絵具が水に溶けるように
ゆっくりと変わる空の色
きみのハモニカのブルースと
ぼくのストロークのアドリブ
ねじまき時計は喋るのが大好き
流しの蛇口は促されるまで
ずっ ....
むかし
むかし
あるところに


それはそれはたくさんの
こどもをかかえたおうちがありました


おじいさんと
おばあさんと
おとうさんと
おかあさ ....
カルアミルクな夕暮れを見送って
無傷の身体を預けるベッド
バラエティ・ショーの間にもそそくさと流れる速報が
「恐れることをやめるな」と警報を発する


「もうすぐ来る」「も ....
膿んだ傷のある腕を
長袖の服で隠して
調子の外れたハミングは
いつでも古いシャンソンをたどって
彼女はマリーと呼ばれていた
マリアンヌみたいなコートを
いつも着ているせ ....
出来損ないの
光線の具合
淡い影を
歩道に残して


セルジュ・ゲンズブールの埃臭さが
鼻先でゆらゆらと眩む
暖かくなり始めた
世界の息吹はノーウェア・マンには五月蝿過ぎ ....
カーボン紙に
まるめた銀色を
叩きつけたような
激しい空の下で
ぼくたちは
15回めの
約束のしかたを確認した
あれは
冬の日だった
たしか
冬の
寒い夜おそくだった ....
高速で変換される血液の濃度が突っ伏したおれの身体中を貫通し熱を塗りつけてゆく、無限のヘアピンカーブに残された感情のタイヤ痕、生はいつもすこし呻き声のような音を立てながら疾走する、誰の為のも .... 壊れた夜の片隅に身を置いて
時間の概念を分解してゆく
捨てられたまま白骨化した子猫の死骸と
使われなくなった給水ポンプの中の
身元不明の腐乱死体
道端で見た光景 ....
ねえ、君は誰かの
類似品になろうとしてるだけなんだね
安全地帯で
セオリーに従ってね


革新的だと君は言う
アヴァンギャルドで
他にないものだって
でも君は

 ....
温度差が酷い、オレは上着をたくさん着込んで新しいフレーズをモニターしている、時々モールス信号のように脳裏に忍び込む信号は一度話したことを繰り返し語るばかりで
オレは冷蔵庫から冷えたミルクを ....
なつかしい激しさをおもいだす二月
ねえ、ぼくら踊ろう、手に手をとって
行ってしまうものたちをかなしむよりも
「きちんと見送っているから」とほほえみを浮かべてあげよう
のどの渇き ....
鈍器で殴打し続けて骨に空く孔のような
錆びた鋸で引き続けて引きちぎれながら切断された腕か脚の断面のような
嘔吐されたあと風に冷え道に汚れて黒く濁る動脈の血液のような
脳味噌は日常の ....
そう、俺の首筋に鉛の様に染みついた痛み、叫び声を半分殺すような鈍重な…俺は真夜中の暗闇に隠匿された性質を探し出そうとしている、いまひととき心を納得させるような理由が多分その中にある…水溜り .... 夜は流れてゆく時に
昨日の温度を連れてゆくから
君は目を閉じて
手足をいっぱいに伸ばしているといい
送り忘れたメールと
入れ忘れた予定のことは
もう、とりあえず
気 ....
音楽も文学も絵画も幻想
社会も国家も世界も幻想
身の丈を知れ
お前だけを語れ
嘘も誠も曖昧模糊も
すべて
すべて
ひとからげにして
見えたものだけを語れ
感じたものだけを語れ ....
週末の浮かれ者たちが往来を闊歩するせいで緩やかな眠りを逃した日曜の朝、ストーンズは肉体のビートに乗ってネグリータと叫び続け、ディスプレイに日光が当たるのを防ぐために午前中は開けられないカーテンのせ .... 君が満足するためのロックなら僕は要らないよ
どこかで見たことのあるアジテーションだとか
どこかで見たことのある図式だとか
ありがちな無頼漢だとか、そんなやり方なんて
街中が ....
排気ダクトから零れる風が
冬のうたを口ずさんでいる気がする
カラのジンのボトルみたいな太陽
アクロバティックな性格のクラウド
川の流れはゆっくりで
救急車は先を急いでいる
 ....
轟音の中を君と駆け抜ける刹那に見る未来のような輝き、いつだって俺は考えていた、いつだってそうだ、行きつく先は未来でありたいと―留まって同じことを繰り返しながらいかにも進化しているみたいに見 .... 俺がどんな言葉で話をするか君に判ってもらえるだろうか
俺の大脳皮質からウミガメの卵のようにぽろぽろとこぼれてくるものの形状が
君の感覚野にまで届くことがあるだろうか
凍えるカーテンの向こ ....
首すじに張りつくものが本音さ
俺はいつでもそのことを知ってるさ
首すじに張りつくものが本音さ
うわべでどんな言葉をもっともらしく並べていたって


