冷えた水道管が時々、石膏ボードの向こうで短い悲鳴のような音を立てる、闇雲に詰め込んだ食事を腹の中で撹拌しながら、窓を這う虫の数を数えていた、ここ数日、ひどく目を凝らし続けていたせいで延髄のあたりが .... モニターの中では性具のような光沢を持つ拳銃をこめかみに押し当てたブロンドの若い女が眼窩いっぱいにまで目を見開いて笑い続けていた、それが冗談なのか本気なのかすぐには判断が出来なかったが、引鉄にかけた .... 冬の日はどこまでも喉に突き刺さり、痛みと共に脳味噌で弾けるシグナルはいつも、とてつもなく鋭利な刃物によってつけられた鮮やかで細い傷みたいで、呼吸によって生まれるものを俺は血だと錯覚してしまう、勝手 .... 時間を掛けて、俺はそれを解体する、もう暴れることはない、俺に手を掛けさせることは…もともと、そんなにたいした手間じゃなかった、背後から延髄に一撃、それだけでよかった、意識のないままの悪あがきが、数 .... 鈎爪の傷跡みたいな疼きの記憶、冷えた床の上で陽炎のようにゆらゆらと燃えさかる、心許ない火柱の真ん中の羅列が今夜俺を掻き回している…ラジオ・プログラムはチャイコフスキーを垂れ流していて、その旋律は医 .... 分厚い硝子瓶の表面には精巧な細工が施されていた、じっと眺めているとそのうちに、想像上の神殿の回廊にでも迷い込んだかのような気分になりそうな気がした、おそらくは花瓶だったのだろうそれは、なにをいけら .... そもそも最初に仕掛けてきたのはてめえだろ
やり返したらブチ切れるってどうかしてんじゃねえのか
俺はイーブンに戻しただけさ
いつまでもゴネてるとマジで容赦しねえぞ
てめえ、ブ、ブ、ブ、ブ ....
回転する序曲の韻律はすべて逆さまだ、首を傾げたって上手く読み取ることは出来ない、そんなときは頭で理解しようとしないことだ、頭で理解すれば理屈っぽくなるだけだ、イメージを読み取るのさ、まんざら素人で .... ある休日の午後のこと、見覚えのない番号から電話がかかって来て、退屈に任せて出てみたら懐かしい人間からだった、もう二十年近く前かな、同じホームページサービスで知り合った男だった、お互いに詩を書いてい .... 苦しみの記憶のように手のひらは赤く血走っている、毛細血管のなかを歪みが駆け巡っている、おれは繭のようになにかを抱えようとした姿勢で横たわっている、脳裏には真っ白い壁を放射状に散らばっていく亀裂のイ .... さようなら、うつくしい雨が消えていく
冬の破片があちこちできらめく街
ささやかに風の模様が刻まれた傘をたたんで
きみはアーケードの中へ姿をくらませた

九十日垂れ流されたクリスマスキャロ ....
あの…あれよ、こうやってさ、ワードの前でガッツリ集中して、己の理想とするスタイルとスピリッツをコンコンと追及して見たところで大半の感想は「読みづらいです」みたいなもんだしさ、本当何やってんだかと思 .... 俺はいつでも
時限式の爆弾をこめかみに隠している
作ったのは間違いなく俺自身だが
どれぐらいで爆発するのかは全く判らない
シリアスに活動している
シリアスに活動していると
時々そういう ....
公園の遊歩道の落葉はもう、絶えず踏みしだかれてかたちを無くしかけていた、きみはおれの先を歩く感じで、ただただどこかを目指して歩いているだけだった、木々の装いや、広場での出来事はもう、会話のきっかけ .... ふたたび目覚めたときには
世界は様変わりしているだろう
おまえは目を見開いて
そのひとつひとつを心ゆくまで確かめることだろう


進化の過程に
われわれは必要ない
疑似餌を食らった ....
きみはうす汚れた扉にもたれるのをやめて
新しいにおいのする通りのほうへと急いだ
おれは正体の知れないジレンマにすこしとまどったあと
洗面台で昨日の夢をようやく洗い落とした


