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小さなサイコロが
ころがっていく

平坦に見えた道に
傾斜がかかりはじめたから
なにもかもが
かろやかに
だけど
のがれることはできない

さよなら

さよならも
すなつぶも ....
小さく尖った歯で
骨付き肉に喰い付くと
遠い昔がよみがえる
自分がまだ産まれてもいない
遠い時間の記憶が

タイムマシンはまだ発明されてはいないけれど
かたちのないタイムマシンはいつだっ ....
薔薇の散るかすかなざわめき
酸性雨はやみ
コンクリートは少し発熱している
大きな海で貝は風を宿し
小さな海では蟻が溺れる
波紋はいつだって
丸く
遠く
対岸で鳥はさえずり
ポストはチ ....
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だか ....
雨は降りやまない
けれど
雨音は音符に変換されていくから
赤子も子燕もやすらかに眠る

雷は遠く くぐもって鳴り
狙い撃ちされる心配はいらない

流れ星のいくつかは
蛍に生まれ代わり ....
父母が買った墓を見に行く

高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る

このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
夢の中だったのかもしれない
いつでもおかえり、と
声だけ聴こえた
或いは現実だったのかもしれない
耳の底の小部屋にそれは
棲みついた
文字にすれば水彩
いつでもおかえり

いつ帰って ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
 盂蘭盆会

暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
よるになると
ぴい、と音が鳴る
この部屋のどこからか
耳を澄ませる
出どころを
さがしあてようと
眼をつむり
耳だけになってみる
飼ったはずはない
けれどそれは
とりのこえに似てい ....
立ったまま
枯れている
あれは
孤高の命

もうおひさまをおいかける元気もないし
だれかをふりむかせるような輝きもない

けれど
おまえがひまわりで
凍えながら
戦い続けているこ ....
 消息

闇が待ちわびるのは

ひとすじの
てらされたところから
闇は食べられてしまうけれど
光の中で
いきながらえる
そんな闇があるらしい


 孤食

さみしさと
 ....
糸をつむぐ
それはかつて
繭だったものたち
それを産んだものは蚕という虫
それを育んだものは桑の葉
それを繁らせたものは桑の木

ふるさとを発つ時
小さなかばんに
宮沢賢治の詩集と
 ....
透明な水槽の底
沈んで横たわる
短くなった鉛筆たち

もう手に持てないほど
小さくなってしまったから
持ち主たちが
ここに放したのだ

その体を貫く芯が
ほんのわずかになったのは
 ....
息をしている
すべてのものたちが
息という名の
うたをうたう
うたという名の
命を

深く
息を吸いこみ
ふくらんだ分だけの
息を吐く
そのあと
わたしのうたは
誰かの肺の中 ....
この世でいちばん明るいのは
夜の屋根の
いなびかり

そのあとを
追いかけてくる音は
おそろしいけど、と

小さな人がいう

ならば耳をふさいでごらん
あてがえば
柔らかな手の ....
人形も関節から
壊れてゆく、ら
しい。継ぎ目は
いつだって弱い
場所だからね。
かつてあなたが
若かった頃、肘
も、膝も、首も
指の中に取り付
けられた小さな
関節たちも、み
な ....
万年筆の血液が乾いてしまったようだ
無理もない
数年うっかりと放っておいたのだから
いちにち、はとても長いくせに
すうねん、は
あっという間に感じるのはなぜだろう
風、が通り過ぎていく
 ....

街はすみずみまで霧に覆われていた
平等に満ちている粒は
白いサプリメント

普段は透明が満ちていて
遠くまで見渡せた
海に点在する小さな島や
船が描いてゆく波のような道までも

 ....
火がないのに
いつでも
沸きたてのお湯が出てくる
昔、むかし
食卓の上に
魔法瓶という魔法があった

ただいまと
帰ってくる
冬のこどもたちのために
とても温かい飲み物が
瞬時に ....
一年に一度
ピアノの屋根は開かれて
確かめられる
狂っている、ことを

どうやら
人の営みから生まれるノイズが
そのうすぐらい闇の中にあった
木や羊が暮らす小さな世界を
ゆるがせなが ....
軽トラックの
荷台から
あふれんばかりの、かや
山盛りということはこういうことだ
現役で農作業をされている人が
こんなにも近くにいるということが
無性に嬉しい
今朝スーパーで見かけた車の ....
夜の粒が
とけだしてゆく
空の底は
うすむらさき色にゆるみ

