイブの欠落を塗り潰して初めからそ ....
一日中喋り続ける雨のせいで路面は市街戦のあとのように濡れている、歩いている連中の大半は敗残兵で疲労と絶望にどっぷりと浸かった瞳はいつでも、自分より少し劣る誰かを探している…陰気な自己愛という最悪な .... 近頃はなんだかテレビで誰某があんなこと言ってやがったとか政治家が遊んでたとかどこぞのスポーツでひどいラフプレーがあったとかでたんびに炎上とかなんとかでボサっと座ってテレビ観てるぐらいしか能のない烏 .... 俺の無機質を食う
お前の無機質を食う
俺の無機質はスイートで
お前の無機質はデリートだ
俺は気に入らないものには手も付けないが
お前はまずいものでも残せない性分だ
ずっとそうだった ....
冷たい水が流れてゆく先は
ここよりもっと暖かいところだろう
冷たい心が流れてゆく先は
ここよりもっと冷たいところだろう


名もない小さな流れに右手を浸して
青い星の温度を知 ....
猛り狂っている闇の濃度はストーンズの望むレベルをも遥かに凌駕していて、それはもはや景観というより心情とでも名付けた方がしっくりくる位だった、もちろんそんな感覚をそこらへんの連中に理解してもらおうと .... 記憶の紙片は幾度破り捨ててもそのまま失われたりしない、すぐに復元されて頭蓋骨の内側の隙があるところに貼り付けられる―おそらくは小さなピンのようなもので―そのわずか0コンマ何ミリの異物が、感情に奇妙 .... 砂地に沈み込んでいく靴底が見る夢はいつだって暗い地底の景色、目のない生きものたちが泳ぐ鏡のような水の世界だろう、底なしに飲み込まれるような怖れ、亡霊が足首を筋張った手で掴む、振りほどこうとする .... 泥土に埋葬された口にしてはならない感情の骸たちをわざわざ、多大な労力と時間を費やしてお前は掘り起こした、その死体は肉のように腐敗することはないが無残なまでにおぞましく…デジタルデータのように原型を .... 植林公園のいちばん奥の、目立たない遊歩道の終わりで大っぴらにまぐわっていた若いカップルが、綺麗に解体された状態で発見されたのは三月の終わりの日曜の朝のことだった、四肢は根元からすっぱりと切り落とさ .... レディオヘッドのあとでぼくたちは
おもちゃの拳銃でたがいの心臓を撃ち抜いた
それで賞味期限はおわり
ぼくらのあいだにあったものは神さまへと返品処理された
不思議よね、と彼女が
「こん ....
劇薬みたいな陽射しの下で、きみは舗装道にむきだしの膝をついて、街の喧騒の中から知り合いの声だけを探し出そうとするみたいにじっとしている、視線は少し先の街路樹の根元を見つめていたけれど、本当に意 .... 逆回転のプレッシャーに耐え切れず、回転軸は歪み、それから、二度と、回ることは出来なくなった。軸中央に記されたシリアル・ナンバーは、モルグで割り振られるそれと同じ意味合いになり、つまるところ、埋葬さ .... ほんのすこし長く
少年で居過ぎたのさ
膨大な時計の回転のなかで
上手くやるコツを見過ごしてしまった
高速鉄道の窓から見える景色に限りがあるように
自分の思うがままに走り過ぎたのさ
ごら ....
路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブラン .... クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした

なにもかも手遅れの明けがたに
残 ....
狂気は茸の胞子のように弾けて、部屋中を漂い、石膏ボードを隠す味気ないベージュの壁紙に羽虫のように止まる、ばらばらの間隔で点在するそいつらは、どこかの阿呆の妄想があれば星座になることだって出来るだろ .... 出鱈目に打たれた杭のような樹木の
日に焼け落ちたカーテンのような枝の隙間で
天使の抜殻が薄曇りの空を透かして濡れている
ヴィデオゲームは明確にエンドを表示するけど
人生ゲームのそれはあまり ....
はぐれた鳥の影を追って帰り道を失う午後、時計屋の入口の上の壁に張り付いたアナログの文字盤は大嘘をついてせせら笑っていた、ハレルヤ、いつもより少しだけ暖かいものだからテレビのキャスターは微笑んで .... あかりに頼ることなくあらゆるものを見つめようとする気持ちを覚えたのは幾つのころだっただろう?その瞬間のことは決して思い出すことは出来ない、たとえ自分の過去を洗いざらい探ってみたところで、その瞬間を見つ .... 欲望には名前がない、お前は、ガチガチに隆起した生臭い陰茎に幾重もの上等な理性の衣類をかぶせて、空咳みたいな微笑みを顔に張り付かせて表通りを闊歩している、慎重に計算された分だけ良く出来た嘘は真実より ....
ホロウ・シカエルボク(1226)
タイトル カテゴリ Point 日付
そんなことを話している間に自由詩1*18/7/16 22:13
メシア自由詩2*18/7/13 18:46
望んだような眠りがそこに訪れるはずもなく自由詩2*18/7/13 0:03
冗長な雨のリズムとだらしない詩情のジャム自由詩6*18/7/6 23:24
口先だけじゃどうにもならないよ、きみ自由詩4*18/7/2 0:12
街のもの言わぬ羽自由詩1*18/6/29 0:03
be here now自由詩1*18/6/28 0:57
生温い風邪の週末自由詩4*18/6/24 22:25
詩は記録される雨音自由詩2*18/6/14 23:13
カスケードのなかで不用意な感情は息を潜めている自由詩1*18/6/9 23:54
ロック・アンド・ハードプレイス自由詩1*18/6/6 23:52
わかったように言ったところで自由詩3*18/6/4 0:41
Inorganic(性質など関係ない)自由詩7*18/5/31 22:52
そこが始まりとするなら辿ってゆくだけのことだ自由詩3*18/5/29 21:43
ばらまかれて勝手に意味を作り上げていく(もうすぐ日付が変わる ...自由詩3*18/5/21 0:01
貯蔵庫が騒々しい―たとえそれを完璧に閉じ込めていたとしても。自由詩3*18/5/13 23:09
夜を落ち続ける(終わりが明記されないまま)自由詩1*18/5/6 22:39
けれどたしかにそれはいつも暗示されている自由詩018/5/4 23:32
静寂がまた暗い口を開ける自由詩1*18/4/27 0:31
ほんとうに言いたかったのはたぶんそんなことじゃなくて自由詩2*18/4/25 0:41
おだやかな水の流れがすべてを飲み込んでいくように自由詩2*18/4/22 14:30
死を超えたものだけが本当に語ることが出来るだろう自由詩018/4/8 10:28
あの頃と同じように赤い自由詩3*18/3/25 1:29
朝陽のあとで自由詩2*18/3/18 1:20
Fallin自由詩2*18/3/16 2:12
いつだって気づかないところで孵化は続いている自由詩0*18/3/10 23:03
だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい自由詩3*18/3/4 13:52
おだやかな道にとどまろうとしたって自由詩1*18/2/26 23:58
もちろん君がそれを誰かから受け取りたくないのならと言うのなら ...自由詩2*18/2/11 22:28
そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている自由詩3*18/1/28 21:54

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