冬の街は ....
亀裂亀裂亀裂亀裂の隙間微熱混じり卑劣極まる侮蔑罵声死別する疲弊苦楽する詳細ブラフするテーブル自爆する我欲記憶する付録解熱する錠剤フレキシブル展開ほとばしる臨海ぶら下がる残骸、機械機械機械機械たちの .... 首長流の頸椎の隙間から零れ落ちたアナコンダが、寝床でのた打ち回る俺を飲み込もうと目を黄色くしている、集中しているやつの口から小さな呼吸音が漏れているのが聞こえる、最期の瞬間に人は何を思うのだろうと .... 幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して、どこからか忍び込んだ鼠が食い破った洗顔フォームのチューブをごみ箱に投げ込んだ、太陽が顔を見せる時間があまりなかった日、深く息を吸い込んだら黴の臭いを .... イルーガルな魔法に手を染めて粘度の高い夜の海に漂っている―眼球の裏にはバッタが棲みついて視神経を齧るたびに貫くような痛みが走る、きみに送った手紙にはたいしたことは書けなかった、それは意地と言えば意 .... 枕元の書見台のモリッシー、得体の知れない詞に溺れてる、冷たさに心が疲れ果て、隣国のポップソング、インスタントコーヒー…電気毛布の熱…イメージの質は変化する、スタイルは同じでも―装飾物をいくら強調し .... 無頭症の胎児の寝息が内耳で呪詛になる日、罫線の中の鉛筆の芯は血のように赤く、「ねえ君、亡霊はきっと足音を立てないのが正解」と、置手紙の文面にあるのは、手を振るよりもずっと痛みに満ちたさよならの意思 .... もはや狂気が正気になっちまって、俺の日常はどす黒い憎悪と底無しの生への渇望の渦だ、時計の針が過ぎてゆく人生を切り刻む、零れ落ちた断面が冷たい床でべたりと嫌な音を立てたそばから腐敗臭を立て始め、毛羽 .... 折れ曲がり、赤茶色に錆びた釘…珊瑚のように歪で不吉なライン、頭の部分は半分潰れていて、半円―円弧の部分がボロボロのコンクリの上で揺り椅子のように埋もれていた…窓を失った枠からは雨粒が潜り込んでくる .... 濡れた草のにおいがする薄暗い路地で
過ぎる時を噛み砕くように佇んでいる女
背骨の終わるところまで伸びた黒髪に表情は隠れて
これまでに一度だって見たことはなかったが
捩れた棒状の飴みたいな身 ....
頭蓋骨の中で絨毯爆撃は繰り返され、その衝撃で俺の脳漿は四方八方を跳ね回り、幾つもの白昼夢が同時に展開された、それは不思議なほど幸せな光景ばかりで…俺はきっと薬物中毒患者のように目を見開いていただろ .... 激しい痙攣のあと、強制終了のように訪れる眠りの中で見る悪夢にも似た感覚を現実まで引き摺り出してしまう不得手な目覚めの数十秒、果たして俺はすでに死人なのか、と無意識に手首に触れている…微かに、致命的な嘘 .... あとどれだけ生きられるのかなんてまるでわからない、人生の終わりは以前より確かに親しげな笑みを浮かべて、横断歩道のむこうでこちらを眺めている、風は少しずつ冷たさを増し、そのせいでなにかに急かされるよ .... 運命のやつがどうしても無様に俺を殺すというのなら、最後までみっともなくそれに抗うだけだ、早々と安全圏に腰を落ち着けた連中がそんなことは無意味だと俺に忠告する、世界のすべてを知っているとでも言いたげ .... 四番街の真っ赤なシトロエンの中の焼死体は一七歳の娘だった、その車がいつからそこに止められていたのかということについては誰もはっきりと思い出すことは出来なかった、そこは居住区の端っこにある不便な地区 ....
ホロウ・シカエルボク(1189)
タイトル カテゴリ Point 日付
サウンドとヴィジョンだけの短い夜の話自由詩2*20/1/31 22:02
同じ川で汲み上げた水は混ぜればひとつの水に戻る自由詩020/1/26 23:28
鏡像は俺でありながら俺ではないものを垂れ流している自由詩2*20/1/23 22:59
Eat The Rich自由詩1*20/1/19 22:00
そういうわけで俺は今夜も禍々しい陽炎と対峙している自由詩020/1/16 22:16
アンダーカヴァー・オブザナイト自由詩1*20/1/12 16:24
ブッコロ自由詩3*20/1/8 17:31
廃棄物になりたくないのなら自由詩2*20/1/5 21:49
明々後日の方向自由詩1*20/1/1 23:23
陽炎のような真実の重さを自由詩3+*19/12/29 22:16
Spring Can Really Hang You Up ...自由詩3*19/12/28 22:24
その気になって、浮かれてないで。自由詩1*19/12/24 22:32
バッド・ニュースばかりのページは確かに何かを掻き立てるものさ自由詩2*19/12/22 21:49
遭難自由詩1*19/12/19 22:59
死はない、死はない、知らない自由詩4*19/12/15 21:54
そしてがらんとした部屋のなかだけが自由詩5*19/12/13 22:20
マシンガン自由詩2*19/12/12 22:11
妙に冷めた口をきくやつらばかりだ自由詩2*19/12/8 22:20
幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して。自由詩3*19/12/5 23:34
(だから、あなたに会うたび、ラプソディを打ち鳴らすよう)自由詩1*19/12/1 21:57
入口で遊ぶのはずいぶん昔にやめたんだ自由詩1*19/11/28 23:05
砂の中のスイム、充血した水晶体、それから脈絡のない明け方の夢自由詩1*19/11/24 22:45
真夜中はマシンガンのビートで自由詩019/11/22 0:47
たとえば小石の落ちる音のように自由詩019/11/18 22:00
路地で立ち止まっていたナミ自由詩3*19/11/17 22:47
無数の血膨れの夜自由詩019/11/14 22:07
狼狽える詩人どもに自由詩2*19/11/5 21:18
晩鍾、狂ったように木魂するさなかで自由詩2*19/11/3 21:46
口元の汚れた八方詩人のしわがれたバラッド自由詩2*19/10/27 23:30
頭のいい子が幸せになるのは難しい自由詩3*19/10/20 22:49

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