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教室では
四十名近い生徒が
ひしめきあっている
各々が心の中に
深海魚を飼っている
十数年教壇に立っていて
唯一発見したことだ
このせまい教室の中で
信じられない形の魚が
一つとして ....
ただ生きる
可も不可も
好きも嫌いも
ない

感想は持たない
ただそうであるだけ
それがどうした
そういうものだ

これが私の敬虔さ
祈ったりしないけど
だからこそ

雲が ....
私は恐れる
あなたがいないことを
あらゆる色が黒ずんで
呆ける、まるで雲のように

どこにも秘密はない
偶然鍵穴があいているだけ
いくつさしこんだろう
時には思い出をまさぐって

 ....
そろそろ
おいとまをしようか
たくさんご馳走になったし
ずいぶんと愉快に笑った
これ以上長居をすると
ますます帰りづらくなる
それに遠慮がなくなって
無礼なこともしてしまいそう
今なら ....
雨上がりだから
道がぬかるんでいるだろう
長靴を履いて外に出た
商店街を歩いていると
なんだかクスクス
視線が痛い
美容室のガラスに映してみると
長靴をはいた猫
これは一体
どういう ....
またしても
寄り道
君のところに
行く前に
まるで
はぐれた
カモメのように
旋回して
後悔して
花言葉信じて
合言葉忘れて
嫉妬は黒ずんでゆく橙である。西の空を焦がしてゆく夕焼けのようにそれは魂に暗闇をもたらすだろう。
喜びはまぶしすぎる黄色い光だ。虫のうちほとんどは目が潰れている。
悲しみはうっすらと青いので、春先に ....
6時に起きて水を飲み
コーヒーを沸かす
新聞を読みながら
鉛筆で印をつける
本日はどこをまわって
職務を遂行するとしようか
ティシューでメガネを拭いて
ついでに頭上の輪っかを磨く
寝室 ....
「おかーたん、
 やねのうえのねこたんは
 こんなじかんになにをないてるの?」
「黒猫はね、
 本当のことを知っているのよ。」
「ほんとうのことって、なあに?」
「それはね、
 私たちに ....
せっかくの日曜なのに
私には描ける絵がない
私には筆がなく
私にはカンバスがない
私の街には森がなく
湖がなく
私の家のキッチンには
新鮮なオレンジも
燃えそうなリンゴも
清楚な百合 ....
こんな日曜はめったにないから
いつだって
口を開けているのは月曜だから
目を閉じて口笛を吹いている
僕は思った
先日死んだ画家のこと
同僚に贈る水色のネクタイのこと
バスで旅する芸人のこ ....
今日は平日
お別れした日

途方もなくて
言葉が上手く出なかった

星空が澄んでいて
呆然と眺めていた

しゃべれないけものみたいに

あまりにも
痛かった

いたかったの ....
アパートの一室に
紳士が帰宅する
革靴を投げ捨てると
ガポッと悲しい音がして
玄関に落下する
男は風呂場の蛇口を捻る
じょぼじょぼと
悲しみがあふれ出し
すぐに浴槽はいっぱいに
そこ ....
アミマは十三歳の少女
人口百人足らずの
山奥の村に住んでいる
学校には行かず
というか学校はなく
日中は家の仕事を手伝ったり
弟や妹の面倒を見て過ごす
楽しみといえば
時折ラマの背に乗 ....
会いたい
少数民族に

どんな衣装を着ているだろう
どんな髪飾りしているだろう
どんな夕食を食べるのだろう
どんな子守歌うたうのだろう

どんなけものの背中から
どんな朝日を眺めるだ ....
五月の風の透明さ
雨上がりの石畳のにおい
雪の朝の静寂
足元をさらう波の清廉さ
出発前夜の胸のざわめき
日曜午後のあきらめにも似た安らかさ
わからなすぎる夜の身もだえ
泳いだ後の満たされ ....
「ほんとうは何処にある?」
探しても見つからない
探し続けるためには
生きねばならない
だから仕事につき
いつしか妻をめとり
まもなく子が産まれ
ようやく家を借り
中古車を譲り受け
 ....
何をしても悲しい
悲しすぎて何も手につかない
俺はろくでなし
悲しむために目を覚まし
悲しみながらパンを食べ
枕を濡らして寝てしまう
いつのまにか
一匹の犬になっている
明後日の方角に ....
 一 世界の終わり

