すべてのおすすめ
行く手を遮る人のように
不安の影がたちこめる
追い払うために
小川のほとりに立つ
苔が敷き詰められた庭の清流
岩の向うに竹林の藪
たたずめば
火に群れる虫のように
影たちがどこから ....
ある日私たちは純白に生まれる
何一つ自分らしさなど持ち合わせず
ただひたすら落ちて往く
それはいつの時代も変わらない
けれどこの時代に相応しい
数多の毒に冒されながら
私たちは落ちて往 ....
晩秋の貌
こがらしを予感させる
襟巻やコートが
街にちらほら
また白い息の季節がくる
暖めあうにはいいが
ひとりはつらいものだ
痩せこけた猫のよう
昔看取った
皮膚病もちの野 ....
君は十五年間黙っていた
永い沈黙の後
一回だけ叫んだ
宇宙に言葉を発進させた後
君は使命を終えて
その場に倒れ込んだ
今日も君の墓前に
光る花束を置こう
*太郎を眠らせ、太郎の上に雪降り積む
*次郎を眠らせ、次郎の上に
冷たく白い かなしみは堆く
白く 叢枯れ果てた夢の室の下
冷たく ....
刻まれた目盛りの 一箇所に
あたしは基準点を作っている
それ以上だったら しあわせ 満足
それ以下だったら ふしあわせ 不満
ものさしは
あたしが作ったものじゃない
あたしが作 ....
穴の開いた心に水を汲む
すぐに流れてしまうのに
来る日も来る日も水を汲む
生きるためではない
生きている そう感じたいから
疲れたり
笑ったり
今日もこうして水を汲む
いくら汲んでも ....
瞳の奥の天使
闇を手繰り寄せて紐解く
脱獄囚の烙印
死刑囚の歴史観
寄せ集めの笑顔で凌ぐ
論理のない戦い
爪を折られた指で
崖を登る
登攀者の緩み
大地という母の目論み
....
最近の私はからっぽだ
文字は浮かんでは消えてゆく
綺麗にだとかうまくだとか
とにかくそんなことばかり願った
ひとのきこえない言葉を
必死にききとろうと身をのりだしては
からぶりになって ....
真夜中の0時に
セルフのガソリンスタンドで
車の給油口に
ホースを突っ込んでいる人を見ていた
斜め向かいのローソンで
金髪に髪を染めた少年たちがたむろする
真夜中の307号 ....
空がどこまでもどこまでも蒼いように
人はどこまでもどこまでも哀しい
朝焼けがどこまでもどこまでも赤いように
人はどこまでもどこまでもいとおしい
僕は生きますか?
僕は生きますか?
今日も僕 ....
お前らなあー
山がいつも大人しく
鎮座してると思ったら
大間違いだ!
俺様のハラワタは
いつだって煮え滾ってる
怒らせたら
熱いのをぶちまけるぞっ!
よーく聴け人間ども
山を ....
寝返りして ぶーぶぶ おならも出るよ
首をぐーんして でへへ よだれも出るよ
一日うんちくんが出なかったら 次の日
グション!ってママ音にびっくりしてたよ
寝返りして パリ子をパ ....
右折を待つ
ウインカーが
正しくその意思を刻み始めれば
心臓の鼓動と
いつか同調する
反復
同化
ト切れぬ
直進の車
既視
夕日
影法師
見送ることに
慣れて ....
少年時代
今とは違う奇妙な生き物だった
そのころ家の近くには古い寺があり
髪の毛が伸びると噂される少女の人形が納められていた
人形を実際に見たことはなかったが
子どもたちが人形の存 ....
地軸のかたむきが季節をもたらすように
こころのかたむきは炎のまわりを公転し
くるくると自転し陰翳を刻みつづける
同乗したドライバー仲間と
仕事は5月と10月がいちばんいいね
あとは暑いと ....
白ワインのグラスに 逆さまに
10月の雨に濡れた ムフタール通りが
もの憂げな 縮れ毛のきみの 髪の色と
愛した少年の 産毛の耀きが 悲しく重なる
こちらの世界に 繋ぎ止める すべ ....
学校帰りの女の子がふたり
ひとりはピンクのパール系ランドセル
ひとりは水色でステッチが入っている
驚くほど洒落たかわいい服を着て
(これは昭和の感覚 たぶん)
さえずりは巣の中の雲雀の卵のあ ....
生きるということは
リスクをとるということ
だから
自分の生き方にあった
リスクをとるしかない
だから
正しさに懸けるということは
リスクをとるということ
だから
私には ....
秋の空に
Fly highー
高く高く
Fly highー
時を超えて
Fly highー
どこまでもどこまでも
翔んでいけ
Fly high
夢よ願いよ祈りよ誓いよ
翔んでいけ
....
逢いたいという気持ちは
雨風に擦りきれ
いつの間にかぼろになった
継ぎもあてられないほどに
擦りきれたこの気持ちを
もうこれきり
引き裂いて
わたしは 織ろう
愛しいや あこが ....
淡彩の日常
点描の細かな作業で生きて行く
萌黄色から浅葱色に
いのちを明滅させる蛍
人や物
言葉にぶつかりながら生きる
自分とも
いつでも陰影を想うのです
単純で複雑そうに ....
百合の蕾 ペリカンの嘴にしか見えなかった
百合の姿は馨りだけで 十分 部屋の壁を越えて漂ってくる
魔性の女にも見える 謝罪は本質を見抜いた時にする
今は葬儀で頂いた貴女を花瓶に挿すくらい ....
昇天したくなるような
空一枚 鉤裂きにして
「おまえもおんなじ
襤褸だねえ
握りしめた石ころ落とす
脆弱な意思の皮袋
かけはぎなんかいらない
ミシ ....
普く再び出会えることを 光栄に想う 空を見上げ
陽だまりの隅に主人公だらけの透明の雪の空気の生き物の気配
季語を埋め尽くし 散りばめ
躊躇いのない誉 四季うとうと静かに弾んで 胸を掴む
....
隅田川より低い千住の街を
駆けていく幼い日のぼくの
こころの隙間に
川風がはいりこむ
湿気を含んだ重い風は
低い街並みをよぎり
川辺から離れた神社に
ぼくを連れていく
友だちは ....
静謐だった森が ざわめき始める
築いている壁の 空だけで繋がった向こうで
錬金術師が 花火を打ち上げる
賑わいが 壁を越えて 壁を通り抜けてくる
あたしの心を鎮めてください
立ち ....
恋して 弱くなりました
愛して 強くなりました
向き合って 真実を得ました
素直に
想いを伝える
命の煌めきは
身体を紅く
染める耀きの
燃料になっていて
未来へと
想いを運ぶ
夜空を照らす
裸のままに
燃える僕らの炎
それは時を越え届く手紙
――封筒は茶色く変色して
だが土色の背中に亀裂が入るように
そうして新たな啓示を告げ知らせる妖精が
花弁のような華奢な翅にその霊妙を巡らせて
そよ風とワルツを踊りなが ....
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