絶望の塊のような ....
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう
口に含まずとも触れるだけで命を焼いてしまうような
誰よりも強烈な毒薬になってみたいんだろう?
おまえの言ってることは誰でも一度は夢 ....
死、の音木霊する春来る窓辺、おおお
枯れた枝にまといつくいつぞやの暴落
嫌な臭いの涎を拭った爪の先が太陽を求めて喘いでいる、曇天
鼠色の羽持つ鳥達が陰鬱な旋律を調律している、暗い ....
古い恐怖を貪る獣の鋭利に過ぎる牙の後、幾つかの肉の階層を突き破り血管に達する
悲鳴は秋の虹の七色で、ほうら、憧れの世界まで届きそうだよ
睡眠不足で半ば閉じた目の玉が見つめるものは
どこと ....
戦争になって兵士になり
自分以外を果てしなくぶち殺す夢があります
考えるのはもう面倒なんで
大義名分に乗って愚鈍に振る舞う馬鹿さ加減が欲しいのです

それなら
中途半端に空威 ....
黴臭い屋根裏部屋の壁に残るいくつもの傷は昔、幼い兄がもっと幼い妹を数百回刺して殺した跡…妹は、痛いと言えなかった、それが兄との約束だったから、大好きな兄との約束だったから(いいかい、これから僕 .... 私は膝に子猫を抱いている
二日前に死んだ子猫
それはすでに腐敗している
私の腕からその猫の肉体が垂れ下がっている


私は歌を口ずさんでいる
題名が思い出せない歌を ....
出来て100とかそこらの歳で
わかることなどたかがしれてる
齢(よわい)40でまだヒヨッコの
おれはそこそこ幸せもんさ
冬の木枯らし部屋までしみて
だけど雑事はカタつきぎみ ....
強い日差しの中で私は夜を待っていた、冬の日差しは針が降るみたいに痛い、街道の終わりのバス停のベンチに腰をおろして夜を待っていた、成長期を逃した年頃の娘のような顔をして―それは実際にそうだったのだけれど .... 雨の底の
底に
俺は沈んで


終わることのない
脳髄のノイズを聴いている


時間は混濁して
精神は
幾年も日向で放置された
古い
毛布のようで


 ....
ホロウ・シカエルボク(1126)
タイトル カテゴリ Point 日付
オープンGの季節自由詩2*11/3/31 18:30
めでたし めでたし自由詩3*11/3/28 6:41
Bad Moon Rising自由詩2*11/3/17 23:27
マリー自由詩5*11/3/13 18:47
静かなまぼろし自由詩0*11/3/11 17:07
True Blue自由詩2*11/3/9 6:43
誕生と死後硬直(スピード)自由詩2*11/3/6 22:02
そして誰かがお終いの合図を出すのを待つ自由詩2*11/2/20 21:35
醜悪自由詩0*11/2/14 6:52
生じるゼロ自由詩1*11/2/13 21:58
Corcovado自由詩3*11/2/12 0:20
生まれたての詩人たちへ自由詩2*11/2/7 0:54
道標はなるべく愉快に自由詩011/2/6 1:26
君は引鉄を引きたい自由詩1*11/2/3 22:40
ツバ吐いて死ね!自由詩0*11/1/26 16:18
Black and Blue自由詩011/1/23 10:26
君が満足するためのロックなら僕は要らない自由詩1*11/1/22 9:55
ダイアグラム自由詩4*11/1/21 15:26
思考のシンク、そこを流れ落ちる渦巻き自由詩1*11/1/17 1:12
貝が夢見る明日自由詩5*11/1/17 0:28
俺は夜明けを見て喜んだりしない自由詩3*11/1/15 22:49
おまえは誰よりも強い毒になりたいんだろう自由詩5*11/1/6 17:29
溺死のミュージック、TOTOで葬送自由詩3*11/1/4 17:51
暖かすぎる不特定多数の個室から自由詩1*10/12/31 12:44
やらねばならない自由詩3*10/12/20 18:14
ジョーイとロザリー自由詩3*10/12/17 18:09
冷たい季節自由詩5*10/12/14 23:03
口上自由詩2*10/12/12 22:40
毒虫自由詩2*10/12/9 0:10
ゼロ地点、もしくはエデン自由詩2*10/12/5 1:18

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