狂った世界の鼓動からは
もう受け取るものはなにもない
梅雨の晴間のウザったい午後に
少し前に死んだ詩人の詩を読んでいる
俺の世界は幸か不幸か
たいして変化してはいないが
本棚に並んでい ....
喀血する連中の
猥雑な足さばきを見なよ
割れた石畳で
ブレイクビーツみたいさ
いつまで経っても周波数が合わないから
指先がバカになるまでチューナーを弄んでる
枯渇の上に怠惰を築 ....
散乱した無数の接続部品は古い血液のような錆に抱かれて暴動の後の死体のように
コンフューズはすべて同調してしまっているからラジオペンチじゃどうにもならない
アーカイブの欠落を塗り潰して初めからそ ....
一日中喋り続ける雨のせいで路面は市街戦のあとのように濡れている、歩いている連中の大半は敗残兵で疲労と絶望にどっぷりと浸かった瞳はいつでも、自分より少し劣る誰かを探している…陰気な自己愛という最悪な ....
近頃はなんだかテレビで誰某があんなこと言ってやがったとか政治家が遊んでたとかどこぞのスポーツでひどいラフプレーがあったとかでたんびに炎上とかなんとかでボサっと座ってテレビ観てるぐらいしか能のない烏 ....
俺の無機質を食う
お前の無機質を食う
俺の無機質はスイートで
お前の無機質はデリートだ
俺は気に入らないものには手も付けないが
お前はまずいものでも残せない性分だ
ずっとそうだった ....
冷たい水が流れてゆく先は
ここよりもっと暖かいところだろう
冷たい心が流れてゆく先は
ここよりもっと冷たいところだろう
名もない小さな流れに右手を浸して
青い星の温度を知 ....
猛り狂っている闇の濃度はストーンズの望むレベルをも遥かに凌駕していて、それはもはや景観というより心情とでも名付けた方がしっくりくる位だった、もちろんそんな感覚をそこらへんの連中に理解してもらおうと ....
記憶の紙片は幾度破り捨ててもそのまま失われたりしない、すぐに復元されて頭蓋骨の内側の隙があるところに貼り付けられる―おそらくは小さなピンのようなもので―そのわずか0コンマ何ミリの異物が、感情に奇妙 ....
砂地に沈み込んでいく靴底が見る夢はいつだって暗い地底の景色、目のない生きものたちが泳ぐ鏡のような水の世界だろう、底なしに飲み込まれるような怖れ、亡霊が足首を筋張った手で掴む、振りほどこうとする ....
泥土に埋葬された口にしてはならない感情の骸たちをわざわざ、多大な労力と時間を費やしてお前は掘り起こした、その死体は肉のように腐敗することはないが無残なまでにおぞましく…デジタルデータのように原型を ....
植林公園のいちばん奥の、目立たない遊歩道の終わりで大っぴらにまぐわっていた若いカップルが、綺麗に解体された状態で発見されたのは三月の終わりの日曜の朝のことだった、四肢は根元からすっぱりと切り落とさ ....
レディオヘッドのあとでぼくたちは
おもちゃの拳銃でたがいの心臓を撃ち抜いた
それで賞味期限はおわり
ぼくらのあいだにあったものは神さまへと返品処理された
不思議よね、と彼女が
「こん ....
劇薬みたいな陽射しの下で、きみは舗装道にむきだしの膝をついて、街の喧騒の中から知り合いの声だけを探し出そうとするみたいにじっとしている、視線は少し先の街路樹の根元を見つめていたけれど、本当に意 ....
逆回転のプレッシャーに耐え切れず、回転軸は歪み、それから、二度と、回ることは出来なくなった。軸中央に記されたシリアル・ナンバーは、モルグで割り振られるそれと同じ意味合いになり、つまるところ、埋葬さ ....
ほんのすこし長く
少年で居過ぎたのさ
膨大な時計の回転のなかで
上手くやるコツを見過ごしてしまった
高速鉄道の窓から見える景色に限りがあるように
自分の思うがままに走り過ぎたのさ
ごら ....
路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブラン ....
クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした
なにもかも手遅れの明けがたに
残 ....
狂気は茸の胞子のように弾けて、部屋中を漂い、石膏ボードを隠す味気ないベージュの壁紙に羽虫のように止まる、ばらばらの間隔で点在するそいつらは、どこかの阿呆の妄想があれば星座になることだって出来るだろ ....
出鱈目に打たれた杭のような樹木の
日に焼け落ちたカーテンのような枝の隙間で
天使の抜殻が薄曇りの空を透かして濡れている
ヴィデオゲームは明確にエンドを表示するけど
人生ゲームのそれはあまり ....
はぐれた鳥の影を追って帰り道を失う午後、時計屋の入口の上の壁に張り付いたアナログの文字盤は大嘘をついてせせら笑っていた、ハレルヤ、いつもより少しだけ暖かいものだからテレビのキャスターは微笑んで ....
