枕元の書見台のモリッシー、得体の知れない詞に溺れてる、冷たさに心が疲れ果て、隣国のポップソング、インスタントコーヒー…電気毛布の熱…イメージの質は変化する、スタイルは同じでも―装飾物をいくら強調し ....
無頭症の胎児の寝息が内耳で呪詛になる日、罫線の中の鉛筆の芯は血のように赤く、「ねえ君、亡霊はきっと足音を立てないのが正解」と、置手紙の文面にあるのは、手を振るよりもずっと痛みに満ちたさよならの意思 ....
もはや狂気が正気になっちまって、俺の日常はどす黒い憎悪と底無しの生への渇望の渦だ、時計の針が過ぎてゆく人生を切り刻む、零れ落ちた断面が冷たい床でべたりと嫌な音を立てたそばから腐敗臭を立て始め、毛羽 ....
折れ曲がり、赤茶色に錆びた釘…珊瑚のように歪で不吉なライン、頭の部分は半分潰れていて、半円―円弧の部分がボロボロのコンクリの上で揺り椅子のように埋もれていた…窓を失った枠からは雨粒が潜り込んでくる ....
濡れた草のにおいがする薄暗い路地で
過ぎる時を噛み砕くように佇んでいる女
背骨の終わるところまで伸びた黒髪に表情は隠れて
これまでに一度だって見たことはなかったが
捩れた棒状の飴みたいな身 ....
頭蓋骨の中で絨毯爆撃は繰り返され、その衝撃で俺の脳漿は四方八方を跳ね回り、幾つもの白昼夢が同時に展開された、それは不思議なほど幸せな光景ばかりで…俺はきっと薬物中毒患者のように目を見開いていただろ ....
激しい痙攣のあと、強制終了のように訪れる眠りの中で見る悪夢にも似た感覚を現実まで引き摺り出してしまう不得手な目覚めの数十秒、果たして俺はすでに死人なのか、と無意識に手首に触れている…微かに、致命的な嘘 ....
あとどれだけ生きられるのかなんてまるでわからない、人生の終わりは以前より確かに親しげな笑みを浮かべて、横断歩道のむこうでこちらを眺めている、風は少しずつ冷たさを増し、そのせいでなにかに急かされるよ ....
運命のやつがどうしても無様に俺を殺すというのなら、最後までみっともなくそれに抗うだけだ、早々と安全圏に腰を落ち着けた連中がそんなことは無意味だと俺に忠告する、世界のすべてを知っているとでも言いたげ ....
四番街の真っ赤なシトロエンの中の焼死体は一七歳の娘だった、その車がいつからそこに止められていたのかということについては誰もはっきりと思い出すことは出来なかった、そこは居住区の端っこにある不便な地区 ....
目次を並べ過ぎた人生が血の混じる呼気をする午後に、極彩色の蝶の群れが辺りを飛び惑う―もっとも実感的な幻によって世界が塗り潰される、緩やかな、けれどどことなく不穏な旋律が死体を食らう蛆虫のように爪先 ....
風に消えてゆくものたちだけが本当のことを話している気がするのは、人生が砂粒の落ち方を果てしなく見つめるようなものだと朧げにわかってきたせいだろうか、明らかなものはそれ以上のどんなことも語ること ....
そこには縁の欠けた器があり、中にはなにも注がれてはいない、埃が厚く積もるほどに長く食卓に捨て置かれたそれは、詩を持たぬものの心で膿のようになって生きている詩情を思わせる、わかるか、回路を持たぬもの ....
昨日、落ちて行った欠片は
一昨日との間で見失った
今日、すれ違ったものは
いつか仲違いした誰かとよく似ていた
長雨に汚れた
川のほとりに腰を下ろして
彼らの急ぎ足の
旅を
老人 ....
神経のからくりは解かれたのか、夜は沈殿する記憶のように膨大で心許ない、砂地に潜む蛇のように寝床に伏せて、閉じない瞼が見せる退屈な夢を見る、ハードロックと雨の音、時計を気にしなければ時間は自由軸だ、 ....
自家中毒の記憶が熱をもって現れるとそのまま今ともつれ合って連なり転がって床に触れたところから声も出さずに死んでいくひとつひとつの細胞の悲鳴を拾ってコードを記録していく中で生まれてくる音はノイズと名 ....
溶鉱炉の
中で
どろどろに溶けた
灰色の自我を
化粧水の
ように
皮膚の上に
塗りたくる
熱さというよりは
痛みの連なりで
焼けていく
おれの上面
度を超えた衝撃は
....
安いキャリーバッグの
硬質プラスチックの車輪が
まばらな拍手のようなリズムで
旅行者の孤独を連れて歩いている
バスターミナルは蒸し暑く
分厚い屋根に覆われている
様々な方言や言語が
....
とある感触はおそらくは動脈からの血液を不規則に浴びるシャワーのようなものだった、だから俺はおとなしくしてそれを浴び続けていた、だってそれは俺の血以外には在り得なかったし、その中途半端な温度は浴び続 ....
擦り切れた中指の軋む音を聞きながら吐いた唾に溺れ込む夜だ、晩夏の中に在りながら俺の胸中は氷点下に居るように震えていた、それは根本的な魂の渇望のノイズだ、ふたつの分厚い鉄板が擦れるみたいな鈍い音がず ....
