コップを割ってしまった
深夜ひとりで
お寿司をにぎっていただけなのに
お刺身はさくのものをスーパーで買ってきた
赤くて二割引できれいだった
酢飯は作り方がよくわからないので
知 ....
くり返し聞こえる
ずっと耳の奥
石をたたく水の音
ふうわりと浮かんだ陽炎を
あなたの肩越しで見ていた

線香の、つんとした部屋
気管がくるしいのは
意識を奪われているから
ゆるんだ浴 ....
互いの杯を交わす 
向かいの席で 
微かに瞳の潤む 
その人は呟いた 


(今の僕は、昔より 
 孤独が澄んで来たようです・・・) 


この胸の暗闇には 
ずっ ....
  *1
宛先の無い便りがポストを探して彷徨っている
剥がれたかけた切手の刻印は遠い町の名が記されている
色褪せた封筒は数え切れない程の皺と手垢にまみれている
同封された写真には笑顔が二つ並んで ....
終末論が一面を飾る新聞が、離散して
風に吹かれ、色の剥げたポストに身を預ける
濃い雲に覆われた空、黒い湿度に包まれたビル街
暗色のスーツを着た男たちが、
非常口を求めるように赤提灯を探しさまよ ....
100回魔法が

使えるようになったなら


僕はそのうち何回を

自分の為に使うだろう


自分を嫌っているようで愛している僕は

たくさんたくさん、使うだろうね
 ....
遠く
 
高くそびえる都会が
 
自らのまく煙と朝靄に溶けて
 
蜃気楼に見える日があった
 
 
どこか浮遊して見えるそれは
 
リアリティーを失って
 ....
深夜、スタンドの灯りの下で 
古書を開き、ふと顔を上げれば 
暗がりから、祖母の遺影が微笑み 

隣には、先月三途の川を渡って逝った 
富山の伯父の葬儀に行った 
お礼に贈られた 
金箔 ....
ゆれると
たおれそうになる
吊り革を握っているのに

空を見ようとしても
天井にぶつかって
視線は戻ってくる
乾いた目の表面から内部をみると
中身のぬけた卵の殻が
遺骨のような卵の殻 ....
決して口にはしなくとも 
(愛を生きる)と呟いて 
今日という日を過ごしたら 

目に映る周囲の人々が 
いつも以上に潤わしい 
家族の空気を帯びていた 

そんな時は決まって 
棒 ....
たとえば身に覚えの無いことで 
誰かに文句を言われたならば 
(すみません)とたった一言呟けば 
事物は流れてゆくのです 

流れるものは 
流れるままに放っておいて 
この世のことには ....
木立を駈け抜ける風のように ゆく

雲になった ぬうのへ

いつか また おなじ空の旅で遇いましょう

ながく伸びた端っこが消えて ゆく

大きく手をふったなら 手紙に したため ....
そこに すっくと 立っている

ばらけた もくへん

積み上げてみたり 繋げてみたり

ふたたびの

夢を はぐしてる
 
 
くにゅくにゅ列車が
小さなバス停にやってきて
ダチョウを三羽乗せて行った
ダチョウたちが仲良く
キャラメルを分け合っているのが
窓の外からも
なんとなくわかった
何も無い妹の ....
くるぶしを浸した
海の底の
遠ざかる砂に
裏返る
また少し君のこと

舞いあがる
風のゆくえに
どんな不自由をみたの
何もない空に
探してる
君の糸口

いくつかの土くれは
 ....
その詩を書いて僕は死ぬ

浮遊して目的もなく
受け取り人指定もなく
切手も貼られていない

これといって特別ではなく
目新しいところもなく
自己弁護も含まない

一人で生きる感謝の ....
あの頃
私は叙情の生き物で
君の全てが詩歌であった


差し出された手の平に
丁度良く収まる
この手を乗せると
合わさった部分は
いつもほの暖かく
淡い色合いの空気が
ぐるり ....
このところちょっと体調悪くて
なんにしても
弱気がちな自分に気付いてみたりする

元気なときなら
生になんて執着しなくて
潔い
そんなことばの良く似合う心模様だったはずなのに

具合 ....
 
