這ってでも掴みに行こう この星の自転をいつか全てこの手に

勝利への道はどれほど短くとも サンディエゴからニューヨークまで

釈迦牟尼の手のひらでない非情なる土地でもバレエ・ダンサーであれ
 ....
見くびるな 海老の尾っぽに柿のへた 鶏の骨 定年の父

自傷癖まねて手首に爪立てた跡よりネイルアートが赤いわ

ブラウンの瞳は露出した筋肉 眼鏡をかけていないことには

新品の日記に「悔い ....
 夢の底は平らである。足元はアスファルトのように冷え切った灰色で、硝子のようにツルツルとしている。
 夢の底は暗闇である。たった一本の街灯が放つ白く、おぼろげな光のみが頼りだ。
 夢の底は広大であ ....
僕は見た巨大な影がこの町を海の深くへ沈めているのを 終点を持たない電車が君を連れ去ってしまった夏の陽炎

洋菓子が際限無しに湧いてくる祖母の漆器はいわくある品

人ひとり縊られるほどの激情を秘めて佇む小春六歳

「砂粒もあまさず愛せ」と説い ....
痛みも何も無いのなら
右腕も左腕も
ちぎり飛ばしてもらおう

シンプルになった僕は
初めて貴方に会いに行ける
だから 両の脚は残しておいて

そのとき貴方は一人ぼっちで
不自然な ....
血液の色にどろりと赤黒く 淀む怨念のごと恋心

「くだらない」と一蹴してよ 頚椎にまとわりついた恨み、首ごと

汚らしい親父の娘麗しく「私がずっと守ってあげる」

煙草より酒より危ない薬よ ....
始まった 私とお前しか知らないしかし皆の為のプロローグ

血液は熱く輝きを放ち お前の体を真紅に燃やす

血液も凍てつくほどの戦慄を誘う眼差しと相対す夜

いにしえの化石が過ごす沈黙はその ....
「いっそ気が触れてしまえばいいのよ」とスナック菓子の袋を開けた 私が人を喰らう時
人は塩っぱい汗の味がした

道行く人を喰らう時
人は泥と草との味がした

私が隣人を喰らう時
人は木を噛るような味がした

私が父を喰らう時
父は魚のはらわたのよ ....
懐には
恐るべき毒を忍ばせておかねばならない
ほんの一滴で
誰しもが息絶えるような毒を
一瓶
忍ばせておかねばならない

コルクで栓をして
いつでも取り出せるようにしておかねばならない ....
ゆっくりと昇る、長い長いエスカレーターに
静閑と座すドーベルマン
傍らの階段を
人間は忙しなく駆けていく

考える獣よ
お前は顎をあげ、頭上を見据え
エスカレーターの流れるままに
どこ ....
木枯らしがふき始めた
九月の朝は
人ひとりいなくなってしまった静けさに包まれて
なんだかひっそりとしている

道を行く人はまばらで
自転車は そっと流れるカヌーのよう
普段騒がしい自動車 ....
アスファルトを雨が濡らし
あたりが深海のように暗くなると
自分がどこから来たか
うっすらと思い出されて来ないだろうか
そうだ
自分は確か
まだ日が登りきらない頃に
母親だか恋人だかに
 ....
友人と笑い合うフリ その背中に{ルビ蛾=ひむし}がじっと張り付いている

どの部屋の隅にも縮こまっているうつむくこびとを皆見ないフリ

弁当箱の隅に潜んでずんぐりと佇む妖精「寝たフリするの?」 ....
ひとりになりたい
全てを投げ出して外に出たい
窓を開け放ちたい
良い季節が来たことを実感したい
人の手が入っていない自然を捜しに行きたい
そんなものは無いよと告げられたい
それもそうか と ....
どこまでも青く晴れ渡った空の下には
巨大な蜥蜴の骨だけが
死の直前の姿そのままに横たわっている

入道雲が
ゆっくりと流れていく

彼らという物が
どうやらいたらしい という事は
僕 ....
生前は
それは腕の立つ人であったそうだ
また 根っからの旅人であったという
世界を旅して
知らない土地で
知らないものを見るのが
彼の生きがいであったそうだ