望遠鏡の死骸
市街地に散乱
錯乱する警官
痙攣的発砲
こめかみを貫かれた売女は
突っ伏して死後硬直
うす汚れた銅像の見る夢
ハイウェイバスの疲労
ミルキーウェイの素っ気なさ
....
真っ白い壁に毛細血管のような亀裂が植物の成長を早回しで映すフィルムを思わせる速度で広がっていく、それを夢と呼ぶことはもうやめた、どんな名前をつけたって、それが俺の眼前で起こっていることには間違いが ....
果てしない豪雨のさなか、悲鳴を聞いた気がした
たぶん現実のものではないのだろう、けれど
おれは街路で耳をそばだてる、かなり昔、こんな歌があったなと
そう、思いながら
今日のすべてが粘ついた ....
シッカロールぶちまけたみたいな目覚め
水泡のような光が
カーテンの隙間でうずくまってる
殴り飛ばすみたいに引き開けると
強姦のような朝日が目の前で睨んでいる
君よ、空は明るい
....
喫煙者でもないのにライターを、それも中々に高額なオイルライターを所持しているのにはそれなりの訳がある、なんのためかって?それは話を聞いているうちに判ってくる―なんて、べつにもったいぶるようなことで ....
性急な紺碧が
ときおり、夕立と入れ替わりながら
ニュープリント版のような
景色を塗り替えていく
おれたちはコカ・コーラ・ボトリングの
罪深き赤色に寄りかかりっきりで
ラジオのキャスター ....
周辺の木々が溶け込んでいるせいで、夜の闇は微かなグラデーションを描いていた。かつては堅牢だっただろう鉄の門は、血を被ったみたいに赤く錆びて、左側は門柱に繋がる可動部分のところから壊れて落ちていた ....
僕らの切り損ねた爪は廊下の板の隙間から果てしのない奈落へと落ちて行った、僕たちはなすすべがなく、神経症的な音楽の中野先生のピアノに合わせて「帰れソレントへ」を各々のパートに分かれて歌うのが精一杯だ ....
過去はまやかしで現在は一瞬、未来は与太話で人生は蝶が見る夢、塵芥掻き回しながら汗みどろの俺はなにもかも知りながら徒労を繰り返す、滑稽だって?では教えろ、懸命さとはどのみち、そうしたことでしか先へ進 ....
オーヴァードーズで死んだ海外の俳優のニュースでワイドショーはもちきりだった、俺は適当に皮を剥いた林檎を丸一個たいらげて顔を洗った、そいつの映画は一本も観たことはないが名前くらいは知っていた、世界的 ....
ホロウ・シカエルボク
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タイトル
カテゴリ
Point
日付
入口で遊ぶのはずいぶん昔にやめたんだ
自由詩
1*
19/11/28 23:05
砂の中のスイム、充血した水晶体、それから脈絡のない明け方の夢
自由詩
1*
19/11/24 22:45
真夜中はマシンガンのビートで
自由詩
0
19/11/22 0:47
たとえば小石の落ちる音のように
自由詩
0
19/11/18 22:00
路地で立ち止まっていたナミ
自由詩
3*
19/11/17 22:47
無数の血膨れの夜
自由詩
0
19/11/14 22:07
狼狽える詩人どもに
自由詩
2*
19/11/5 21:18
晩鍾、狂ったように木魂するさなかで
自由詩
2*
19/11/3 21:46
口元の汚れた八方詩人のしわがれたバラッド
自由詩
2*
19/10/27 23:30
頭のいい子が幸せになるのは難しい
自由詩
3*
19/10/20 22:49
真っ白な紙、塗れば絵、綴れば詩。
自由詩
1*
19/10/15 23:38
だから俺はなにものにもならないことにした
自由詩
2*
19/10/10 22:53
ザ・リバー(海に流れ着くためとは限らない)
自由詩
0
19/10/4 0:07
雨は永遠のように降る
自由詩
1*
19/10/2 22:01
嘲笑的な薄闇の中で強制的に見開かれた目を
自由詩
1*
19/9/26 22:29
メディシン・ボトルの中の動脈の色彩
自由詩
0
19/9/19 21:58
あの灰が零時になるとき
自由詩
2*
19/9/15 23:34
どうして時々どこかに出かけるのだろう
自由詩
3*
19/9/9 20:41
ただ真夜中が流れ落ちていくだけの
自由詩
0
19/9/5 22:25
飲み込むそばから消えてゆく(たとえばあまりにも膨大な嘘が)
自由詩
0
19/9/1 16:05
いつだってそれは過去形で語られるものだろう
自由詩
3*
19/8/29 22:21
赤く渇いたシュルレアリスム
自由詩
0
19/8/22 22:20
You Can't Always Get What You ...
自由詩
2*
19/8/15 23:42
君よ、空は明るい
自由詩
3*
19/8/9 21:09
Firewheel
自由詩
1*
19/8/4 22:21
Stray Cat Blues
自由詩
2*
19/8/1 23:04
月の下、ふたつの孤独
散文(批評 ...
0*
19/7/23 22:20
僕らはいつも自分だけの譜面を探しているように
自由詩
2*
19/7/19 0:17
知ろうとするそのときにだけ大きく見開けばいい
自由詩
1*
19/7/14 22:30
その時刻のことはどうしても思い出せない
自由詩
1*
19/7/11 23:23
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