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たったひとつの巨木が
萌黄の葉を緩やかに
揺らしていたとしても
これらは夏風の断片ですら
あるのかもしれない
たったひとりの少女が
涙の雫を静かに
流していたとしても
これらは希望 ....
ほんとうの自分のことを
わかってもらうことは
誰かをそっとこころのなかで
信じるということでした
あの日を
僕らが生きていること
すでに静かな風が通りすぎるように
深い森林と広い草 ....
一瞬の奇跡の近くに
永遠の軌跡がずっと続いた
花瓶に差した薔薇を彩る橙色の呟きを待っていて
僕の遠い夜空にもある
シケモクは必ず捨てた方が良いだろう
妻が影で吸わないように
おせち ....
事務のことが
あまり分からずにいた
町医者はようやく
面接を終えたあとでした
この紙は職安にFAXすればよいのかしらと
採用を決めていましたが
横たわる夜空に向かって
そう尋ねたのでした ....
冷たい雨音を遮りながら
仕事帰りに紺色の雨傘は
静かに溜息をついていた
鉄道駅に着いたので
ちょうど雨傘をたたもうとして
夜空を閉じるときに
満月がみえると本当はいいのにねと
何か反実仮 ....
幼いころの古びた靴は
シャベルよりも
ずっと小さくて、
土遊びをしながら
泥だらけで夕暮れに沈んでいた。
永くて遠い春はすでに
まなざしの向こうにあって、
冬を越えるたび
軽くうな ....
故郷を遠くはなれて
というより
次の故郷をもとめて
家族はまだ
ふたりきりだけど
静かに暮らす日々が
永い冬の西日みたいに
遥かな春を望むように続いて
ふたりで
寝坊ばかりし ....
どうしてか愉しくて
とても切ない
詩作に貧乏文学を
探し出すことは
決してけちな節約ではなくて
倹約のようにも思える
少しだけ美談が得意なことも
失敗談がずいぶん苦手なことも
干乾びた ....
生きることの最果てには
哀しいことだけれど
とても深い孤独さえあって
少しでも幸せに
生きることが
生きた証として
残れば嬉しいのだろう
それが人間の運命と云うもの
そう誰かに愛さ ....
少しだけ甘いはずの
くちづけは
耀きながら
純白の彩りをしていて
太陽を恋するように
白いショコラは
口許にもそっと
溶けていくだろう
よく晴れた遠い朝へと
爽やかな太陽が
訪 ....
夜空でフラミンゴが歌いながら
右足を差し出すとき
月影は大地をそっと染めながら
ガラパゴスウミガメは
まるで天球を月が
動く速さでゆったり
未来へと歩みを確かめる
*
夢の ....
水時計に溶けていた
血液の雫があって
時計の器の外には
一枚の翼が堕ちている
静かな痕跡がある
誰しもの夢のなかで
真夜中にも時間を報せる
いっぱいになった
聖なる水時計は
透明な水 ....
一般邦人は
メキシコ麻薬戦争とは
一見して関係がないはずだが
実際は関連が
あるのだ
幻覚を見たり
聴いたりする病のことを
ご存じだろうか
昔からある病気で
その病気の名前は
....
国家機密は
戦争を始める日をこっそりと
封鎖している
昭和憲法はアメリカの
占領政策のもとに創られた
平和憲法であって
日本はアメリカの植民地だと云う
国会議員がいる
国会で発言された ....
かき氷を
噛み締める音が
透き通る
氷の粒の結晶は
ちょうどひかりが
零れおちるみたいに
花火の黄昏にある音のように
ころんころんと
ふたりの記憶のなかでも
響いている
ずっと ....
時と場所が
選ばれながら
Cigaretteの煙が立ち昇る
日々はどんな天気でも
ずっと続いている
隔離された
都会の喧騒や
夜空の果てでさえ
微かな炎による煙は
あらゆる病気を ....
産まれたばかりで
まだ間もない
黒猫を拾う夢を見た
朝を迎える港で
潮騒が聴こえる
僕はその秋まで
確かに遠い港の桟橋にいた
すでに真夏が
終わる記憶のなかで
南太平洋の海風が
....
裁きを待つ場所で
命を絶つことを
約束して
罪を贖う人間がいる
その人間による
真実の死によってでさえ
本当に世界の均衡なんて
保たれることは
ないのだろう
断頭台までの足跡は
た ....
真夜中から
目を覚ます夜明けは
地球のどこかで
随分と消えていたはずの
絶望やら希望をも
まだ柔らかく包んでいる
颯爽として
朝食の準備をしながら
太陽の日射しがからっと音を
立 ....
太陽の厳しい陽射しにさらされて
赤黒く色褪せた
夕暮れを夜空に染める
とても細い雨降りの音は
真夏のRequiemのように
聴こえて微かに哀しい
久しぶりに
ゆったりと
寂しく過ご ....
原爆が広島と長崎に落ちて
いつのまに真夏の最中
戦争が終わり
港街には帰還兵と
占領軍の兵士があふれていた
マッカーサー元帥の命令で
英語が出来てレポートが書ける
反骨精神があり眼と目で ....