未来が滴らした
おれんぢが
静かに攪拌されてゆく

ここは
宇宙の果てなのだ
あるいは
巨大なグラスに注がれた
 ....
おそらくもう夏は行ってしまったのに
夕刻になると
埋葬されない蝉がうたう
取り残されるということは
ひとつぶの砂のような心地
苦いさみしさだろう
――さいごの一匹になりたくないのです
生 ....
雨の夜
国道には死があった

帰り道を急ぐ車の
その一台一台に生があるその対極に
或いは
その隣りに

ぴくりとも動かない人間の脚はまるで
精巧なマネキン人形の部品のよう
アスファ ....
かつて まつげに
マッチ三本載せてみせた
少女は
そこへ
小さな蒲萄を
たわわに実らせたという

おとぎ話は
完結してからのほうが
むしろ真実だったりする

まばたきのたびに
 ....
枝から青くふくらんだ
健やかなる実をはずす
茶色いしみのようでいて
何かを主張している風の
そんな模様を持つ実は
捨てた

捨てたあと
なぜかもう一度この手に取り戻し
親指と人さし指 ....
願いが叶ったかどうか
わからないまま
一年が過ぎて
今年も七夕は雨だった

短冊を結んだ笹は
燃やされて
煙になる

煙になったあと
願いはどこへ行くのだろう

いくら目を凝ら ....
いっとき
誰かをおもい
泣いたとしても
朝が来れば
人は顔を洗い
食事をし
読みかけの本の頁を開く
晴れていれば
陽を浴びに出かけ
つばめが巣立てば
ほほえむでしょう
四葉のクロ ....
ヒヤシンスさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(61)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夏の入り口へ- そらの珊 ...自由詩2018-7-15
野性の夜に- そらの珊 ...自由詩13*18-7-2
六月の朝はまどろむ- そらの珊 ...自由詩1618-6-2
ふたつつむじのゆくえ- そらの珊 ...自由詩19*18-5-26
架空の街- そらの珊 ...自由詩11*18-5-23
トランジット- そらの珊 ...自由詩16*18-4-22
いつでもおかえり- そらの珊 ...自由詩1418-1-16
バス停- そらの珊 ...自由詩18*17-11-16
秋窓- そらの珊 ...自由詩25*17-9-8
夏のあとさき- そらの珊 ...自由詩18*17-8-6
よるのとり- そらの珊 ...自由詩23*17-3-24
冬のひまわり- そらの珊 ...自由詩25*17-2-10
(食べる)トライアングル- そらの珊 ...自由詩7*17-2-4
糸をつむぐ女- そらの珊 ...自由詩23*17-1-4
幸せな光景- そらの珊 ...自由詩19*16-12-14
星とうたう- そらの珊 ...自由詩26*16-11-16
夜話- そらの珊 ...自由詩12*16-9-8
わたしのアンティークドール- そらの珊 ...自由詩17*16-9-5
ふたたびの夏- そらの珊 ...自由詩15+*16-7-21
白いサプリメント- そらの珊 ...自由詩1316-3-9
おとぎばなし- そらの珊 ...自由詩2316-1-28
ユニゾン- そらの珊 ...自由詩24*15-12-22
かや刈り- そらの珊 ...自由詩1215-10-26
リキュールな朝- そらの珊 ...自由詩16*15-10-22
秋のゆびさき- そらの珊 ...自由詩1515-9-9
うつうつ- そらの珊 ...自由詩915-9-7
まつげに盛られたファンタジー(或いはモナリザの微笑み)- そらの珊 ...自由詩15*15-8-31
キッチン- そらの珊 ...自由詩1815-7-18
短冊に書いた平和- そらの珊 ...自由詩17+15-7-8
天を見つめるということ- そらの珊 ...自由詩23*15-6-3

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