世界が終わるという予言を
紹介するテレビ番組を見て
下の娘が心配している
「ねえー、終わらないでしょー?」
ぐずぐず絡む娘をあしらいながら
妻は蒲団を敷いている
 ....
世界が終わるという予言を
紹介するテレビ番組を見て
下の娘が心配している
「ねえー、終わらないでしょー?」
ぐずぐず絡む娘をあしらいながら
妻は蒲団を敷いている
上の娘は気にせぬ素振りで
 ....
私のてのひらの雨雲を
誰かに届けるために 
来たのかもしれない

役割は
私が与り知らぬところに
あるのかもしれない

笑うかもしれない
怒るかもしれない

まっすぐな犬のように ....
まよなかに目覚めて
眠れなくなることがある
ピストルでも撃とうと二階へ
ぼんやり階段を昇っていくと
どうしたことかいつまでもたどり着かない
奇妙に思いながらも昇り続けると
いつのまにか階段 ....
あなたが帰ってくることを
知っていた人がいる
   
昔の言葉で話しかけると
昔の言葉で応えてくれた
   
言葉が変わらないということは
思いが変わらないということだ
なぜなら言葉は ....
彼の仕事は予言者らしい

けれど寡黙な人だから
予言の中身は教えてくれない

窓際で涙ぐんでいるのは
悲しいことを察知したから?
血相変えて外に飛び出したのは
大きな事件を察知したから ....
炊飯ジャーのアラームが鳴る
私は手を洗う
冷蔵庫から卵を取り出し
賞味期限を確認
茶碗のふちとかちあわせ
割れない程度にヒビを入れる
握りつぶしてしまわぬように
卵を割り茶碗の中へ
菜 ....
星盗人が出た!
そんなチラシを受け取ったのだ
二人は顔を見合わせる
確かに夜空には星一つ見えないが
薄雲か気候のせいでは
チラシを配っている男にそう言うと
全く取り合ってもらえない
それ ....
雨が降り出した
街が洗われる
忘れた方がいいことが
無数にあった
手を挙げてタクシーを停める
肉球は見えないように
行先を訊かれて
nearと答える
「外国の人?」
車内では
天気 ....
朝には鳥で
夜には魚
難しい少女のように
表情が変わるのだ

泣き顔は泣き笑いに
 (そこから歴史)
笑顔は笑い泣きに
 (そこから歌詞)
可能性は不可能性に
 (そこから川が)
 ....
人づきあいは苦手ゆえ
頭に猫をのせることにした
出会う人たちは皆
頭の上の猫に気を取られ
(毛並みをなで
 喉をなで
 さかんにじゃらし)
私のことは気にも留めない
そのすきに私は
 ....
TSUTAYAにビデオを返すついでに
夜明けの花を摘みに行く
それはとてもほんのりと光って
摘み取るとすっと消えてしまうけど
比喩の袋を持ってきたから
あいつに届けてやれるかもしれない

 ....
衣 ミコさんのやまうちあつしさんおすすめリスト(42)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ホームルーム- やまうち ...自由詩6*15-4-26
雲のソネット- やまうち ...自由詩2*15-4-13
おそれのソネット- やまうち ...自由詩3*15-4-12
おいとま- やまうち ...自由詩5*15-4-7
長靴をはいて猫- やまうち ...自由詩3*15-4-1
寄り道- やまうち ...自由詩215-3-30
色愛- やまうち ...自由詩215-3-26
勤勉な天使- やまうち ...自由詩2*15-3-23
HONTOU- やまうち ...自由詩2*15-3-22
日曜画家- やまうち ...自由詩5*15-3-19
日曜詩人- やまうち ...自由詩315-3-16
平日- やまうち ...自由詩3*15-3-11
悲しみ紳士- やまうち ...自由詩2*15-3-10
神様- やまうち ...自由詩4*15-3-9
会いたい- やまうち ...自由詩415-3-8
崇高なもの- やまうち ...自由詩615-3-5
HONTOU- やまうち ...自由詩5*15-3-4
SO_SAD_SO_SAD- やまうち ...自由詩415-2-22
World's_End_Rhapsody- やまうち ...自由詩5*15-2-12
世界の終わり- やまうち ...自由詩5*15-2-11
雨かもしれない- やまうち ...自由詩4*15-2-5
はしご- やまうち ...自由詩3*15-1-27
帰郷- やまうち ...自由詩215-1-26
予言者- やまうち ...自由詩2*15-1-25
永遠- やまうち ...自由詩4*15-1-22
星盗人- やまうち ...自由詩2*15-1-21
長靴- やまうち ...自由詩6*15-1-18
街は生きている- やまうち ...自由詩8*15-1-15
猫かぶり- やまうち ...自由詩10*15-1-12
夜明けの花- やまうち ...自由詩114-12-25

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