 
なんちゃってグミかんで
なんちゃって空ながめてる
俺の手は乾いた床を拭いているから
床のかたまりを拭いているから
俺から離れようとしない
困ったもんだぜ
俺はすっかり歯槽膿漏で ....
季節を生む長針は
花の踊りを軽やかに刻み

日常を運ぶ短針は
轟音の突風で
踊り子のフリルをゆらす


瞬間風速
一面に立ち込めるのは、この春の香り



シャッター音
静止する時間が ....
 
 
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
 
+
 
足音が擦り切れていく
あなたにとっ ....
(「あなたへ」)
じつを言えばあなたはいません
だけどあなた、ということばで呼んでいる
不思議
あなたは誰で
あなたは何で
たとえば朝いれた―トーストに似合う―コーヒーの
ミルクだったり ....
両腕を左右いっぱいに広げて 
地上に立つと 
全ての人を{ルビ臓腑=はらわた}が千切れるほどに 
抱き締めたいと思う 
風ノ人が、自らの内にいるのを感じる 
あんなに荒れ狂っていた
場所
砂が乾いてゆく

反転し
苦しく水を蹴った足の記憶のまま、踏みしめる
砂にはわたしの
しずかな歩みだけが続いてゆく

高鳴り
呑みこむ夜が病いなら
 ....
「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる

つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける

+

淡い花のきもちになって
窓の外 ....
ごめんね

終電すぎちゃったのなんて
知ってて黙ってたの
だって離れたくなかったもん
嘘ついてない、黙ってただけだよ

ほんとは

悪いなんて思ってない
だってあなただって ....
校庭の上を二匹の犬がじゃれあっている
雲から目玉がずり落ちて魚のように転がっている

喫茶店に入るための口実
そこで見たものは10年前に見えなかった双眼鏡に写っていた
武田鉄矢のような男が問 ....
白を描くための黒 何百色の黒
透明を描くための濁り 変幻自在の濁り


 林檎がひとつ

 赤い林檎を描くために
 赤が要る、それから黒、白、緑、黄、きりがない、

 球体に映りこむ ....
音楽を飲み

人は生きる

スクリーンの栄養畠

戯曲を舐め小説をしがみ

それから君の笑顔を食べて

暗い眠りから醒める

どれが欠けても困る

次にようやくパンをかじり ....
夜道帰り道
いえまでの道のまんなかで
ねこか犬か、なにか抱えたまましゃがんでいる人がいたから
こわかった


今までわたしが言ってきたこと
も何も
きみは君の生きていく道に
なんら交 ....
草野大悟さんのおすすめリスト(530)
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迷宮組曲/第4楽章/夜空の涯- 遊佐自由詩7*09-7-13
退廃の舞- 木屋 亞 ...自由詩1*09-7-10
100の魔法の使い道- 三奈自由詩909-7-9
地上のエデン- 遊僕民自由詩109-7-9
(_もうひとつの世界_)_- 服部 剛自由詩4*09-7-9
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露のひかり_- 服部 剛自由詩2*09-7-9
へのへのもへじノ胃袋_- 服部 剛自由詩3*09-7-9
更紗雲- ひより自由詩4*09-7-4
もくへん- ひより自由詩3*09-7-4
くにゅくにゅ列車- たもつ自由詩1009-7-1
貝むらさき- 佐野権太自由詩20*09-5-20
その詩を書いて僕は死ぬ- 瀬崎 虎 ...自由詩7*09-5-15
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なんちゃって- たもつ自由詩909-3-19
春風電車- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...9*09-3-17
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空白をつかむ- 唐草フウ自由詩2*09-1-15
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誰だって子悪魔になれる- lazy自由詩3+08-10-22
学校に行きたい- パラソル自由詩108-10-7
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