あかりに頼ることなくあらゆるものを見つめようとする気持ちを覚えたのは幾つのころだっただろう?その瞬間のことは決して思い出すことは出来ない、たとえ自分の過去を洗いざらい探ってみたところで、その瞬間を見つ ....
欲望には名前がない、お前は、ガチガチに隆起した生臭い陰茎に幾重もの上等な理性の衣類をかぶせて、空咳みたいな微笑みを顔に張り付かせて表通りを闊歩している、慎重に計算された分だけ良く出来た嘘は真実より ....
俺は、まるでスープの出汁に使う魚の頭みたいにぶつ切りにされたいくつもの見知らぬ人間の死体と一緒に穴の中で横たわっていた、前後の記憶や感覚はまったく失われていて、自分がどうしてそこにそうしているのか ....
もやのたちこめる裏通りを
うす汚れた天使が歩いている
ショック・ロックな服を着て
まるでアリスのダンサーさ
彼女のポケットにはリコリススティックと
ショート・ホープが二箱
滅多 ....
ベルベットの下には
死体からこぼれ落ちる
血液のような
ぬるりとした感触があり
流れている音楽には温度がない
倒れる時のことを思いながら
ステップを踏むバレリーナ
人生は、 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように
まともなあんたは
ひびわれた ....
1
硬質ガラスの瓦礫、量子力学の悲鳴…空っぽの巨大な培養液のカプセル、デジタルラジオにはノイズの概念がない、なにも拾えない時間には探しすらしない、「信号がない」と、小さなディスプレイに映し出 ....
おれの周辺には
死刑囚の心情みたいな沈黙が堆積していた
それはぱっと見には
湧水のように床から滲み出たもののように見えたが
出処はそこではなく間違いなく余所にあった
マーク・ボランの
....
俺の細胞のひとつひとつには毒素があり、それが血に混じり体内組織を循環することで意味となる、通過した後の内壁は微量の劇薬に炙られたように荒れて、真白い泡を吹き上げる、それは流れに巻き込まれて同じよう ....
ホロウ・シカエルボク
(1189)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
生温い風邪の週末
自由詩
4*
18/6/24 22:25
詩は記録される雨音
自由詩
3*
18/6/14 23:13
カスケードのなかで不用意な感情は息を潜めている
自由詩
2*
18/6/9 23:54
ロック・アンド・ハードプレイス
自由詩
1*
18/6/6 23:52
わかったように言ったところで
自由詩
3*
18/6/4 0:41
Inorganic(性質など関係ない)
自由詩
8*
18/5/31 22:52
そこが始まりとするなら辿ってゆくだけのことだ
自由詩
4*
18/5/29 21:43
ばらまかれて勝手に意味を作り上げていく(もうすぐ日付が変わる ...
自由詩
3*
18/5/21 0:01
貯蔵庫が騒々しい―たとえそれを完璧に閉じ込めていたとしても。
自由詩
3*
18/5/13 23:09
夜を落ち続ける(終わりが明記されないまま)
自由詩
1*
18/5/6 22:39
けれどたしかにそれはいつも暗示されている
自由詩
0
18/5/4 23:32
静寂がまた暗い口を開ける
自由詩
1*
18/4/27 0:31
ほんとうに言いたかったのはたぶんそんなことじゃなくて
自由詩
2*
18/4/25 0:41
おだやかな水の流れがすべてを飲み込んでいくように
自由詩
2*
18/4/22 14:30
死を超えたものだけが本当に語ることが出来るだろう
自由詩
0
18/4/8 10:28
あの頃と同じように赤い
自由詩
3*
18/3/25 1:29
朝陽のあとで
自由詩
2*
18/3/18 1:20
Fallin
自由詩
2*
18/3/16 2:12
いつだって気づかないところで孵化は続いている
自由詩
0*
18/3/10 23:03
だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい
自由詩
3*
18/3/4 13:52
おだやかな道にとどまろうとしたって
自由詩
1*
18/2/26 23:58
もちろん君がそれを誰かから受け取りたくないのならと言うのなら ...
自由詩
2*
18/2/11 22:28
そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている
自由詩
3*
18/1/28 21:54
本当に凝固しているもの
自由詩
1*
18/1/17 23:15
上手く眠れないのならなにかほかのことを
自由詩
2*
17/12/26 22:37
あしもとの小石を拾い上げること
自由詩
3*
17/12/17 6:56
あらゆることが語り尽くされたあとに
自由詩
15*
17/12/1 21:55
記憶がなくなれば永遠になることが出来る
自由詩
3*
17/11/10 21:59
天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもん ...
自由詩
2*
17/10/30 23:57
ブリック・バイ・ブリック
自由詩
2*
17/10/15 21:38
1
2
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