隣の病棟から切手のない
自分宛ての手紙が
一通だけ病室の枕元に
精神科医から届いている
ふくらんだ封筒には
誰が入れたのか
さくらんぼが
ひと房入れてあって
何とか父を救いたいと云う手 ....
彼女が弾く
クラシックピアノの旋律で
ジョン・レノンのImagineが
魔法のように何処からともなく
記憶として生まれて
再び消える
彩られるブーケを持って
一緒に写真を
撮ろうと ....
ふと想う
一生懸命な趣味とは
道楽などと云う
ものではないのだけれども
きっと最初は
お金を使ってしまうだろう
どんなジャンルでも
ワールドカップのような
競技があるように
世界 ....
激しい夕立は
突然やってきて
落雷で鉄道が遅れている
小さな駅舎で
雨宿りをしながら
駅の改札で恋人と
待ち合わせをしていて
豪雨は短いうちに
まるで屋根を
ひっくり返したように ....
真新しいパンプスを
履きながら歩く
晴れわたる春の路地裏
靴づれはひりひりとして
ドラッグストアに立ち寄る
店員へ傷跡に貼る
ばんそうこうを下さいと云う
*
少し無愛想 ....
低い雲がたなびく
雨空のなかで生まれたばかりの冬猫が
ふんわりと尻尾をまるめながら
きっとこの春のどこかで
ゆったりと昼寝をしているように
彼女はまだ目覚めない
もう夢のなかでは
序 ....
素直に
想いを伝える
命の煌めきは
身体を紅く
染める耀きの
燃料になっていて
未来へと
想いを運ぶ
夜空を照らす
裸のままに
燃える僕らの炎
吹きすさぶ
嵐が接近する
真夜中に
灯火で照らすのは
きっと陸にある
港のような君と
海を航行する
船のような僕を
繋ぎ止める
綱の堅い結び目で
しかないのだろう
小さな ....
月下美人のつぼみは
僕から君へと宛てた
詩集の挿絵に
描かれていて
本当は籍を入れる時は
月蝕の夜になっていた
かもしれない
まるで仮眠でも
取るように
くれないに染まる月蝕は
....
ヒヤシンスさんのりゅうのあくびさんおすすめリスト
(52)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
真夏を過ぎてゆく悲しみの向こう
-
りゅうの ...
自由詩
4
17-7-25
そっと君から信じてもらう光景に
-
りゅうの ...
自由詩
22*
17-1-25
トナカイの足音[イングリッド・ヘブラーを聴いて]
-
りゅうの ...
自由詩
8*
17-1-13
夜空を想う町医者
-
りゅうの ...
自由詩
5*
16-11-19
喋る雨傘と満月
-
りゅうの ...
自由詩
11*
16-11-14
たんぽぽ花粉予報
-
りゅうの ...
自由詩
17*
16-3-13
結婚式はふたりきりで
-
りゅうの ...
自由詩
5*
16-3-4
平成貧乏詩礼賛
-
りゅうの ...
自由詩
3*
16-2-24
花束の季節
-
りゅうの ...
自由詩
11*
16-2-22
ショコラ天気予報
-
りゅうの ...
自由詩
4*
16-2-13
ちょうど動物園の夜空で
-
りゅうの ...
自由詩
18*
15-9-24
水時計と妖精の翼
-
りゅうの ...
自由詩
9*
15-9-9
メキシコ麻薬戦争と幻覚の病
-
りゅうの ...
自由詩
4*
15-9-4
日本はアメリカとともに戦争をするのか
-
りゅうの ...
自由詩
5*
15-9-2
かき氷の遠い夏の音
-
りゅうの ...
自由詩
10*
15-8-31
Cigaretteに灯された火
-
りゅうの ...
自由詩
4*
15-8-30
貝殻と港のある遠い夢に
-
りゅうの ...
自由詩
12*
15-8-25
足跡と生きること
-
りゅうの ...
自由詩
10*
15-8-22
恋をする夜明けの森
-
りゅうの ...
自由詩
6*
15-8-20
真夏の骨と雨
-
りゅうの ...
自由詩
7*
15-8-14
或る米軍少佐の終戦回顧録
-
りゅうの ...
自由詩
6*
15-7-6
さくらんぼ泥棒
-
りゅうの ...
自由詩
5*
15-7-5
Engage_Bracelet
-
りゅうの ...
自由詩
7*
15-5-20
一生懸命な趣味
-
りゅうの ...
自由詩
9*
15-5-14
水滴を巡る追憶には
-
りゅうの ...
自由詩
10*
15-5-4
傷跡は春に包まれて
-
りゅうの ...
自由詩
9*
15-4-22
彼女の午睡
-
りゅうの ...
自由詩
5*
15-4-10
裸火
-
りゅうの ...
自由詩
12*
14-10-12
嵐の夜に灯火を照らして
-
りゅうの ...
自由詩
10*
14-10-11
月蝕から遠くない日に
-
りゅうの ...
自由詩
16*
14-10-8
1
2
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