今となっては
生前と言 ....
彼女はこっそりと
自分の部屋のクローゼットの中で
自分だけの神様を祀っていた

一般に、である
神だとか 宗教だとかは
全く馬鹿馬鹿しい物で
馬鹿馬鹿しい物を本気で信じる人間は
奇異の ....
右手が取りこぼしたものは
左手が全部拾ってくれた
左手から離れて行ったものは
どこまで落ちていったのか
今はもう見えない

別れを告げることも無く
こちらを省みることも無く
去って行っ ....
私に微笑みかける
その表情から一転
黙々と詩集を読みふけるその引き締まった表情の中には
私には計り知れないほどの色々が渦巻いている

そこにあるのは
一人の今までの人生全て
あるいは一つ ....
【波打際】
恐ろしき夢の波打つ水際に幾歳月か浸されてのち
空は黒 月は蒼白 水は黒 他には私が一つ浮かぶのみ
楼閣は空を優雅に遊泳す 伸びる廊下の果ては砂漠か
鹿の角生やした犬が水辺から呆けた ....
飲み込んで 貴方に伝わる事も無く 残るは沈黙       。 黒髪よ ボンドとペンキに漬けられて邪魔になったら切り捨てられる

割れた爪どこに落ちたかその欠片 掃き捨てられる私だったもの
私はこんな時代に生きているから、
運命なんて信じていない。
ここに生まれたのも偶然だし、
今こうしてあなたと話しているのも偶然だし、
人として生まれたのだって偶然に違いない。

でも。
 ....
凝り固まった思考は
乾いた生肉のように

僅かばかりの弾力を残し
じっと

身じろぎもせず
「貴方が苦しんでいるときに、
私は貴方の肉片片手に居間に転がってテレビを見ていました。
真に貴方の為になるのなら、私は喜んで筆を取りましょう。
しかし私はただ、貴方を食い物にしているだけなのです ....
夜の帳も落ちた頃
明日の朝も早いと言うのに
目が冴えてしまって仕方がないのは
来るはずの無い貴方を待ちわびて居るからだろう

私の居る場所も知らない貴方が
私の名前すら知らない貴方が
い ....
貴方が私に向けたその可愛らしい笑顔の奥に
どれだけの諦観が潜んでいるか 私は知っている

濁りの無いその瞳の 幾重にも重ねられた群青の奥に
どれだけの凶暴が潜んでいるかも

貴方の中に匿わ ....
私のプライドを
傷付けて行きなさい

とるに足らないプライドを
粉々にして行きなさい

私の喉笛を
噛みちぎって行きなさい

とるに足らない私の命を
食い散らかして行きなさい

 ....
水瀬游(32)
タイトル カテゴリ Point 日付
誰も知らない大陸短歌213/6/9 23:50
雑詠短歌113/2/28 23:05
片輪の夢(散文詩)自由詩013/2/28 23:02
夜が来る短歌113/2/16 1:36
故郷とは似て非なる町短歌213/2/15 2:44
アイドラトリー自由詩013/1/26 23:46
妄執短歌113/1/26 1:52
連作「新たな世界」短歌012/12/31 3:09
無題短歌312/12/21 1:01
私が人を喰らう時自由詩412/10/27 23:36
自由詩212/10/24 23:16
サピエンス自由詩312/10/22 23:47
九月の朝自由詩112/10/21 0:57
帰る自由詩112/8/30 1:51
生徒と書いて短歌012/8/30 1:49
百行書きたい自由詩312/6/6 0:22
太陽の膨張自由詩212/3/28 2:12
生きている自由詩512/3/21 4:06
供物自由詩212/2/13 2:34
失せもののこと自由詩111/10/25 20:20
詩集自由詩011/10/24 22:53
波打際短歌011/9/2 2:17
吾が君短歌011/9/1 4:12
さよなら私の一部短歌211/6/4 23:19
陳腐自由詩011/4/30 23:38
思考停止自由詩211/3/21 3:49
主観のありか自由詩211/3/18 0:20
思慕自由詩011/3/17 5:50
翳り自由詩011/2/2 23:17
進むことができる貴方へ自由詩111/2/2 3:07

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