アイドラトリー
水瀬游

痛みも何も無いのなら
右腕も左腕も
ちぎり飛ばしてもらおう

シンプルになった僕は
初めて貴方に会いに行ける
だから 両の脚は残しておいて

そのとき貴方は一人ぼっちで
不自然なほど綺麗な部屋にいる

いつか貴方に会えたなら
余計な部位は自分から
削げ落ちていくことだろう

世の中の全てを咎めるような
その眼で見つめられたとき
やっと手土産を差し出せる

ここから見える物は
全てあげよう
叩き割ってみても
切り崩してみても
燃やし尽くしてみても構わない
好奇心の向くままに
貴方の好きにしてみては
もとよりどうせ
大した物ではないのだから


自由詩 アイドラトリー Copyright 水瀬游 2013-01-26 23:46:34
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